現在位置: carview! > ニュース > イベント > カーデザイナー永島譲二の水彩画展 アウトガレリア・ルーチェ企画展

ここから本文です

カーデザイナー永島譲二の水彩画展 アウトガレリア・ルーチェ企画展

掲載 更新
カーデザイナー永島譲二の水彩画展 アウトガレリア・ルーチェ企画展

生粋のクルマ好きがデザイナーに

永島譲二さんは、子供の頃から新しいアメリカ車や欧州のスポーツカーを間近に見られる環境に育ち、少年時代に行動の範囲が広がってからは自ら外車ディーラーを訪れ、自動車雑誌を愛読書としていたというから、極め付けのエンスージャストであり、長じてカーデザイナーになったのも宜なるかな。しかし、持って生まれた才能とセンスがあったに違いない。

『カーデザイナー永島譲二の水彩画展』すべての画像をみる

デトロイトのミシガン州立大学の芸術学部工業デザイン科を卒業する頃にはピニンファリーナからの採用通知も届いていたが、あえてGMに入り、その傘下にあったドイツのオペルへの配属を希望した。そしてオペルからフランスのルノーへ転籍すると、サフランをデザインした。その後BMWに移籍して、Z3というモダンでありながらクラシックな趣も両立させた、それまでのBMWにはなかったデザインを持つスポーツカー生み出し、高く評価された。現在はBMWデザインを統括する立場にある。

デザイナー的見解の素晴らしさ

また、自動車雑誌誌に『名車の残像』という所謂『名車』の数々をスタジオ撮影して、毎回取り上げられた車についての論評的エッセイを連載した。その後、『駄車・名車・古車 デザイナー的見解』という、今度は写真ではなく自ら描いた水彩画といくつものイラストを混じえて、さらに広範にクルマをめぐるエッセイの連載を始め今に至っている。

『美は細部に宿る』という評語もあるけれど、その連載エッセイでは、自動車の長い(といっても100年少々だが)歴史のなかから、GMのデザインの秘密と伝統を開示してくれたり、時には傍流の車のデザインであったり、また誰もが知らない埋もれてしまった孤独な車や、そのデザインのごく細かいところを取り上げるなど多方面に渡り、とても興味深いものである。森全体も見渡しながら、一本の木の周りに共生する苔や粘菌類にまで注目するように、ごく細かいディティールまでも、ないがしろにしない人、と思わせられる。その文章は示唆に富み、自動車について書きながら、それを取り巻く我々の文化全般に筆は及ぶ。

美術批評、建築批評に比べて、自動車についての言説は、批評の領域に達せず、ほとんどが単なる商品解説に過ぎないなかで、永島譲二の『デザイナー的見解』によるエッセイは貴重だ。彼は感覚ばかりか言語でも、自動車という存在に迫ろうとする。日本的ではないロゴスの人である。

水彩画への転換

しかし、また、言葉を超えたイマージュが、その古今東西のクルマのデッサン/イラストや水彩画が素晴らしい。水彩画は、ある時、自動車デザイナーとしての技法がすべて自家薬籠中の物として到達点に立ったと自覚した時に、新しい地平を開拓するために、それまでの技法や画材をすべて捨てて、新しく始めた技法だった。そこで新たな境地に進出したのだが、その作品はロベール・ドローネーやジョルジュ・スーラのように素晴らしい。とりわけ、パリの街角に佇むプジョーやシトロエンやパナールなどが素晴らしい。その光と陰。先に挙げた画家たちのように色彩が豊かであるけれども、もっと奥行きがあり陰影がある。そして、クルマの本当の美しさを伝えてくれるかのようである。それは微妙なセンスなので、誰もがわかることではないかもしれない。しかし、彼は言葉とイマージュの両方によって、その微妙なセンスをより多くの人に伝える努力を怠らない知性と誠実の人である。

永島譲二さんはある時、述懐した、『いくらカッコよくデザインしたつもりでも、周囲の環境によってはそれがカッコ悪くも見えてしまう。そのことを教えてくれたのがパリの街だ。パリぐらい似合う車と似合わない車がハッキリわかれてしまう街は他にない』と。

今回のアウト ガレリア ルーチェの企画展では、永島譲二さんの絵画作品に合わせて、パリという美の判定の厳しい街で走り佇む、さりげない普通のクルマたちが展示されている。ここから何を感じ取るかはあなた次第ということになるのだろう。
展示車は、ルノー、シトロエン、プジョーというフランスの3大メーカーに加えて、今は存在しないパナールを含め、5台(室内)プラス1台(屋外)であるが、まさにフランスを代表するメーカーの代表的な車種が選ばれているので、この機会にキャプションでそれぞれのメーカーの簡単な歴史と車両の解説を行ってみた。

カーデザイナー永島譲二の水彩画展

開催場所:
アウト ガレリア ルーチェ
名古屋市名東区極楽1-5
TEL:052-705-6789
開催期間:2019年2月2日~4月30日
開場時間:12:00~18:00
休館日 :月曜日、火曜日(祝祭日を除く)

34枚の写真でみる詳細レポートは、記事下の「すべての画像をみる」で公開中。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

216.8253.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

118.0245.0万円

中古車を検索
ルーチェの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

216.8253.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

118.0245.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村