グランツーリスモの影響も受けている
このところ自動車メディアで「25年ルール」という言葉を目にすることが増えている。これはアメリカにおける輸入車の特例措置として、生産から25年を経た車両については右ハンドルであっても輸入可能(基本的に右ハンドルの輸入は不可)という条項を示す言葉だ。25年前となれば、ずいぶん昔に感じてしまうが、日本では日産BNR32型スカイラインGT-Rの最終進化形といえる「V-SPEC II」が出たのが25年前の1994年だ。古いようで、まだまだ現役で流通しているクルマが生み出された頃でもある。
「ニホンシャ、ダイスキデス♪♪」 異国の地、沖縄で高まる熱狂的な「日本車愛」
25年ルールでアメリカが輸入しやすくなった
そんな25年ルールと、日本車ビンテージイヤーと呼ばれた1989年生まれのクルマたちの車齢というバランスもあって、アメリカではマニア的な日本車が人気を集めているという。トヨタ・スープラのように現役当時から北米市場で販売されていたクルマはもちろんのこと、スカイラインGT-Rはほぼ日本専用モデルであるにもかかわらず、アメリカで人気を集めている。その理由は、それぞれのクルマが持つ魅力があるのは当然だが、それ以外のストーリー性の部分でも熱狂的なファンを生む背景があったりする。
スープラ復活のきっかけは映画「ワイルド・スピード」
たとえばスープラ。すでに知られているところだが、その復活にはトヨタとしての強い思いだけではなく、市場からの要望もあった。とくにアメリカにおいてスープラというのは特別なクルマとなっている。映画「ワイルド・スピード(原題:The Fast and the Furious)」において直列6気筒“2JZエンジン”を積んだスープラ(A80型)が登場、神格化されるようになったのは有名な話だ。
GRスープラの多田CE(チーフエンジニア)はリップサービス的に「新型スープラには2JZを積めるだけのエンジンスペースを用意している」といった発言をしていたりするのは、そうした背景を理解しているからだろう。
スカイラインGT-Rを有名にした「グランツーリスモ」
また、前述のように右ハンドルだけの設定で北米には正規輸出されていないスカイラインGT-Rはプレイステーションのドライビングゲーム「グランツーリスモ(GT)」に登場したことで世界的な知名度を上げたことが知られている。日産がスカイラインの派生車種ではなく、独立したスポーツカーとしてR35型「GT-R」を復活させるにあたり、世界的にヒットしたGTの影響が少なくなかったことも知られている。画面の中でしか走らせることができなかったGT-Rが復活することは世界中のファンから熱狂的に受け止められたのだ。
知る人ぞ知るはずだった日本専用モデルが、GTのおかげで多くのクルマ好きに知られる存在になった。それは、スカイラインGT-Rだけではない。ホンダ・ビートやスズキ・カプチーノといった軽自動車も、すでにアメリカに渡り始めている。リアルで見たことがなく、バーチャルで知ったモデルへの憧れが「25年ルール」によって実現可能となったことで、所有へ向けてアクションを起こすファンが少なからず存在しているというわけだ。
ABCトリオと呼ばれた軽スポーツでいえば「AZ-1 USA」と検索すると、アメリカに渡ったオートザムAZ-1の動画インプレッションをいくつも見つけることができる。大柄な人にとっては乗り降りでさえエクスペリエンスになってしまう軽スポーツはホビーカーとしてのユニークさもあって評価されているようだ。
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