3シリーズと同じCLARプラットフォーム
執筆:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
<span>【画像】モデルチェンジ BMW 2シリーズ・クーペ 先代M2や競合するスポーツモデルと比較 全113枚</span>
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
BMWによれば、モデル・ラインナップのなかで、2シリーズは間違いなくニッチ(隙間的)なポジションなのだという。素晴らしいコンパクト・スポーツクーペに魅了されてきた人にとって、存続を不安視させる発言ではある。
一般的に、世界的な自動車の量産メーカーは、できるだけ多くのクルマを売りたいと考えている。多くの販売が見込めないモデルへ、限りあるリソースを回すことは珍しい。
ご存知のとおり、コンパクト・ハッチバックの1シリーズは、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)へ切り替わった。2シリーズ・クーペは、BMWとしては唯一のフロントエンジン・リアドライブ(FR)を採用した、コンパクトモデルになっていた。
現在のBMWは非常に多様なSUVを展開することで、経営の屋台骨を構成している。しかし、近年のブランドイメージを牽引してきたモデルの1つが、2シリーズ・クーペだったことは間違いないだろう。レースカーのプッシュトゥパス・ボタンのように。
本来、2シリーズ・クーペは、1シリーズ・クーペから派生したモデルだった。ところが1シリーズのプラットフォームが変更され、結びつきは絶たれていた。そこでG42型の2シリーズ・クーペは、3シリーズや4シリーズとの結びつきを持つことになった。
ひと回り大きいCLARプラットフォームをベースとすることで、FRというレイアウトをキープ。BMW謹製の3.0L直列6気筒ガソリン・ターボエンジンを、高性能仕様へ搭載することも可能としている。どちらも歓迎したい内容だといえる。
FRのレイアウトに3ボックス・フォルム
新しい2シリーズ・クーペが、自動車を愛する技術者によって生み出されたことを示す事実でもある。先代の2シリーズ・クーペの販売では、大部分がM240iやM2という熱々の高性能仕様が占めていたということを考えれば、非常に理にも適っている。
G42型の英国での販売は、2022年初頭から始まる見込み。ガソリンエンジンの220iとディーゼルエンジンの220d、四輪駆動のM240i xドライブの3種類が、当初導入されるという。
英国価格は順に、3万4980ポンド(約538万円)、3万6900ポンド(約568万円)、4万5795ポンド(約705万円)に設定された。今回試乗したのは、最も値が張るM240i xドライブで、最高出力374psを発揮する3.0L直列6気筒を搭載する。
期待のM2は、2023年に導入予定だという。それまでは、このM240i xドライブが2シリーズ・クーペのトップグレードに位置する。
CLARプラットフォームをベースとすることになったG42型2シリーズ・クーペだが、見た目は写真のとおり見慣れたもの。エンジンルームとキャビン、トランクが別れたクラシカルな3ボックス・フォルムを維持しており、われわれのイメージ通りだと思う。
全体的に、従来より抑揚の強いスタイリングが与えられている。キドニーグリルは横へ大きくなり、古くからのBMWファンは眉をひそめるかもしれない。とはいえ近年のBMWとしては、抑制の効いた処理ではあるだろう。
ボディの軽量化と高剛性化に注力
高性能なM240iでは、フロントバンパーの角にカナードのような処理が付き、大きなスプリッターも備わる。ドライバー重視のクルマとして、空力特性もしっかり煮詰められていることはいうまでもない。
3シリーズも利用するCLARプラットフォームだから、2シリーズのボディサイズはだいぶ成長した。全長は先代より105mm長く4537mmで、全幅は64mm広がり1838mmになった。全高は28mm低くなっている。
ワイドになったことで、前後のトレッドも拡大。フロントで54mm、リアで31mm広くなり、コーナリング中の安定性を高めている。全幅で増えた数字と合わないのは、M240iに標準装備される19インチタイヤの幅も広くなっているためだ。
BMWによれば、現行のZ4の開発で得られた知見を活かし、2シリーズ・クーペではボディの軽量化と高剛性化に注力したという。ねじり剛性を12%高くしつつ、50:50の前後重量配分も保たれているとのこと。
エンジンルームのサイドメンバーやサスペンション・ストラットは、4シリーズ譲りのアルミニウム製を採用。ボンネットやフロントフェンダーも、軽量なアルミ材が用いられている。
サスペンションは、2シリーズ・クーペ共通でフロントが2ジョイント・スプリングストラット式となり、リアは5リンク式。さらにM240iでは、専用のMスポーツ・サスペンションが与えられ、ブレーキも大型化。新開発のリアデフも組まれる。
この続きは後編にて。
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