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2代目シトロエンC3は「小さくても快適な乗り心地」を追求、他にはない強い個性を持っていた【10年ひと昔の新車】

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2代目シトロエンC3は「小さくても快適な乗り心地」を追求、他にはない強い個性を持っていた【10年ひと昔の新車】

2009年11月、欧州でシトロエンC3が2代目へとフルモデルチェンジした。快適な乗り心地と居住性を追求、広い視界をもたらすゼニスウインドスクリーンを特徴としていた。今回は日本発表を前に、イタリアで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年1月号より)

カテゴリーの中でも小さなサイズを意識
去る2009年9月のフランクフルト国際モーターショーで披露された2代目C3。このモデルで見逃せないポイントは、「大きさを売りものにしない」ということだろう。

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全長×全幅サイズは3944×1708mm。従来型よりも多少成長したし、日本では3ナンバー規格へと踏み込んでしまうのでイメージ的には損な部分もありそうだが、それでもコンパクトであることに変わりない。

実際、シトロエンではこの新型を「カテゴリーの中でも意識的に小さなサイズを狙った」と述べている。ドイツ車を中心にモデルチェンジを経るごとに肥大化が進むことへのアンチテーゼが込められたのが、この新型のデザインの基本と言っても良さそうだ。

同時に、フロントシートに座るパッセンジャーの後頭部にまで伸びた「ゼニス(=天頂)ウインドスクリーン」が大きな売り物だが、いざ乗り込んでみると、外観から察する以上に光溢れる空間が提供されることにあらためて驚いた。

「金魚鉢の中から外を覗いたような」というのは、C4ピカソの印象を語る際に私が用いたフレーズだが、このモデルでの感覚もそれに近い。夏の強い日差しの下での防御対策が心配になるという人もいるかもしれないが、ここもC4ピカソの場合と同様、サンバイザーを組み込んだルーフライニングをスライド式に前進させる工夫が盛り込まれているので、いざとなればごく一般的なクルマと同等のサンプロテクトが可能となっている。

インテリアを中心にクオリティが大幅に向上したのもニュース。とくに、ダッシュボード周りの質感アップは著しいし、ハンドルやドアグリップなど、手を触れる部分のクオリティ向上も見違えるほどだ。デジタル式スピードメーターをメインとした従来型に比べ、3連丸型が基調となる新型のメーターは妙にスポーティなスタンスを強めたが、ここにはダッシュボードを共有するブランニューモデルである「DS3」との絡みの事情もあるはずだ。

コンパクトなサイズの中に大人4名にとって必要十分なキャビン空間を実現させたのはなかなか巧みな部分。ホイールベースは従来と変わらないもののシートバック背面や下部の造形が工夫され、後席での足先やニースペースがグンと改善されているのだ。ラゲッジスペースも床面積は決して大きくないものの深さはかなりあるので、実際にはかなり多くのものを積めそうだ。

同門であるプジョーともテイストの違いは明確
「明るい陽光を求めて」とも言えるイタリアでの国際試乗会でテストドライブを行ったのは、BMWとの共同開発で生まれた1.6Lで120psを発揮するエンジンを搭載するモデル。現地に用意されていたのは5速MT仕様に限られたが、日本にはトルコンATとの組み合わせで導入されるという。ただし、それが4速仕様というのはこの期に及んで残念なポイント。5速でも100km/hクルージング時に2900rpmに達するエンジン回転数は、さらに高まってしまいそうだ。

走りの面で感心したのは、実はそんなパワーパックが生み出す動力性能ではなく、路面への当たりがフンワリと優しく、しかし非凡なライントレース性や安定感を味わわせてくれたフットワーク。兄弟ブランドのプジョー車がこのところ妙に突っ張り気味な足まわりの仕上がりを示す場合が多いのに対し、いわゆる「フランス車らしさ」を色濃く味わえるのは圧倒的にこちらの方。と同時に、静粛性でも褒めるべきポイントが多々感じられるのがこのモデルだ。こうして、同じカテゴリーに属するモデルでもブランドの違いで想像以上に大きなテイストの差が実感できるのは、PSAのグループ戦略の成せる技だろうか。

ところで、そんなC3のラインナップには、モノスペースカーである「ピカソ」も存在する。こちらはパリのシトロエン本社で1.4Lの5速MTモデルを借り出してのテストドライブとなったが、その仕上がりはやはり非凡なものであった。通常のAピラーに加えて「サブAピラー」との間に異型の3角窓が存在するが、それも含んだ視界の広がり感が圧倒的。前方Aピラーが生み出す死角はほとんど気にならず、ベルトラインと相まって全方位への見晴らし感が抜群だ。

正直、加速の能力には時に物足りなさを覚える場面もあったが、こちらもまたフンワリと優しい乗り味と期待を上回る静粛性の高さが感動モノ。リアシートをアレンジすれば商用バンばりの積載スペースを生み出せる一方、4078×1730mmという「日本にもジャスト」なボディサイズが、入り組んだパリの裏道でも威力を発揮してくれた。

ただし、何とも惜しいのは、このモデルには現在のところ、日本導入の予定が立たないということ。どうやらATの設定がないことに起因するようだが、そんなポイントを上陸への障壁にしてしまう日本固有のAT免許制度の存在が何とも恨めしい。(文:河村康彦)

■シトロエンC3 VTi 120 主要諸元
●全長×全幅×全高:3944×1708×1514mm
●ホイールベース:2456mm
●車両重量:1075kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1598cc
●最高出力:120ps/6000rpm
●最大トルク:160Nm/4200rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:FF
●タイヤサイズ:195/55R16
※EU準拠

[ アルバム : 2代目シトロエンC3 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

3件
  • いい車でした。
  • ゼニスウインドウに憧れて試乗に行ったら、身長186cmの自分だとゼニスウインドウに頭が
    ぶつかる。コビトかつ脚が長い民族じゃないと快適じゃない。ラテン民族専用車。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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