この記事をまとめると
■大型・中型トラックの助手席側ドア下部には窓がついていることがある
宅配トラックのミラーや四隅に付けられる謎テープ! 「安全」のための重要な取り組みだった
■この窓は「安全確認窓」といい左側面の安全を確認するために装備されている
■道路運送車両法に則って装着されている
トラックの死角をカバーする「安全確認窓」
国道など、幹線道路を行き交う大型や中型のトラック。迫力のある雄姿に見惚れるファンも多いのではないだろうか。なんとなく眺めていると見過ごしがちなのだが、じつは左右のドアには大きな違いが存在する。それは、ドア下にあるガラス窓だ。この窓は「安全窓」などと呼ばれているが、正確には「安全確認窓」といい、国産大型・中型トラックの左側(助手席側)ドアについている。
これは決して明かり取りや解放感を得るためのものではないし、飾りとして装着されているわけでもではない。ちゃんと、道路運送車両法の保安基準という法律に基づいているのだ。そこには、運転席から見えにくい部分は、ミラー、窓、確認装置などにより、確認できるようにしなければならないといったことが定められている。
大型・中型トラックは運転席が高く、車体が大きいために死角が多い。とくに、左側面は左折の際に巻き込み事故などを起こしやすく、細心の注意を払わなければならない場所である。「安全確認窓」はその名のとおり、左側面の安全を確認するために装備されているのである。
2019年10月に「側方衝突警報装置に関する国際基準を導入」するために、道路運送車両法・保安基準の一部が改正された。その適用時期は、新型車が2022年5月からで、継続生産車は2024年5月からとなっている。これにより、車両総重量8トンを超えるトラックは、側方衝突警報装置が装着されることになったので安全性が向上した。それでは、「安全確認窓」は単に飾り窓の扱いになるのだろうか。
結論からいうと、決してそういうわけではないようだ。なぜなら、車両に装着されている部品などは、正しく作動しなければならないという原則があることと、安全確認は基本的に目視が重要だとされているからである。
「安全確認窓」は左側面の安全を確認するためのものだから、装着されている以上はその機能を果たせる状態でなければならない。また、バックカメラでもドライバンのように物理的に見えない場合は仕方がないが、平ボディならモニターに頼るだけではなく、目視で確認をすることも大切だといわれている。幅寄せや左折をするときでも、サイドミラーを確認したあとに目視でも確認をするように、自動車教習所などでは指導しているという。
そのため、「安全確認窓」を塞いだり見えにくい状態にしたりしてはならないのだ。これは、道路交通法の視界妨害に抵触する恐れがあるだけではなく、道路運送車両法の違法改造にも問われかねない。違反をすれば減点や反則金、場合によっては罰金などの刑事罰が科される可能性もあるのだ。
具体的には、透過性のないフィルムやパネルなどを、簡単に取れない状態で「安全確認窓」を塞ぐ状態で固定し、完全に運転席からの視界を遮るといった行為だ。透過性が低いフィルムやパネルを、吸盤などといった簡易なもので取り付けている場合は、その状況によって現場で判断されているようだが、取り締まりの対象となることも少なくないという。
故意ではなくても、荷物、書類、工具などといったものを「安全確認窓」の前に置き、運転席から視認しづらい状況を作ることも、厳密には違反行為となりかねない。こういった厳しい取り締まりの背景には、依然としてなくならない左折巻き込み事故の悲劇を、撲滅したいという強い思いがある。「安全確認窓」をつねに見やすい状態にして、安全な運行を心がけたいものだ。
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