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【試乗】ヘビー級のSUVでも操縦性抜群! 横浜ゴムの新ジオランダー「X-CV」が見せる衝撃の完成度

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【試乗】ヘビー級のSUVでも操縦性抜群! 横浜ゴムの新ジオランダー「X-CV」が見せる衝撃の完成度

 中谷明彦がジオランダーのニューモデルにいち早く試乗!

 主にSUV向け用タイヤとして知られる横浜タイヤのジオランダーブランドに新モデルとして「X-CV」がラインアップに追加された。

【今さら聞けない】タイヤの溝に挟まった小石は取るべき?

 これまでジオランダーブランドにはSUV用標準モデルとしての「SUV」を中心に悪路に強いタフなイメージの「M/T」、オールラウンダーな「A/T」、中・大型SUV向けの「H/T」がランアップされており、これらはすべてオールシーズン「M+S(マッド&スノー)」の性能表記が与えられている。

 これに加え本格的な雪上性能が与えられたスタッドレスタイヤの「I/T-S」もバリエーションにあった。そんななかで今回登場したX-CVはハイパフォーマンスな欧米車のクロスオーバー系SUVにもマッチし、快適性や安全性も重視するユーザー向けのタイヤとして設定された。

 とくにウエットの制動性能を向上させ、静粛性等のコンフォート性にも優れたタイヤに仕上がっているという。さっそく試乗する機会を得られたのでリポートしよう。

 まずは最初の試乗車はメルセデス・ベンツの最上級コンフォートSUVであるGLE。車輛総重量が2トンを優に超える重量級かつハイパワーなSUV車だ。タイヤサイズは265/45R20。こうした大型車向けサイズとして35~55のハイアスペクトレシオで18~22インチまでの大型サイズが用意されているのが大きな特徴でもある。

 走り始めると、最初のタイヤのひと転がり目からステアリングを通じてしっかりした手応えが伝わってくるのがわかった。試しにロックツーロックの据え切りを試すと大舵角まで手応えが持続し、しっかりとしたケース剛性に支えられている感じを受けた。そのままワインディング路へ進むと、高い剛性感は持続したままながら路面反力は押さえ込まれ不快なハーシュネスは伝わってこない。

 これほどの大きなサイズではバネ下重量としてのタイヤ&ホイールは重量が大きく、快適性を確保するのは難しい。しっかりしたタイヤ位置を保持するためにはサスペンションをハードにし、ブッシュのコンプライアンスに頼らないと得られなかったりする。

 メルセデス・ベンツGLEはもともとそうした要求性能を高レベルで満たしているだけにリプレイス用タイヤで純正装着タイヤと同等の性能を得るのは難しい。

 しかしX-CVはしっかり感とコンフォート性を純正装着タイヤ以上に満たしているかのような乗り味を得ている。

 路面の凹凸のある部分、また轍によるワンダリングなど路面からの入力による影響を最小限に抑え優れた直進性も維持されている。下りのコーナーへの進入時にはブレーキングによりさらに大きなフロント荷重がかかる。

 こんな場面では標準装着タイヤでもタイヤのケーシングが変形しステアリングの手応えに変化が現れてしまうものだ。だがX-CVはそんな場面でもしっかりしたケーシングが保たれ平坦路と変わらぬステアリングの操舵応答を可能としていた。タイヤの変形が少ないのでブレーキング姿勢も安定しておりフラットな車輛姿勢は4輪の接地性を高め制動性能も向上させていると考えられる。

 このような好特性を可能としているのはタイヤサイドウォールにカーカスが二重構造の2プライとなってケーシング剛性が高まったことと、タイヤトレッド面のベース構造に2層のナイロンフルカバーを採用してトウ面剛性を大幅に高めることに成功したことによる。構造面だけ見れば乗り心地に悪影響を及ぼしそうだがナイロンフルカバーはロードノイズなど乗り心地にも好影響を与えているといい、それが見事に体感できた形だ。

 クルマのシャシー全体が緩んだ印象を得るほど突き上げ感がない

 次に車輛をジープ・グランドチェロキーに乗り換える。こちらには265/50R20サイズが装着されている。

 ジープ・チェロキーもまた車輛総重量では2トンを大幅に超える。ジープの場合、メルセデスと大きく異なるのはサスペンションマウントなどのブッシュコンプライアンスに大きな変動域が設定されており、物理的な乗り心地性能を高めている一方、ステアリングインフォメーションなど感応的なダイレクト感をあえて抑えていることが上げられる。はたしてX-CVのような高応答なタイヤを装着するとどんなバランスになるのか興味深かった。

 走りはじめるとハーシュによる突き上げの絶対的な数値は明らかに低く、シャシー全体が緩んだ印象を得るほどだ。これでハイスピードのコーナリングが成立するのか不安に感じたが、コーナーへ進入していくとメルセデス・ベンツGLEに匹敵、いやそれ以上のクイックなステアリングレスポンスを引き出せている。

 これはコンプライアンスブッシュが早期に限界まで撓み、そこからはシャシーへの入力が剛結に近い状態になっているからと考えられる。それでもX-CVはしっかりしたタイヤケーシングを保っていることで正確なステアリング応答性が得られており、タイヤの性能で決まる操縦性領域はメルセデス・ベンツと同様に発揮できた、というわけだ。

 今回ウエット路面は試せなかったが、X-CVに採用されたコンパウンドには特殊なシリカ分散剤を使用しマイクロシリカが増量された。これであらゆる路面にグリップするゴムとしての新ブレンドポリマーコンパウンドとなっている。メーカーの計測では制動性能は8%も向上しているという。ロードノイズに関しては23%も低減したことが確認されていて大幅な静粛性向上を果たしているといえる。

 このX-CV装着のおすすめモデルとしては今回試乗した2車の他にも重量級SUVとしてポルシェ・カイエンやマカン、アウディQ7、BMW・X6、ボルボXC90、レンジローバーなどともマッチングがよさそうだ。

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