レッドブルF1チームは、コース上だけでなく、ピットレーンでも一貫して速さを示しており、6シーズン連続でDHLファステスト・ピットストップ賞を受賞した実績を持つ。そのレッドブルが、暗闇のなかでピットストップを行い、タイムをどこまで削れるかに挑戦した。
目の前が全く見えない環境で作業を行うため、クルーは、直感、筋肉の記憶、触覚、そして何より、彼らをワールドチャンピオンの座へと導いたチームワークに頼る必要がある。
メルセデスF1、ピットストップ作業の遅さを問題視「3.5秒もかかることを避けるため、機材を含めて改善する」
レッドブルは、完全な暗闇のなかでピットストップを行うという初のチャレンジ『ピッチ・ブラック・ピットストップ(暗闇ピットストップ)』をミルトン・キーンズのファクトリー、レッドブル・テクノロジー・キャンパスにおいて実施した。ヘルメットバイザーを黒いシートでふさいだ状態で練習を行った後、本番に取り掛かり、すべての視界が遮られた暗闇のなかでのチャレンジがスタートした。
最初のミッションでは8.84秒かかり、4回の試行でチームはその時間を4.93秒まで短縮。そして10回の試行の末、目標の3秒をクリアする、2.84秒という信じられないタイムを記録した。これは2019年ブラジルGPでレッドブルが達成した記録からわずか1秒差だ。
スポーティングディレクターのジョナサン・ウィートリーは、次のようにコメントした。
「『ピッチ・ブラック・ピットストップ』は、レースチームにとって考えもしないようなチャレンジだった。しかし我々は、典型的なレッドブルのやり方で対応し、予期せぬことが起こると期待できるようになった」
「視覚、つまりマシンやチームメイト、自分の作業を見ることは、ピットストップを成功させるうえで不可欠な要素であり、それが奪われると大きなハードルが現れる。しかしすぐに明らかになったのは、チームのアプローチ、コミュニケーション、能力、団結力がどれほど柔軟であるかということだった。そのため、この課題をほぼ当然のようにこなすことができた」
「彼らのパフォーマンスを誇りに思う。2.84秒というタイムは、明るい日中のタイムだったとしても強力なものだ。もちろん、レース中にライトを消したいとは思わないが、真っ暗闇のなかでこの作業を巧みにこなせるという事実は、クルーがどれほど優秀かということを示している。素晴らしい仕事だった」
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