欧州最大の対中輸出国ドイツは反対
欧州連合(EU)は7月5日より中国製EVに暫定的な追加関税を適用した。一方、11月の「恒久化」に向けて中国政府との交渉は続いている。
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既存の10%の輸入関税に加えて、自動車メーカーごとに追加の関税が課せられる。EUの立法機関である欧州委員会への調査協力を怠ったとして、上海汽車(SAIC)に対しては37.6%が上乗せされた。
当初は38.1%の上乗せが発表されていたが、その後の交渉により0.5%引き下げられたという。
欧州委員会の声明によると、BYDは17.4%、吉利汽車(ロータス、ポールスター、ボルボなどの親会社)は19.9%の追加関税を支払わなければならない。
その他、協力に前向きな場合は20.8%、非協力的とみなされた場合は37.6%の追加関税が課される。
協力的な企業として、BMW iX3を生産するBMWブリリアンス・オートモーティブや、ダチア・スプリングを生産するeGTニュー・エナジー・オートモーティブなどが挙げられる。
非協力的な企業には、BMWと長城汽車の合弁会社でミニ・クーパーのEV仕様を生産するスポットライト・オートモーティブが含まれる。
欧州委員会は声明で、安価な中国製EVは「EUのBEV生産者に経済的損害の脅威をもたらす」と述べた。中国政府からの「不当な補助金の恩恵を受けている」と結論づけた上で、追加関税の適用に踏み切った。
ドイツの自動車メーカー各社は、この追加関税に声高に反対している。メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン・グループは、中国での自動車販売台数が他のどの市場よりも多い。追加関税は中国からの報復を招き、中国への輸出が脅かされる恐れがある。
中国は、欧州委員会に追加関税を取り下げさせるよう圧力をかけるため、特にドイツを狙っている。
追加関税は暫定的に4か月間続き、その後「恒久」的な関税が適用され、5年間続く。
欧州委員会は、「世界貿易機関(WTO)と互換性のある解決策」の実現に向けて中国と交渉を続けていると述べた。
EUは中国製EVの最大の輸出先であり、2023年には全体の33%を占めた、と欧州委員会は指摘する。
「EU市場におけるBEVの価格は、中国市場におけるBEV価格よりも著しく高いため、中国の輸出メーカーには高い利益を実現する機会が与えられている」という。
EU市場は、平均CO2排出量を削減するためにEVの普及促進を図っており、法整備も進んでいる。
EUから離脱している英国は今のところ、中国製EVへの関税引き上げを行っていないが、やがてEUに追随する可能性が高い。
自動車業界幹部や業界ウォッチャーは、英国はEUに「従わなければならない」、さもなければ中国メーカーからの圧力が強まるとしている。
中国のEVメーカーが不当な補助金の恩恵を受けているかどうかについては、原則として国内メーカーから苦情を受けた場合にのみ、貿易救済庁(TRA)が調査を行うことができる。「例外的な状況」では、国務長官が調査を強制することもできる。英国の業界団体SMMTの関係者によると、先週の時点で苦情は寄せられていないという。
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