世はまさに空前のSUVブーム。オフロード走行を主眼に置いたモデルから、オンロードが得意なデザイン重視の2輪駆動モデルまで、さまざまな車種が各メーカーから次々と発表されています。ランボルギーニやロールス・ロイスからSUVがリリースされたことに驚いた方も多いのではないでしょうか?
一方で、SUVのような大げさなスタイルをしていなくても、悪路を走破する能力が高く、それゆえに重宝され続けるクルマも存在しています。今回ご紹介するのは、質素なスタイルの下に低出力のエンジンを収めながら、驚きの走破性能を秘めた小型車の傑作、初代フィアット・パンダ4×4です。
「イタリアンデザイン – カロッツェリアとの関係」他の自動車メーカーとは一線を画すほど美しいクルマ達
バカンスを返上して開発に没頭
初代フィアット・パンダが発表されたのは1980年。労働争議やオイルショックが重なり、経営状況が急速に悪化していたフィアットは、社内のリストラと並行して新型車開発を進める決意をします。旧式化が進んでいたフィアット126に代わる、革新的な新しいベーシックカーを作り上げる計画は「プロジェクト・ゼロ」と名付けられました。
できる限り迅速に開発を進めるために、フィアット首脳部は「プロジェクト・ゼロ」をフィアット本社の開発部門ではなく、小さな組織で小回りのきくカロッツェリアに委託することを決断します。最終的に「プロジェクト・ゼロ」の開発を手がけることになったのは、巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ擁するイタルデザインでした。
フィアットの依頼は、「安価でコンパクト、かつ室内空間は十分に確保すること」「フィアット126のエンジンを流用した単純な構造にすること」「素朴な外観でかつ進歩的・理性的な設計」といったものでした。ジウジアーロに対し依頼が出されたのは1976年7月で、イタリアではまさにバカンスの直前といった時期でしたが、困難な依頼内容がデザイナー魂に火をつけることになったのか、ジウジアーロはバカンスを返上して作業に没頭。1976年の12月には最初のモックアップを完成させてしまいます。
徹底したコストダウン
市販されたパンダは、モックアップで提案された3ドアハッチバックのデザインが、ほとんどそのまま採用されています。小さな車体サイズで最大のキャビンとラゲッジスペースを得るために、駆動方式はもちろんFFを採用。生産コストを限りなく下げるために、すべての窓は平面ガラスで構成され、ボディラインも垂直と平面でデザインされています。それでいて、今もなお古さを感じさせないデザインとなっているのは、鬼才ジウジアーロの面目躍如といったところでしょうか。大きなダッシュボード・ポケットに代表される使い勝手のよいインテリアも、プラスチッキーでありつつも質素で優れたデザインとして、現在でも高い評価を受けています。
そして1983年。四輪駆動モデルのパンダ4×4が追加されます。パンダ4×4を共同開発したのは、オーストリアのシュタイア・プフ社です。写真では少しわかりにくいですが、リアの4×4エンブレムの下にシュタイア・プフのエンブレムが貼り付けられています。シュタイア・プフはもともと軍用車を開発していて、メルセデス・ベンツGクラスなども手がけていました。
現在では希少なパートタイム式4WDを採用
パンダ4×4に採用されたのは、スズキ・ジムニーなどにも用いられているパートタイム式4輪駆動です。構造がシンプルで信頼性が高く、抜群の悪路走破性を誇るパートタイム式4輪駆動を採用しているクルマは、現行モデルでは数えるほどしかありません。まして、フィアット・パンダ4×4のような、目立たないデザインのハッチバックにパートタイム式4輪駆動を詰め込んだモデルは、大変珍しいと言えるでしょう。
そんな希少なパッケージングのパンダ4×4は、日本でも根強い人気がありますが、それはここドイツでも同様です。プレミア価格で取引されている、というほどではありませんが、希少価値が高く、中古車市場に出回るとすぐに買い手が付くほど人気があります。
最終型でも54馬力しかありませんでしたが、回せば応えてくれる元気なエンジンと高い悪路走破性は、シンプルかつ小型の4輪駆動車が欲しい方にとって、これからも魅力的な存在であり続けることでしょう。
[ライター・カメラ/守屋健]
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