MotoGP第19戦マレーシアGPの2日目、ホルヘ・マルティン(プラマック)はスプリントレースで勝利し、チャンピオン争いでかなり優位に立った。しかしマルティンは、ほとんど浮かれていない。
マレーシアGPではフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)が新レコードタイムでポールポジションを獲得するなど、17ポイント差で追いかけるライバルに勢いがあった。
【リザルト】MotoGP第19戦マレーシアGP スプリントレース結果
しかしスプリントレースではマルティンが1周目から先行。そして3周目にバニャイヤがまさかの転倒を喫しノーポイントに終わった。その一方でマルティンはスプリントを勝利……リードを29点まで広げた。
タイトル獲得に大きく近づく結果となったものの、マルティンはまだ祝うようなことは何もないと、極めて冷静な姿勢を維持している。
「マレーシアは信じられないような週末になっている。いいスタートで始められて、いいレースだった」
マルティンはそう語る。
「ペッコ(バニャイヤの愛称)が転んだ後はギャップをコントロールしていた。マルク(マルケス/グレシーニ)が接近してくるのを見て、僕も懸命に(ギャップを)コントロールしていたんだ」
「今日は(災害に苦しむ)バレンシアと被災者の人達に捧げるモノだ。そして今日祝うべきことは何も無い。大事な日は明日なんだ」
「戦略はかなり明確で、序盤数周のうちにトップに立ちたかったんだ。最初の2周はハードにプッシュして、ペッコが転んでペースを落ち着かせた」
「ペッコが転倒したときは、精神的にかなり落ち着くことができる瞬間だった。マルケスが近づいて来たときはまたプッシュする必要があったけどね。だけど状況は冷静にコントロールすることができた」
マルティンは、2度チャンピオンを獲得したバニャイヤよりも、うまくプレッシャーをコントロールすることができているようだ。
「このところ、”数学”に関する質問が多くて、ちょっとナーバスになっている。でも最終的には、自分の知っているやり方で、全力を尽くしてレースをするだけだ」
「ペッコやマルクなら、もっとうまく僕に勝っていただろうね。今日は勝ちに行ったんだ。いい気分で走るためには、集中力が必要なんだ。ペッコが転倒したとき、マルクに抜かせるかどうか迷ったけど、結局は動かずに、自分の走らせ方で走った。気温が高くてミスを犯しやすかったんだ」
マルティンのリードは29ポイントまで拡大。決勝レースでこれが38ポイントまで広がれば、開催地未定の最終戦を前にタイトル獲得を決めることができる。
だがマルティンは勝利を目指すと意気込んだ。
「僕はレースに勝つために戦う。ペッコがどんなカードを切るか見てみよう。彼にとっては勝つことだけを狙っているだろう」
「でも今日は難しい一日だった。僕たちは大きな成果を挙げたけど、まだ何も勝ち取ったわけじゃないんだ。地に足をつける必要がある」
「ペッコと僕はとても速くて、僕が勝って彼が3位か4位になる可能性も低いだろう。僕たちはもう一段上のギヤがあるんだ。僕は今日やったのと同じように、ポイントを上積みしていくつもりだ」
最後にマルティンは、優勝賞金をバレンシアの豪雨洪水で被災した人々に寄付する予定だと付け加えた。
「お祝いをするような日じゃない。僕はバレンシアの人々にサポートを送りたいんだ」
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