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BYDドルフィン コンパクトEVで内外装のクオリティは上々 しかしながら残念な初試乗の顛末も

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BYDドルフィン コンパクトEVで内外装のクオリティは上々 しかしながら残念な初試乗の顛末も

BYD日本上陸第二弾は精悍なイルカ

先の東京オートサロン2024に出展したBYD。同社の黒ずくめのブースで注目を集めていたのは、4ドアセダンのBYDシールだった。

【画像】BYDドルフィン試乗の様子をみる 全44枚

やっぱり全身黒ずくめで、何しろカッコイイ。その傍らで、今回の主役であるコンパクトハッチのEVモデル、BYDドルフィンもそれなりに注目を浴びていた。

ちなみにシールは今年の春ごろ発売が開始される予定。対するドルフィンは昨年秋ごろ、アット3に続くBYDの日本上陸第二弾として販売がスタートしている。

全長4455mmのアット3に対し、4290mmのドルフィンの見た目はひと回り以上コンパクトに見える。ボディサイドの凹凸が滑らかなアット3に対し、ビシッとシャープなプレスラインが入っていることでも引き締まり感がある。はっきり言ってアット3以上にデザインコンシャス。まとまり感は素晴らしい。

ドルフィンには今回試乗した標準モデル(バッテリー容量44.9kWh)と大型バッテリー(58.56kWh)を積むドルフィン・ロングレンジがある。

両者は最高出力も異なり、標準の95psに対しロングレンジは204ps。ちなみにどちらもFFということになる。さっそく標準モデルのドルフィンに乗り込んでみよう。

外観より楽しそうな内装こそBYDの個性?

先に試乗したアット3はユニークな室内の造形に驚かされた。ドルフィンはその名の通りイルカを意味しており、波打つようなラインが絡まるダッシュパネルでもわかる通り、海やイルカがモチーフになっている。

アット3の室内は奇をてらった造形が多く見られたが、操作系の使い勝手はコンサバにまとめられていた。だがドルフィンのそれはセンターコンロールに並んだ丸いスイッチ、イルカの胸びれ風のドアハンドルなどすっきりした意匠の中に工夫が盛り込まれている。

プラットフォームがアット3と共用なので当然なのだが、ステアリングやその奥に据えられたメーターパネル、センターモニターの部品は一緒である。一緒なのは問題ないが、メーターパネルに小さく表示された文字が見にくい点は老眼泣かせで大いに気になった。

アット3よりデザインフェーズが新しく、同時に外装と同じく室内の仕上げもいい。これは期待できそうだと思い走り出す。ところが第一印象は「なんだか軽い」だった。

いい意味で軽いのではなく、車体全体の質感がどうも軽々しい。先に乗ったアット3は骨太な感じがして、作り込んだ感があったのだが、ドルフィンは対照的に思えたのである。

動的質感の軽さはコンポーネンツ由来?

95psとはいえスロットルの踏みはじめからほぼ最大トルクが出るBEVなので、動力性能に不満はない。速いわけではないが、これくらいあれば実用上は全く問題ない。

ちなみに小さなメーターパネル内を凝視すると、バッテリー残量87%で325km走行可能と出ていた。これはWLTCモードにおける一充電走行距離が400kmであることを考えれば上出来な値だと思う。

撮影場所まで試乗車を乗ってきてくれた新人編集部員のK君がかなりおとなしく運転してきたから、ということとも関係しているのかもしれないが……

そのK君が標準とロングレンジでホイールナットの数が違うということを教えてくれた。なるほど標準は4本スタッド。ロングレンジは5本あるのだろう。

となると恐らく、ハブまわりの容量が違うはず。またロングはアット3と同じくリアサスがマルチリンクになっているらしい。車体下を覗いてみると試乗車のリアサスはトーションビーム。標準のドルフィンが「軽々しい」原因が分かった気がした。

別に小さなハブやトーションビームが悪いと言っているわけではない。コンポーネンツのサイズ感がそのまま動的質感に表れてしまっている点が残念だということである。

最後に梯子を外された? 結論は持ち越しか

動的質感という話は、荒れた路面からの入力に車体全体が振動してその収まりが悪かったり、少しペースを上げて走るとタイヤの空気圧が足りない時のように若干ロードホールディングがピタッと定まらない時がある等々。

だがそれはコンパクトかつベーシックなEVというドルフィンの立ち位置を考えれば「重箱の隅をつつく」ような話かもしれない。

同じ日に乗ったアット3の時もそうだったのだが、こちらが初めて乗る中国車の印象を急いで収集すべく、いつもより過敏になってしまっていたきらいは否めないのである。

だが最後にひとつ、レーンキーピング機能付きのアダプティブクルーズコントロールの仕上がりだけは納得がいかなかった。この分野は今後進歩のシロがきっとあるはずだ。

後日、K君が車両を返却する際にBYDジャパンの方から聞いた話として、今回の試乗車がプロトタイプ的な未完成な部分を含む個体だったと教えてくれた。そんな状態で乗せないで! とも思うしそれも含めてメーカーの姿勢として取られてしまいますよ、とも思う。

ぜひ今後「これでどうだ!」の正しいドルフィンに乗ってみたいし、たぶん骨太な(?)ロングレンジにも試乗してみたい。

試乗車のスペック

価格:363万円(税込 オプションなし/補助金除く)
全長×全幅×全高:4290×1770×1550mm
一充電走行距離:400km
駆動方式:FF
車両重量:1520kg
電動機:交流同期電動機
定格出力:35kW
最高出力:95ps/3714~14000rpm
最大トルク:18.4kg-m/0~3714rpm
パワーバッテリー:リン酸鉄リチウムイオンバッテリー
総電圧:332.8V
総電力量:44.9kWh
タイヤサイズ:205/55R16(フロント)205/55R16(リア)

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みんなのコメント

3件
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    リセールは期待しない方がいいな
  • cam********
    トヨタはBYDのこのクラスにガラを変えて今年中に発売予定のはず。
    エンブレムがトヨタなら取り合えず売れると言う現象はBEVでも同じだろな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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