現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「バイク?トライク?クルマ?」ジェット機デザインのアメリカ製マシン「PULSE SILVER BULLET」とは

ここから本文です

「バイク?トライク?クルマ?」ジェット機デザインのアメリカ製マシン「PULSE SILVER BULLET」とは

掲載 7
「バイク?トライク?クルマ?」ジェット機デザインのアメリカ製マシン「PULSE SILVER BULLET」とは

ヤマハ発動機の「トリシティ」シリーズ(125cc、155cc、300cc)や「ナイケン」(900cc)のほか、ハーレーダビッドソンがメーカー純正トライクをラインアップするなど、「3輪バイク」が身近になってきている今日だが……世界には驚きの3輪バイクがあった。

その車両とは、アメリカ生まれの「パルス」である。しかし、タイヤが4つあるように見える──。
一体どういう乗り物なのか、日本に数台輸入された貴重な車両の1台から、その構造を解説しよう。

【写真19点】運転席やテールライトもまるで戦闘機! アメリカ生まれの乗り物「パルス」

パルス・シルバーバレットは前後輪の2輪+左右に補助輪という構造

「パルス」はアメリカではGCRV(グランド・クルージング・レクレーショナル・ビークル)=路上用娯楽用車両とか、バイク用エンジンで走る屋根付き車両のためオートサイクルなどと呼ばれる。
アメリカで必要な免許は自動車用で、運転席周りが鋼管製ロールバーで覆われ、シートベルトも付くためヘルメットをかぶる必要がない。
構造は、バイクのホイールベースを延ばし、その間に地上すれすれの2人乗り座席+バイクのエンジン+駆動系を配置した超ロングホイールベースの2輪車だ。

停止時に倒れないよう、左右に補助輪を配置。
走行中は片輪だけが接地し、もう片輪は浮いているため、走行は常に3輪……ということでトライク扱いになり、アメリカでのナンバーも2輪車用である。

外観を飛行機型ボディで覆った形態の乗り物は、ここに紹介するパルスのほかにスイスの「エコモビル」や欧米製の「モノトレーサー」などが存在していて、いずれも動画サイトで観ることができる。興味ある人はチェックしてみてほしい。

パルスの操作はクルマと同じで、スロットルとクラッチが足、シフトが手でハンドル操作。ちなみにエコモビルやトレーサーはバーハンドルで手動のグリップ、チェンジ操作だ。
パルスは三輪接地なので、コーナリング時もボディはバンクせず安定した走りが得られる。エコモビルはコーナリング時にバンクするため、格納式の補助輪が出てくれないと転倒必至……となるのとは対照的だ。

アメリカのクラブでは毎年ミーティングを開催していて50台ほどが集まる。ミーティングが行われる場所も飛行場と、まさに飛行機!?といった存在だ。

日本ではその姿から異次元の存在といえる乗り物で、2016年の東京・お台場で開催された「お台場旧車天国」に初見参したときは、「未確認飛行物体?」と話題になった。
オーナーが米軍の横田基地を訪問した際には近隣の国道で「見物渋滞」が発生したというほどで、とにかく目立つ存在。走っているだけで対向車がビックリするので、オーナーによれば事故防止のために普段はあまり走らないそうである。

一方、こんなパルスが多く存在し、道路を往来しているアメリカは、昔も今も乗り物にとって自由な国だと言えるだろう。

パルスのコクピットに入るには、まず足を先に入れる必要がある。アメリカでウインドーをスライド式のままにしているのは、太ったり大柄の人が乗降しやすくしたため。その運転感覚はすこぶる楽しいものだ。

パルスはアメリカではトライクとして認められたため、デビュー直後に日本にも輸入された。だが、今まで見たこともないような形態の車両だけになかなか認可されずにいた。その後、輸入車や輸入部品の法的緩和があり、サイドカーやトライクが多く輸入されるようになった。これにより海外の車両でも、書類などがそろっていれば日本でも登録できるようになってきた。

しかし、パルスの形態にどの業者も申請に戸惑い、オーナーは断わられ続けたという。そこで、サイドカーやトライクなど3輪バイクのスペシャリスト「新潟技研」が申請書類を何度も提出し、日本で唯一、アメリカ同様にトライクとして正規ナンバーを取得。
ちなみに日本にはあと2台パルスの輸入が確認されているが、いずれもナンバー取得をあきらめているという。

パルス・シルバーバレット主要諸元&各部解説

フォルム的には戦闘機「F-4ファントムII」のキャノピー部分を模したボディを持つ。オルジナルの尾翼は1枚だが、新潟技研により2枚に増やされている。キャノピー部は本来後方スライド式だが、オーナーの意向で前開きヒンジタイプへと改修されている。

PULSE SILVER BULLET主要諸元
[エンジン・性能]
種類:水冷4ストローク水平対向6気筒OHC2バルブ 総排気量:1520cc 燃料供給方式:ケーヒンVDGW 始動方式:セル 最高出力:71kw<97ps>/5000rpm 最大トルク:149Nm<15.2kgm>/4000rpm 変速機:5段リターン
[寸法・重量]
全長:5370 全幅:1980 全高:1700 ハンドル幅:240 シート高:555 ホイールベース:3124 地上高178(各mm) キャスター:25~27度 タイヤサイズ:F140/80R13 R150/80R13 補助輪4.50-8 車両重量:780kg(F350kg/R430kg) 燃料タンク容量:24L オイル容量:4.3L

[参考価格]
850万円(車検・経費別・税別)
※アメリカ現地価格1万9000ドルの車両337号車(1989年9月生産の個体)を個人輸入。エンジンをGL1200からGL1500に換装。尾翼改良などのボディの加工を行ったほか、雨天時の視界確保のためのエアコンも追加装備。改造申請のすべては新潟技研にて行われた。

当初はLITESTER=ライトスターの名で13台が試作され40台を量産。その後、パルスの名では307台が造られた。
搭載エンジンは270台がヤマハXS250と400の並列2気筒、ホンダVF500が3台、ゴールドウイング(以下GL)1000、1100、1200が77台。GL1800やBMWなど各種エンジン換装車もあり、この車両は新潟技研が手を加えた車両だ。

レポート●小関和夫 写真●阿部哲也 編集●上野茂岐
※当記事は八重洲出版『モーターサイクリスト2017年6月号』より編集を行ったものです(取材は2017年4月に実施)。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

エンツォフェラーリへ通じる「DNA」 マセラティMC20 長期テスト(2) 車重を測ったら1710kg
エンツォフェラーリへ通じる「DNA」 マセラティMC20 長期テスト(2) 車重を測ったら1710kg
AUTOCAR JAPAN
アプリリアの新型スポーツバイク『RS 457』、日本上陸 85万8000円
アプリリアの新型スポーツバイク『RS 457』、日本上陸 85万8000円
レスポンス
100kg軽い車重580kgのベーシック軽[新型アルト]が2026年に登場!? 軽量化と48Vスーパーエネチャージで勝負!!! 燃費は30km/L到達か!?
100kg軽い車重580kgのベーシック軽[新型アルト]が2026年に登場!? 軽量化と48Vスーパーエネチャージで勝負!!! 燃費は30km/L到達か!?
ベストカーWeb
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
くるまのニュース
ルーミーって…なんでこんなに売れてるの? どこがいいの???
ルーミーって…なんでこんなに売れてるの? どこがいいの???
ベストカーWeb
間違えると最悪車両火災の原因に! クルマのヒューズが切れたら「同色=同数値」のものに交換が必須!!
間違えると最悪車両火災の原因に! クルマのヒューズが切れたら「同色=同数値」のものに交換が必須!!
WEB CARTOP
トヨタWRC代表、勝田貴元にいよいよ“攻撃命令”。同点で並ぶヒョンデとのメーカー対決に向けて「攻めに転じる時がやってきた」
トヨタWRC代表、勝田貴元にいよいよ“攻撃命令”。同点で並ぶヒョンデとのメーカー対決に向けて「攻めに転じる時がやってきた」
motorsport.com 日本版
ローソン、ラスベガス予選はQ2敗退15番手「大きくスライドしてしまった。まあそれがなくてもQ3は無理だったけど……」
ローソン、ラスベガス予選はQ2敗退15番手「大きくスライドしてしまった。まあそれがなくてもQ3は無理だったけど……」
motorsport.com 日本版
新東名「最後の区間」どこまでできた? 過去最大規模の「トンネル湧水」発生も…どんどん造ってます!
新東名「最後の区間」どこまでできた? 過去最大規模の「トンネル湧水」発生も…どんどん造ってます!
乗りものニュース
オーナーは桐島ローランドさん 葉山町にオープンした新スポット『Felicity Cafe』とは
オーナーは桐島ローランドさん 葉山町にオープンした新スポット『Felicity Cafe』とは
バイクのニュース
70年代の“GTカー”が令和に復活!? 限定100台のミツオカ「M55ゼロエディション」ついに登場
70年代の“GTカー”が令和に復活!? 限定100台のミツオカ「M55ゼロエディション」ついに登場
VAGUE
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
くるまのニュース
新スタイルの洗車場、個室ブースで心置きなく洗車が可能…土曜ニュースランキング
新スタイルの洗車場、個室ブースで心置きなく洗車が可能…土曜ニュースランキング
レスポンス
マンホールの”大打撃”から1年……今度こそフロントロウからラスベガス決勝に挑むサインツJr.、混戦を予想「分からないことが多すぎる」
マンホールの”大打撃”から1年……今度こそフロントロウからラスベガス決勝に挑むサインツJr.、混戦を予想「分からないことが多すぎる」
motorsport.com 日本版
【悲報】マジかよ!? ホンダ二輪スポンサーのレプソルが2024年限りで契約解消へ
【悲報】マジかよ!? ホンダ二輪スポンサーのレプソルが2024年限りで契約解消へ
ベストカーWeb
「六本木のカローラ」を乗り継ぎ4台目!…BMW「3シリーズ」が自宅ガレージにあるのが普通という親子の現在の「E30」の経歴が凄かった!!
「六本木のカローラ」を乗り継ぎ4台目!…BMW「3シリーズ」が自宅ガレージにあるのが普通という親子の現在の「E30」の経歴が凄かった!!
Auto Messe Web
【クシタニ】による「クシタニの防寒グッズまとめ」!これで寒さを乗り切れる!
【クシタニ】による「クシタニの防寒グッズまとめ」!これで寒さを乗り切れる!
モーサイ
【写真蔵】「Jeep」ブランド初の100%電気自動車は、レネゲードよりもコンパクトな「アベンジャー」
【写真蔵】「Jeep」ブランド初の100%電気自動車は、レネゲードよりもコンパクトな「アベンジャー」
Webモーターマガジン

みんなのコメント

7件
  • 毎年12月第1日曜日に東京・国立にある谷保天満宮を中心として開催される
    旧車の一大イベント「谷保旧車祭」
    残念ながら昨年はキャンセルとなりましたが、このイベントに毎回展示されて
    特に子供たちに大人気なのがこの「パルス・シルバーバレット」です。
    2021年の暮れまでには、コロナが収束して安心してイベントが楽しめるように
    なるといいですね…。
  • 欲しいと思っだけど、価格みたらあきらめました。
    運転してみたいですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村