北米でスポーツカーレースを統括するIMSAは、2023年のウェザーテック・スポーツカー選手権に新設するGTPクラスに向け、LMDhおよびル・マン・ハイパーカー(LMH)車両のホモロゲーションに関するタイムラインを明らかにした。シリーズは今年後半に2度の公式テストを設定し、2回目のテストにおいては2023年に参戦する全マニュファクチャラーの参加を義務づける。
3月16日、セブリング・インターナショナル・レースウェイで行われたメディア・ブリーフィングにおいて、IMSAはACOフランス西部自動車クラブとともに、LMDhの統合に関する最新情報を提供した。
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このブリーフィングは、両オーガナイザーに加え、LMDhにおける単一サプライヤーであるボッシュ、ウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング、Xトラックの全代表者が出席して行われたもの。
この場において、IMSAのコンペティション担当副社長であるサイモン・ホジソンは、IMSA/ACOのジョイント・プラットフォームの開発プロセスにおいて重要な節目となる、2022年後半に設定された2回の公式テストの日程を明らかにした。
最初のテストは、シーズン最終戦のプチ・ル・マンに続き、10月3~5日にミシュラン・レースウェイ・ロードアトランタで予定されている。
12月6~7日にはデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで2度目のテストが実施される。このテストは2023年開幕戦のデイトナ24時間に出場を希望するマニュファクチャラーにとって、参加必須となる。
ホジソンによれば、公式テストに至るまでに約25の個別のメーカーテストが行われ、その一部のテストは複数のマニュファクチャラーの間で合同で行われるもので、参加グループの間での「継続的な透明性と共有」という性格を持つものだという。
ポルシェはLMDh車両でのトラックテストを開始した最初のメーカーとなったが、ホジソンによれば、今年の第2四半期には、さらなる車両がオンラインになるものと予想されている。
「周知のように、さまざまなメーカーがさまざまな時期に車両テストを開始する」とホジソンは語っている。
「IMSAとACOは、すべてのメーカー間で適切なバランスの取れたテスト、そして情報の共有を促進すべく努めており、そのすべては公式テストにつながる」
「通常は公式テストを実施する場合、すべてのクルマが完全にホモロゲートされている必要がある」
「10月のテストへの参加が必須ではない理由は、その時点では我々がまだホモロゲーションの過程にあり、検査・検証を行っているためだ」
ホジソンはまた、全体的なスケジュールには重要な目的があると述べている。
「何よりもまず、ハイブリッドシステムの最終仕様を絶対的に定義したい」
「机上ではすでに行われているが、トラック上での検証が必要だ。これは非常に賢明なアプローチであるし、全員が同じ認識を持っている」
「現在は確かに、開発のフェーズから、今年の残りの期間を通じてテストでのレース仕様の開発へと、移行するタイミングではある」
「だが、全てのメーカーが10月に準備を整え、ロードアトランタに行くことができるだろうか? あり得るかもしれないが、個々のメーカーがそれぞれに適切なホモロゲーションのタイムラインをスケジュールしようとしているため、現実には難しいだろう」
それぞれのメーカーの正確なホモロゲーション時期は公に共有された情報ではないものの、公式テストの前後になるものとホジソンは示唆している。
「それ(公式テスト)に関連するスケジュールがあるのは明白だ」とホジソン。
「その前にはCFDのプロセスがあり、風洞におけるエラー特性の検証があり、次に機械的な検査がある」
「それらすべての前に、各メーカーによって供給と提供が必要な書類がある」
「ご想像のとおり、我々が行っていることを考えれば、じつに多くの作業をしていく必要があるため、スケジュールを立てて整理していかなければならない。もしスケジュールに間に合わないところが出てくるなら、緊急時対応計画を立てる必要もある」
「なぜなら、レースに先立ってすべての車両はホモロゲーションされる必要があるからだ」
■トヨタ、現時点ではLMHでのIMSA参戦に「確固たる計画はない」
COVID-19のパンデミックと、ロシアのウクライナ侵攻が相まって、世界じゅうの企業がコンポーネントに関するサプライ・チェーンの問題に直面している。
しかしホジソンは、現在発表されている2023年のLMDhプログラムが遅れるとは考えていない。ポルシェに加えてアキュラ、BMW、キャデラックはすべて、2023年1月の開幕戦デイトナ24時間に向け、準備が整うものと彼は捉えている。
「現時点で車両をシェイクダウンしていなくても、我々は彼らに対して充分な機会を提供している。彼らは、それぞれのダイナモ・パワートレーンでの作業をスタートさせるのに必要なものを、すでに手にしている」とホジソンは説明する。
「最終的に、彼らはそれぞれの車両を発表し、シェイクダウンする。そして前述のように、その点では、(トラックテストを通じて)さらなる知見を得ることになる」
「共通のエアロターゲットがあったとしても、誰もが異なる冷却システムを持ち、誰もが異なるエアロダイナミクスを持つ」
「明らかに積極的なタイムラインを持つものもあれば、他よりも遅れるものもある。だが幸いなことにLMDhは、(共通のコンポーネントがなく)完全に独自に行われる通常のメーカーのプログラムとは異なるものだ」
「彼らはあらゆる段階で、ほかのすべてのメーカーから、多くを学ぶことになる」
「もちろん、車両の走らせ方については、彼らが独自に持つ専有情報は常にあるものだ。だが、システム自体と必要な変更への対応については、彼らはそれを(個別に)実行することが可能になる」
一方、IMSAのテクニカル・ディレクターであるマット・カードックは、来季のウェザーテック選手権への出場を希望するLMHマニュファクチャラーは、9月1日までにIMSAへと通知する必要があると明らかにしている。
必要なパートナーシップ契約を確保することに加え、すべてのLMDhモデルの場合と同様に、IMSAに参戦を希望するLMH車両はIMSAが委託するノースカロライナ州のウインドシア社の施設で風洞試験を受ける必要がある。
また、2023年のGTPクラスに参戦するLMH車両は、前述の12月のデイトナでの公式テストにも参加する必要がある。
これまでのところ、トヨタは来年の特定のレースにおいて、ウェザーテック選手権のグリッドに参加する可能性がもっとも高いLMHメーカーのようだが、テクニカル・ディレクターのパスカル・バセロンは2022年WEC第1戦のレースウイークを前に、トヨタには「確固たる計画はない」、また「ある時点では議論されるかもしれない何かが残されている」と、Sportscar365に対し語っている。
「我々は現在非常に多くを学んでおり、それは必要に応じて運用プロトコルを変更、改良するのに役立っている。公式テストを最大限に利用して、すべてを実施していきたいと考えている」とホジソンは付け加えている。
「我々はすべてのメーカー、すべてのチームがデイトナ直前の“ロア”テストにやって来て、彼らに充分な準備が整っていると感じること、そして彼らに準備をする充分な機会があることを望んでいる」
「そのために現在、すべてのパートナーが強力な役割を果たしているところだ」
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