F1、P1に続く第3の「1モデル」
徐々にピュアEVへと移動しつつある自動車界にあって、スポーツカーもそろそろ出尽くしたか、なんて思っていたら、英国のマクラーレンがすごいサプライズをもたらしてくれた。F1技術をふんだんに使い1275馬力を誇る「マクラーレンW1」を、2024年10月7日に発表したのだ。
まずちょっと雰囲気の変わったネーミングを説明しよう。「W」とはWin(勝利)の頭文字、「1」は最初の意味。さかのぼること50年前、1974年の10月6日に、マクラーレンはF1で初のコンストラーズ選手権を獲得した。W1の発表はこの日にちなんでいる。
W1の「1」には、もうひとつ意味がある。マクラーレンは「1モデル」という図抜けた高性能マシンを何台か手がけてきた。
F1設計者が開発に携わりル・マンでも優勝したスーパースポーツカー「F1」(1992年発表)と、驚異の高性能を誇ったハイブリッドスポーツカー「P1」(2013年)が1モデルだ。
F1は言うにおよばず、P1の車名もポジション1(1位)に由来していると言われているので、W1のネーミングもいってみれば伝統的なものだ。「1(ワン)モデルの血統に連なる」(マクラーレンオートモーティブのプレス向け資料)ことが強調されている。
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F1由来の技術てんこ盛りのW1
W1は、新設計の4リッターV8エンジン(683kW)に、F1マシンを思わせる瞬発的なパワーを生み出すための、モーターとコントロールユニットを一体化した小型で高性能のラジアルフラックス型のEモジュール(255kW)を組み合わせたパワートレインを搭載。
クルマで重要なシャシーは、炭素素材を使った「マクラーレン・エアロセル」なるレースカーなみに高価なモノコック構造。F1(フォーミュラワン)から採用したフロントサスペンションは、このエアロセルシャシーに直接取り付ける。
しかも、エアロセルをできるだけ軽量化するため、シートは最初から一体化構造。シートを動かして調整する一般的なものではなく、ペダルボックス(アクセルとブレーキ)と、ステアリング系が可動式となっており、ドライバーは理想のドライビングポジションを調節できるようになっている。
1.4トンを切る超軽量ボディは、F1マシンの空力技術を応用したグラウンドエフェクトを持つ。昨今、スーパースポーツカーの開発者が口を揃えて言うのは、空力性能の重要性。特にいまは、CO2排出量低減および燃費向上が重要なテーマになっているので、走行中の空気抵抗を減らすことがそれに貢献。同時にスピードも上がり、クライアントへのアピール性も高まるからだ。
W1は先述のとおり、ボディの周囲の空気の流れを徹底的に研究。形状の最適化にとどまらず、「アクティブエアロパーツ」なる先進的技術も採用している。たとえば可動式アクティブ・フロントウイングもそのひとつ。
「マクラーレン・アクティブロングテール」と名付けられたリアウイングは必要に応じて、後方へ300mmも展開するのだ。これは特許出願中という。
マクラーレンの譲れないこだわり
サーキット走行では、電子制御サスペンションシステムが車高を調整。フロントが37mm、リアが17mm下がる。マクラーレンによると、これと可動式リアスポイラーによって、高速走行時に車体の浮き上がりを防ぐダウンフォースが1000kgに達するそうだ。ピレリ社が開発した専用タイヤでなければ、重力でバーストしてしまうんじゃないかと思うぐらいの数値である。
トータル出力は1275ps(938kW)、最大トルクは1340Nm。低回転域のトルクアップのために使われるEモジュールの働きもあり、静止から時速100kmまでを2.7秒で加速。時速200kmまでも5.8秒しかかからない。ふつうのSUVに乗っていたら、時速50kmに達しようかというとき、W1ははるか彼方。姿は見えなくなっているだろう。それぐらいの速さ。
しかも、マクラーレンのこだわりで、W1は後輪駆動。これは衝撃的だ。パワーと高速での走行安定性を確保するため、最近のスーパースポーツは前輪をモーター駆動するケースが多い。しかし、マクラーレンはミドシップと後輪駆動にあくまでもこだわる。
「後輪駆動のスポーツカーで、これほどの加速力と動的性能を両立できるのはマクラーレンだけでしょう」と、同社のプレスリリースでは誇らしげにうたっている。セッティングのしやすさなどを重視した結果ではないだろうか。
EVではよく、それなりの重量のある駆動用バッテリーをフロア下におさめることで、重心高が下がり、コーナリング時などで車体がより安定するというけれど、W1も同様だ。容量1384kWhに達するバッテリーを搭載する。
W1の価格は3.9億円で限定399台
車体のデザインは、見るひとが見れば、すぐにマクラーレンとわかる。自然界の事物をモチーフにした有機的な造型手法は、W1でも見られる。ただしドアの開きかたが大きく変わった。これまでマクラーレンでは、前を視点にドアがハサミのように跳ね上がるドアを採用してきたが、今回は「アンヒドラルドア」と名付けた、いわゆるガルウイングタイプになった。
それにより、車体側面の空気の流れがより効率的にコントロールできるようになったと、アンヒドラルドアの採用の理由が述べられている。ミドシップされたエンジンまわりの冷却効率も上がっているという。
もうひとつ、アンヒドラルドアのメリットは乗降性。より大きな開口部が設けられたからだ。車内は、ダッシュボードからドア内張り、それにシートにかけて、あたらしいニット素材を使う仕上げもある。マトリックス化された色が徐々に変化していくのも、視覚的な衝撃は十分以上。デザインに凝るマクラーレンらしい。最近のMINIが凝っている素材でもある。
オーディオをはじめ、車内インフォテイメントの充実も強調されており、マクラーレンではW1に一般走行も楽しめるGT的なキャラクターも与えているのが、なんとも驚きだ。たしかにこれまでのマクラーレン車はどれも、サスペンションの設定などをふくめて、長距離移動にも使える快適性を備えていたので、じつはW1でもゴルフに行けるかもしれない。
W1の生産台数は399台で、価格は200万英ポンド(1英ポンド=194円として約3億8800万円)。4年間速度無制限のサービスプランも標準でついてくる。といっても、すでにすべての車両が売約ずみだとか。
SPECIFICATIONS
マクラーレン W1|McLaren W1
ボディサイズ:全長4635×全幅2074×全高1182mm
ホイールベース:2680mm
車両重量:1399kg
駆動方式:MR
エンジン:4リッターV8ツインターボ
エンジン最高出力:928PS(683kW)
エンジン最大トルク:900Nm
モーター最高出力:347PS(255kW)
モーター最大トルク:440Nm
システム最高出力:1275PS(938kW)
トランスミッション:8段AT(DCT)
サスペンション:(前後)ダブルウィッシュボーン
タイヤ:(前)265/35R19 (後)335/30R20(ピレリPゼロ トロフェオRS)
最高速度:350km/h
0-100km/h加速:2.7秒
0-200km/h加速:5.8秒
価格:200万英ポンド(1英ポンド=194円として約3億8800万円)
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