昨年来、日本の自動車メーカー各社から完成車の抜き取り検査における不適切な取り扱い、不正行為が明らかとなっている。もともとは国土交通省による日産自動車への立ち入り検査によって、無資格者によって完成車の抜き取り検査が行われているという不適切な取り扱いがあることが明らかとなったことがきっかけだ。そこから、メーカー各社に国土交通省から調査の指示があり、SUBARUで無資格者による検査が判明。さらにスズキ、マツダ、ヤマハ発動機から完成車の抜き取り検査における排ガス試験での不適切な取り扱い、不正が明らかとなった。もはや、国産メーカーでクリーンなのはトヨタグループとホンダくらいといった状況だが、ある意味では古い体制から続く膿を出す時期といえるのかもしれない。
それはさておき、2018年9月26日に日産とスズキが抜き取り検査における不適切な取り扱いについての再調査についての報告を発表している。いずれも不正行為といえるのは、排ガス検査においてトレースエラー(モード走行から一定以上外れてしまうこと)や測定条件の書き換えが主だったところで、日産はブレーキフルードセンサーのチェック、アライメント調整などでも試験の不実施や測定値の書き換えがあったことを新たに認めている。
スズキ、燃費・排ガスの抜き取り検査でデータ改ざん、新たな不正が判明
そうした不適切行為の原因について、両社の言い分は似ている。いずれも報告書にある要因として共通している事項を整理すると『検査人員の不足』、『コンプライアンス意識の欠如』、『営業優先の考え方』といったところになる。そもそもデータの書き換えができるような体制や仕組みに問題があったといえるが、それも含めて上記の理由が要因だろう。
検査員の人員不足についていえば、日産では『NGがでないことを前提』としていたというし、スズキの調査では『業務量が多く再測定を行う余裕が無かった』という現場の声が報告書に記載されている。自動車という一歩間違えれば大きな事故につながる可能性のある商品を製造している自動車メーカーとしては完成車検査というのは重要なはずだが、直接的に利益を生まない検査部門に人員を割くという発想をなくしていったようだ。
また、再検査による納期遅れを許さない雰囲気もあったという。スズキでは『営業部門から工場工務課を経由し検査員に出荷予定の問い合わせ』があったというし、日産では『計画通りの生産出荷が優先され、完成検査が軽視』されていた。
いずれにしても完成車検査における不正な書き換えなど不適切な取り扱いについて、両社の報告書を見る限り、検査部門のあらゆる面において『行き過ぎたコスト意識』を持って対応したことに起因しているという印象を受ける。本来、検査部門というのは管理やコストの面も含めて、生産部門とは独立しているべきであり、むしろ生産部門と対峙してユーザー側に立つべき部門だ。
今回、不正事例が指摘されていない某メーカーの工場を見学した際に、生産部門のリーダーが検査部門について「我々とは異なる視点でユーザーのために働いている」と、お互いの立場を理解した上でリスペクトしていると発言しているのを聞いたことがある。そうしたバランスが崩れてしまったことが、完成車検査における不適切な取り扱いにつながったのだろうが、フェアなバランスに戻すためには現場の改善だけでは難しいだろう。検査部門の重要性と独立性を高めるべく、各社のリーダーシップに期待したい。
文:山本晋也
自動車コミュニケータ・コラムニスト
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