■26年目に6代目へと進化するステップワゴン
ホンダのミニバン「ステップワゴン」がフルモデルチェンジし、新型モデルが2022年春に発表・発売されます。
ホンダ新型「ステップワゴン」7年ぶり全面刷新へ! 謎の新仕様「エア」ってなんだ? 超展開すぎる!? 2タイプとは
2021年12月10日にはティザーサイトが公開。新型ステップワゴンに関する一部の情報が明らかになりました。
それによると、新型ステップワゴンは「AIR」と「スパーダ」のふたつのスタイルを用意。どちらもガソリン車とハイブリッド車「e:HEV」が設定されます。
デザインは現行モデルよりも箱型を意識したスタイルとなり、内装も上質さを増した印象で、これまで以上にファミリーで乗るのに適したミニバンへと進化するようです。
初代の誕生から25年を迎え、いよいよ6代目へと全面刷新されるステップワゴンですが、歴代モデルはどのような歴史を歩んできたのでしょうか。当時のライバル車の動向も交えて振り返ります。
●初代ステップワゴン(1996年登場)
初代ステップワゴンは1996年に登場しました。当時日産は後輪駆動の「バネットセレナ」を、トヨタは商用モデルと共用の「タウンエースノア/ライトエースノア」を販売していましたが、横置きエンジンの箱型ミニバンというジャンルは十分には確立されていませんでした。
FFレイアウトはスペース効率で優れるものの、多人数乗車時や積載時のトラクション性能に課題があったようです。
ホンダは横置きエンジン乗用車を中心とするメーカーということもあり、過去に生産していたFWDの軽商用車の「ステップバン」をオマージュし、ステップワゴンが誕生しました。
エンジンは2リッター直列4気筒(125馬力/18.5kg・m)を搭載(B20B型)。トランスミッションは4速ATのみで、2WDと4WDのシンプルな構成でした。
角ばったスタイルに全高は1830mmと、全高1675mmの「オデッセイ」に対してスペース重視モデルだったのです。
また、3列シート車ながら179万8000円(東京価格:消費税含まず)からと、安価な価格設定も魅力でした。
なお、ファミリー向けのステップワゴンをベースにしたトールワゴンで、若者向けの「S-MX」も半年遅れで登場しています。
当時のオプションパーツはそれほどなく、アフターパーツが主体です。スポーティカーでは定番だったローダウンサスペンションやエアロタイプのバンパー、さらにクリアタイプのテールランプを装着するステップワゴンが増加します。
当初は「ミニバンをカスタマイズ?」と見る目もありましたが、あっという間にそれが普通になりました。
一方、モデルは順調に進化し、1998年にはヘッドライトや大型バンパー装着などにより意匠を変更。簡素でスペース重視の路線から高品質化路線を歩んでいきます。
●2代目代ステップワゴン(2001年登場)
2001年に登場した2代目ステップワゴンは、160馬力/19.5kg・mを発揮する新開発の2リッターエンジン(K20A型)に換装し、ATにはインパネシフトを採用しました。
しかしこの時期、日産は1999年に「セレナ」を、トヨタは2000年に「ノア」と若者向けを意識した「ヴォクシー」を登場させ、ステップワゴンが開拓したFFの5ナンバーミニバン市場に参入していたのです。
2代目ステップワゴンは、アフターパーツ市場の動向とは無関係に上質な雰囲気を演出し、樹脂素地むき出しのバンパーやルーフサイドをスタイル上の特徴としていました。
この時期、セレナのハイウェイスターシリーズやカスタマイズモデル的なヴォクシーが人気となり、ステップワゴンは不利になっていきます。
対策として、2002年にバンパーをボディ同色化、2003年にはバンパーやヘッドライトを大幅に変更、さらにシャープなイメージの「スパーダ」シリーズを追加しました。
スパーダには、162馬力/22.4kg・mを発揮する2.4リッターエンジン(K24A型)を搭載、さらに5速AT車を追加し、走りの性能を強化したのです。
ところが、ライバル車に対して右側リアドアを持たないことが不利になっていきます。
これは、子供が勝手に車道側に降りないように配慮した設計とのことでしたが、時代の要望は両側パワースライドドアに変化していました。
この点はスパーダでは補えず、次のモデルは2年を待たずに登場するのでした。
■低床コンセプトやわくわくゲートなど独自機構を採用
●3代目代ステップワゴン(2005年登場)
3代目モデルは、2005年に登場。低床・低重心コンセプトで好評な3代目オデッセイを受けて、ステップワゴンも同じコンセプトを採用したのです。
そのため、室内高を1350mmに保ちながら、2代目モデルより全高を75mm低くした1770mmとし、その結果コーナーリング性能なども向上しました。
エンジンは2リッターと2.4リッターを継続しながら、2.4リッターエンジンのFFモデルにはCVTを採用。
また、モデル全体の走行性能が向上したためか、スパーダを廃止しています。
もちろん、両側スライドドア(パワースライドドアはオプション、のちに標準装備)を装着し、室内には当時の家庭で流行していたフローリングを模した床材を採用し、リビングの居心地を目指していました。
しかし、好評だったスパーダの廃止や、箱型ミニバンながら乗用車型ミニバンに近いボディなど、市場の指向とは異なる方向となってしまったようです。
ライバルたちは広そうな箱型ボディとイカツいカスタム仕様をラインナップしており、スパーダがない点を他車と比較され、ステップワゴンは逆転には至りませんでした。
そこで2007年のマイナーチェンジでスパーダを復活させます。エアロパーツで走りのイメージを演出し、他車とは異なる路線を歩むのでした。
●4代目代ステップワゴン(2009年登場)
2009年に登場した4代目ステップワゴンは再びボディを箱形化し、標準車とスパーダの二本立て路線を継続しました。
初代モデルらしさを望む声が強かったのか、原点回帰スタイルのこのモデルは人気を得て、翌2010年に3列シートミニバンで販売台数日本一を記録しました。
とくにスパーダは、大型メッキグリルに大型ヘッドライトを採用し、ヴォクシーやセレナに対抗できたこともポイントだったのでしょう。
ボディは全高を1815mmに上げ、低床コンセプトにより室内高を1395mmに拡大。クラス最大の室内広さを誇りました。
とくに3列目シートは他車とは異なる床下折り畳み方式を採用し、フラットで広い荷室を実現します。
150ps/19.7kg・mを発揮する新開発の2リッターエンジン(R20A型)を搭載し、FF車はCVT、4WDは5速ATとしました。
この頃からセレナがアイドリングストップや「S-ハイブリッド」で人気を高めており、ステップワゴンも2015年のマイナーチェンジでアイドリングストップを搭載します。
さらにシャープなスタイルへと変更してライバルに対抗しますが、市場はハイブリッド指向へと変化していきました。
●5代目代ステップワゴン(2015年登場)
5代目となる現行モデルは、2015年に登場しました。この頃のダウンサイジングターボ待望論のためか、エンジンは150馬力/20.7kg・mの1.5リッターターボエンジン(L15B型)を搭載しました。
また、運転支援システム「ホンダセンシング」を全車に設定し、時代に合わせて安全性にも配慮しています。
5代目ステップワゴンの特徴は、「わくわくゲート」です。これは、バックドア左側に小型のヒンジドアを組み込んで小さく開閉することも、全体を跳ね上げドアとしても使用できる斬新な機構です。
ところが、特徴であるはずのダウンサイジングターボエンジンとわくわくゲートがあまり受け入れられませんでした。
1.5リッターターボエンジンは、「ステップワゴンはハイパワー車ではないのでターボは不要」や、「1.5リッターでは物足りない」と誤認されてしまい、また、わくわくゲートが不要というユーザーもいたようです。
加えて、ノア/ヴォクシーはトヨタ式ハイブリッド、セレナが安価なS-ハイブリッドを採用し、エンジン車のみのステップワゴンには低燃費のイメージを持たれなかったのです。
そこで2017年のマイナーチェンジでは、スパーダに「SPORT HYBRID i-MMD(現、e:HEV)方式」のハイブリッド車を追加します。
この方式は、エンジンで発電機を回して発電し、モーターで車輪を駆動、高速走行時はエンジンと車軸を直結するものです。
動力性能と燃費に優れる方式ながら、価格とのバランスで人気復活とまでなりませんでした。
※ ※ ※
ファミリーカーにSUVを選択する人が増えるなか、ミニバンの売れ行きが下降しているというものの、多くの人のライフステージで必要な商品であり、売れている台数が多いことに変わりはありません。
とくにステップワゴンはミドルサイズミニバンのパイオニアであり、ホンダとしても他社に負けられないでしょう。
ライバルとなる新型ノア/ヴォクシーも2022年1月発売と、新型ステップワゴンと同時期に登場する予定です。
電動化や運転支援システムが進んだ現代において、ホンダがどのようなステップワゴンを提案するのか楽しみです。
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みんなのコメント
もうこれ以上の進化は無いって事の証明。
ライバルより高くなれば絶対に売れない。