■国産キャンパーの代表格「ハイエース」が「こんにちは!」とお出迎え!?
2023年2月3日から6日まで幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された「ジャパンキャンピングカーショー2023(JCCS2023)」で、ステランティスジャパンが2022年12月から正規輸入を開始した新型車、フィアット プロフェッショナル「デュカト」ベースのキャンピングカーが相次いで発表されました。
トヨタ「ハイエース」など、日本車が主流の国産キャンピングカーの中で、同車の新規参入は「黒船来襲」だとする声も上がるなど、キャンピングカーファンの間からは強い期待感もあるようです。
【画像】ゴージャスすぎる! 「ハイエース」超えの「デュカト」キャンピングカーを写真で見る(60枚)
ジープやアルファ ロメオ、プジョーなど、ステランティスグループのクルマを輸入・販売するステランティスジャパンは1年前の2022年2月、フィアット プロフェッショナル デュカト(以下、デュカト)を正規輸入することを発表しました。
デュカトは、2020年に誕生40周年を迎えた欧州の商用車で、2020年と2021年にはヨーロッパにおける小型商用車のベストセラーです。
物流などの商業用途のみならず、欧州製キャンピングカーのベース車両としても7割以上のシェアを誇ります。
実際、日本でも海外製デュカトキャンパーをラインナップするキャンピングカー販売店も数多く、すでに並行輸入車として複数のモデルが導入され一定の支持を集めています。
こうした背景もあり、日本ではまずキャンピングカーのベース車両として全国5社のキャンピングカービルダーと契約し、正規販売を開始しました。
日本仕様のデュカトは2.2リッターディーゼルターボエンジンを搭載し前輪を駆動。ボディサイズは全長5410mm版と5995mm版の2タイプが用意されます。
SNSなどでは「キャンピングカー業界に黒船来襲か」「部品供給の面でも期待大」など、正規輸入を歓迎する声がみられます。
輸入元でも2017年にも一度記者発表を行うなど、数年前から長らくデュカト正規販売の検討を重ね続けていたため、ようやく導入がスタートするという印象もあります。
そんな状況下で積極的に働きかけを図ってきたのが、ステランティスジャパンとディーラー契約を結んだうちの1社、「トイファクトリー」(岐阜県可児市)代表取締役の藤井 昭文氏でした。
トイファクトリーは、ハイエースキャンパーで知られる国内の有力キャンピングカービルダーです。
同社の広報担当は次のように話します。
「藤井代表は“日本のキャンピングカー市場を欧米並みに盛り上げたい”という思いがあります。
そのためにはハイエースのキャンピングカーだけでは限界があると考え、欧州でキャンパーのベース車両として高いシェアを持つデュカトを日本にも導入したいとかねてから考えていました。
2022年9月にステランティスジャパンとデュカト専売の正規販売代理店契約を結びましたが、実は10年以上前から、イタリア・フィアット側に対し、直接交渉を続けていたのです」
デュカトが正規輸入を開始した裏には、こうした日本側の熱心な働きかけが大きなきっかけのひとつとなっていたようです。
それだけに影の立役者であるトイファクトリーは、JCCS2023の出展ブースにも特別な思いが込められていました。
ブースの正面に並ぶのは、正面で向き合うハイエース(キャンピングカーのベース車両となるスーパーロング・ハイルーフモデル)と、新型デュカト。しかも共に、キャンピングカー架装を行う前のモデルです。
前出の担当者は「引き続きハイエースキャンパーも力を注ぎながら、デュカトとともに両輪でいく決意を表明したもの」だといいます。
ハイエースのボディサイドには「こんにちは!」の吹き出し文字。
これに向かい合うデュカトには「Ciao!(チャオ:「やあ」「おはよう」「こんにちは」などあいさつで用いられるイタリア語)と記されています。
トイファクトリーの若手社内デザイナーが提案したアイデアで、藤井社長もふたつ返事で「これいいね!」と即採用されたそうです。
■「個性強め」な4タイプを用意するトイファクトリーの新型「デュカト」
そんなトイファクトリーがJCCS2023に初出展した新型デュカトのキャンピングカーは4タイプ。
しかもそれぞれ強い個性と主張が込められたラインナップとなっていました。
トイファクトリーの欧州ブランドモデルに名付けられる「EURO TOY(ユーロトイ)」シリーズに新たに追加された、日本正規輸入仕様の新型デュカトをベースにしたキャンパー。
その中で最もハイエンドなモデルが「DA VINCI(ダヴィンチ)」です。
シックな車内は大型の常設ベッドのほか大型のガスコンロやシンク、フリーザー内蔵の大型冷蔵庫に、独立したシャワー付きサニタリールームを備えるなど、ラグジュアリーな雰囲気で統一されています。
消費税込み価格は1397万円から。展示車両は6mのロングボディで1531万1670円です。5.4mのショートモデルもラインナップされます。
続く「Origin(オリジン)」は明るいインテリアカラーで、よりカジュアルなモデル。取り外し可能なシートも備え、多人数乗車も可能としています。
大人2名が就寝可能な後部のベッドに加え、展示車にはオプションのポップアップルーフも備え、プラス2名の就寝が可能。
価格は1097万8000円から。展示車両は5.4mモデルで1358万5880円で、6mモデルも用意されます。
そしてトイファクトリーのハイエースキャンパーを代表する仕様「BADEN(バーデン)」のフォーマットをデュカトに落とし込んだ「Euro BADEN(ユーロバーデン)」は、同社のノウハウが随所に盛り込まれました。
価格は1152万8000円から。展示車両は1283万2930円で5.4mモデルのみです。
最後は、シンプルなトランスポーター仕様「ASO bott(アソボット)」。
他のモデルが、トイファクトリー独自の断熱加工を施しているのに対し、ASO bottは大きな車体をそのままに、ドイツ製車両用キャビネットシステム「bott(ブート)」を組み合わせ、必要最小限のレイアウトとしています。
価格は822万8000円から。展示車両は963万4900円です。
※ ※ ※
トイファクトリーの広報担当者はデュカトについて次のように話します。
「安定感があって、ハイエースなどとは走りの質が違います。大きな車体ですが、乗用車のように運転しやすいので、長距離の車中泊旅もさらに楽しめそうです」
正規輸入を開始したデュカトをベースにしたキャンパーが、日本のキャンピングカー業界の新たな黒船となるのか、今後の動向が注目されます。
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みんなのコメント
客層が違い過ぎる。