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令和の“経済車”狙いならハマる 新型アルト、マイルドハイブリッド車を検証

掲載 24
令和の“経済車”狙いならハマる 新型アルト、マイルドハイブリッド車を検証

どんなクルマ? パワートレインは?

軽乗用の基本型となる2BOX車。同カテゴリーは経済性が第1の訴求点であり、地域密着型の営業車両や個人のアシとしての用途に適している。

【画像】新型アルト デザイン/内装/荷室【従来型と比べる】 全55枚

二輪車で言えばホンダのスーパーカブのようなポジション、スズキ車ならすでに廃版となったバーディに喩えるべき(?)が、軽乗用に於けるアルトの位置付けである。

初代以来、実用本位のコスパ型に変わりはないのだが、新型はちょっとカジュアルな印象が強くなっている。パーソナルユースにも簡素すぎず、ちょっとオシャレに見せる、そんな感じだ。

搭載エンジンはNA仕様のみの設定で2タイプ用意。

1つは「A」「L」に搭載される標準仕様。

もう1つは「ハイブリッドS」「ハイブリッドX」に搭載されるマイルドハイブリッド仕様。

標準仕様が採用するエネチャージが回生発電で得た電力を電装系に用いるのに対して、マイルドハイブリッドではISGを採用して回生発電量を増加すると共に加速時のパワーアシストにも用いている。

なお、ミッションは全車ともにCVTを採用。

安全装備もグレードアップしている。ACCやLKAは非採用だが、衝突軽減ブレーキの夜間歩行者対応やタウンユース向けの装備が中心になる。

全方位モニターのすれ違い支援表示やカラーHUDなど、運転支援装備も含めてタウンユースでの費用対効果を考慮した設定となっている。

市街地から高速道路まで検証

マイルドハイブリッドといってもISGの出力は1.9kW(2.6ps)で、ハイブリッド用リチウムイオン電池の容量は3Ah。ドライブフィールも電動感はあまりない。

アイドリングストップからの発進でもエンジン始動から一呼吸置いて動き出す。一般的なアイドリングストップ車とほぼ同じ所作だ。

低・中負荷域での緩加速でも電動アシストは控え目であり、電動アシストを積極的に活用して動力性能の向上を図る、あるいは積極的に余力感を演出しているわけでもない。

ドライバビリティよりも回生効率の向上による燃費向上を主としたシステム、と考えたほうがよさそうだ。

だからといってアルトの動力性能が劣るわけではない。

試乗した最上級グレードでもタコメーターが装着されていないのだが、エンジン音から推測するなら巡航時の回転数は2000rpm前後。

緩加速は500~1000rpm上昇のダウンシフトでこなし、60km/hくらいまでは急加速も効く。小気味よくも扱いやすい特性だ。

80km/hを超えるとペダルストロークに余裕があっても加速の上乗せは大幅に減る。

エンジントルクを使い切って、ダウンシフト分で加速を稼ぐ感じで、回し切ってもゆっくりの速度上昇。速度変化の大きな高速では流れに乗せるだけで目一杯。

良くも悪くもタウンユースのスペシャリストといった動力性能である。

気になる点、気に入った点

経済性最優先のモデルを実感してしまうのがロードノイズ。

高い音域が目立つ騒音は透過感が強く、硬く薄っぺらな印象を受ける。

好意的に解釈するなら軽量高剛性ゆえとも言えるが、十二分な防振遮音対策が施せないのは経済車の辛さだろう。

逆に乗り心地は軽量の弱点をうまく抑え込んでいた。

サスストローク速度は程よく抑えられ、段差乗り越えで跳ね上げられるような感も少ない。

重質とは言わないが、穏やかさと収束の按配がよく、速度・路面による乗り心地の変化も少ない。

上手く制御されたサスストロークは操安面でも同様の効果を発揮する。とくに軽量小型になるほど厳しい高速操安での扱いやすさが興味深い。

ハンドリングについて

ハンドリングの傾向を一言でまとめればルーズ。ただし、曖昧ではない。

中立をしっかり押さえていても「何となく直進」。

修正舵も大凡でいいし、コーナリング中の加減速による方向性の変化も同様。

“往なし”とか“鈍し”とか“緩さ”の使い方が巧みだ。

コーナーが連続するようなコーナーや山岳路では扱いにくそうだが、直線や準直線的コーナーが続く高速道路ではいい感じの気楽さがある。

運転支援装備や動力性能の面から遠出に適したモデルではないが、高速が苦手というほどでもない。

気軽な日帰りドライブくらいなら対応できる走りである。

「買い」か?

経済性最優先と言っても試乗したハイブリッドXは約126万円。全方位モニター付きDA(ディスプレイオーディオ)装着仕様なら約137万円。

試乗車は半導体不足の煽りを食ってスッピン状態のハイブリッドXだったが、寧ろDA装着仕様のほうが値頃感がある。

ちなみにハイブリッドSとの価格差は約16万円。

ハイブリッドXのDA装着仕様なら約27万円の差。ハイブリッドSと同等装備で標準パワートレインのLなら100万円を切る。

ゲタ代わりだから割り切ってLを選べばコンセプトどおりの経済モデルになる。

ハイブリッドXは、LEDヘッドランプ、キーレスプッシュスタートシステム、オートエアコンなどを標準装着。

装備はコンパクトクラスの中間グレードと同等以上の贅沢仕様である。

それが分不相応に感じないのが新型の特徴の1つ。つまり、新型は“実用本位の簡素さのアルト”と“負担少ない気軽なパーソナルカーのアルト”の二面構成なのだ。

長距離用途まで考慮するユーザーには勧められないが、タウンユース主体で、時代を感じさせてくれる経済車を求めるならハイブリッドXはけっこうハマるモデルである。

残念なことに試乗車には装備されていなかったが、DA装着仕様を選択すればスマホと連携したインフォテインメントも楽しめる。

タウンカーに「私の部屋」要素を盛り込めるモデルなのだ。

新型スズキ・アルト スペック

スズキ・アルト・ハイブリッドX(FF)

価格:125万9500円
全長:3395mm
全幅:1475mm
全高:1525mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費(WLTC):27.7km/L
CO2排出量:84g/km
車両重量:710kg
パワートレイン:657cc直列3気筒+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力(エンジン):49ps/6500rpm
最大トルク(エンジン):5.9kg-m/5000rpm
最高出力(モーター):2.6ps/1500rpm
最大トルク(モーター):4.1kg-m/100rpm
ギアボックス:CVT
乗車定員:4名

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みんなのコメント

24件
  • 生活の足にするのならこれで十分だろうね。
    カーテンエアバックまで標準化されてるし。
    YouTubeの動画紹介見ても、良くなってるって言う人も多いし。

    軽自動車が、我慢する車じゃ本当に無くなった。
  • ただ価格が高いだけで無く、低価格でこれだけのスペックで消費者や社会に提供できるとは素晴らしいです。正直に欲しいと思います。 車業界のレベルが上げるための当てつけにはもってこいな良い車両ですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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