グローバル・サプライヤーのヴァレオは第68回フランクフルト・モーターショー (IAA 2019) に最新技術をラインアップして出展した。このイベントは、自動車産業最大のフォーラムであるだけではなく、モビリティに関する最新の成果を披露する世界有数の展示会だ。
展示概要
【フランクルフトモーターショー2019】モビリティライフバランスというZFのソリューション
今回のモーターショーではパワートレーンの電動化、自動運転、そしてデジタルモビリティ3つの分野で、ヴァレオはイノベーション技術を出展している。
48Vハイブリッド
電動モーター、車載チャージャー、DC/DCコンバーターなどヴァレオのエレクトリカルシステムをフルに搭載したプラグインタイプのファミリー向けハイブリッド試作車。都市部では最高70 km/hまでで40 kmの電動走行が可能。さらに長距離の走行では内燃エンジンへの切り替えることが可能。
高電圧システムのeDrive を搭載した車両は、CO2を排出することなく、0~100km/hを4秒以内で加速できる。
LiDAR用とクリーニングシステム
ヴァレオはLiDARをすでに自動車メーカーに供給しているが、今後の自動運転のためにはますますその重要性は高まっている。自動運転車には、その周囲を解析するため、より多くのセンサーが搭載されるが、それらのセンサーは常にクリーンに保たれていることが必要だ。
2024年には、自動運転車の4台に1台が、ヴァレオが開発したクリーニングシステムを搭載していることが想定されている。ヴァレオはすでに自動車メーカー各社へ、各種のカメラとLiDARに対応した3種類の自動クリーニングシステムを供給している。
カメラ用クリーニングシステムには数種類のノズルのタイプがあり、通常は小型の格納式ノズルを備え、外部にあるレンズに適量の洗浄液を噴射する。乾燥システムと組み合わせることもでき、冬季の性能を高めるために解氷機能を加えることもできる。
LiDAR everView洗浄システムはLiDARセンサー向けのクリーニングテクノロジーで、他社製の手動システムでは100mLの洗浄液の消費量をわずか25mLに抑えている。
多機能ルーフ・モジュール
今後、無人運転のタクシーの3台に1台に、ヴァレオのルーフマウント・モジュールが搭載されると想定されている。ルーフマウント・モジュールには複数のシステムを同時にコントロールする車載電子コントロールユニット、カメラ、LiDARスキャナーなどのさまざまなセンサーとクーリングシステムが搭載できる。
ヴァレオのようなシステム指向のメーカーだからこそ、このような独自の分野で画期的なテクノロジーを組み合わせ、自動運転車向けの多様性のあるソリューションを生み出すことができる。
ドライバーに合わせて環境を最適化するスマート・コクーン
スマート・コクーンは、ドライバーの気持ちを感じ取ることのできるクルマという発想で開発されている。この画期的なテクノロジーは、乗員の体形や心拍数、服装など乗員一人ひとりに適した快適な車内環境を作り出すことができる。
乗員ごとのニーズに合わせて温度や気流などを調整することで、エネルギー効率も最大で30%向上させることができる。このシステムはAIとさまざまなセンサーが収集した情報を活用し、気温や照明、音響効果、フレグランスを組み合わせて、各個人に最適化した快適さをもたらすのだ。
たとえば車室内の照明は、室温に応じて快適さを高めるように、暖房時には暖かい色合い、冷房時には涼しげな色合いへと自動的に調整される。車両側もドライバーと同乗者の疲労や注意散漫な状態、感情、ストレスの兆候を検出し、彼らの状態を考慮する状態に変化させることもできる。
エキストラビュー・トレイラー
ヴァレオのエキストラビュー・トレイラー(XtraVue Trailer)は、これまで例のない技術で、自車がけん引するトレーラーやトレーラーハウス後方の状況をドライバーが視認できるというものだ。
このシステムは、自車とそのけん引するトレーラーやトレーラーハウスの後部に搭載したビデオカメラを活用。ドライバーの前方に設置したディスプレイに、あたかもトレーラーやトレーラーハウスが消え去ったかのように合成された後方視界の画像を表示することができ、ドライバーは後方で何が起きているかを視認できるようになる。そのため被けん引車の大きさに関係なく、運転操作はこれまでになく容易になり、車線変更、バック、駐車などのあらゆる操作を自在に行なうことができるようになる。
ネットワークを利用したヴァーチャルリアリティ
数々のセンサーを搭載したクルマは、スマートフォンのようなコミュニケーションツールにもなり得る。ヴァレオ・ヴォヤージュ(Valeo Voyage)は、ドライバーと車外にいる人のつながりを生み出すことができる。
バーチャルリアリティ(仮想現実)のヘッドセットとハンドコントローラーを装着することで、離れた場所にいる人がクルマの後部座席へと瞬間移動し、ドライバーが見るルームミラーの中にアバターとして姿を視認できる。仮想の同乗者は360度の視界が得られ、ドライバーの姿を見て会話することができ、ドライバーが見聞きするすべてのことをリアルタイムで体験することができる。
これまでに例を見ないクロスリアリティ (XR) エクスペリエンスを提供する、世界初の自動車向け没入型コミュニケーションシステムがヴァレオ・ヴォヤージュだ。このシステムは環境認識用のセンサー、エクスペリエンス・シェアリング用のコネクティビティ、没入型のバーチャルリアリティなど、様々な革新的なテクノロジーが盛り込まれている。
そしてボディトラッキング・テクノロジーを使用し、乗車しているドライバーと同乗者の位置を検出するのにカメラを使用。対象の人間の身長・体重を予測して、快適性と安全性関連の機能を起動する。このテクノロジーを活用して、乗員の動きを検知し、アバターとして複製するのだ。さらに指向性サウンドシステムで、仮想的な乗員が物理的にそこにいるかのような効果を高める。
物理的なスペースに適合したサウンドシステムにより、車室内の乗員同士と車側と外にいる仮想乗員とのコミュニケーションを円滑に行なうことができる。また量産品である4台のパノラマ式カメラがリアルタイムで交通状況を把握し、周囲360度の視界を作り出す。
デジタル式のルームミラーはバーチャルな世界への入り口となり、離れた場所にいる人をまるで後部座席にいるかのようにアニメ化してそのアバターを映し出す。もちろんモニターによって、写真や動画、音楽、クルマの目的地に関する最新の情報など、さまざまなデジタルコンテンツを共有することができる。
2019年9月18日記事記載の一部間違いがあり、修正しました。
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