日本のクルマ界でトヨタがトップに君臨しているのは今に始まったことではない。しかし、ここ数年はトヨタにライバルが存在せず一強ぶりが際立っている。
本稿では「技術」に的を絞ってり、そんなトヨタの強さの秘密と、トヨタよりライバル各社のほうが優れているものについて自動車評論家 鈴木直也氏に考察してもらった…の…だが!!?
「優れた技術」だけではもうトヨタには勝てない!? トヨタ強さの礎とは何? 撃破のキーを握るメーカーはどこ??
※本稿は2022年4月のものです
文/鈴木直也、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年5月10日号
■「徹底した原価低減」がトヨタの武器
量産車で最も厳しい制約はコスト。高度な技術があっても、それを低コストで生産できないと売れるクルマにならない。
トヨタがすごいのは、この「原価低減」を徹底的に追求する姿勢。
初代プリウスなんか、いま思うとべらぼうに高コストなクルマだったけれど、不断の原価低減努力でそれを誰でも買えるクルマにしちゃった。
つまり、トヨタの人は原価低減に挑む時一番燃える、ということ。
社内的にも、そこが一番評価されるわけだから、サラリーマンとしてはやっぱりそこに集中するのが正解だしね。
トヨタはどのメーカーよりも原価低減を推進。その最たるものが初代プリウスだった
ところが、クルマ社会が100年に一度の変革期を迎えている現在、いろんな“タネ”を蒔いておかないと、将来への対応で後れをとる。
原価低減至上主義では、変なクルマや面白いクルマはなかなか芽を出せない。
豊田章男社長が口を酸っぱくして「もっといいクルマを作ろう」と声を上げる理由はそこ。
ライバルが付け入るスキがあるとすればここしかない。
この原稿のテーマは「技術に絞って、トヨタよりライバルの方が優れているもの」だが、この切り口では永遠にトヨタに勝てない。
キモは、技術より企画力。それも、なるべくぶっ飛んだ発想力がカギになってくると思う。
そういう意味で、ぼくが「このメーカーはわかってるねぇ」と思うのは、1にスバル、2にマツダ。
水平対向AWDはもちろん、SKYACTIV-XやGベクタリングコントロールなど、オタクを極めてそれが半ばブランド神話と化しているのがスゴイ。
ニッチに徹することで磨かれた個性的な技術が自社の競争力の根源、それをこの2社はよく理解している。
対照的に、かつてはそういう“物語”がたくさんあったのに、最近それが絶えて久しいのがホンダ。
ホンダeに続く「変なクルマ」の登場を期待したい。
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みんなのコメント
その通りです。