■登場以降、常にラリー界をかき乱していた亡者
パガーニなどのハイパーカーは話が別だが、お金さえ出せば誰でも買えるのが新車のハイパフォーマンスカー。そういったクルマに乗るのも、もちろん素敵ではある。
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だがオーナーの見識とセンスが問われるちょっと古いクルマ=ネオクラシックをあえて選ぶほうが、もしかしたら「より素敵」なのかもしれない。
また単純に、世界的にも人気が高いネオクラシックモデルは「購入後もほとんど値落ちしない。むしろ値上がりするケースすらある」というのが昨今のマーケットトレンドゆえ、それらは「数年で大きく値落ちする新車より資産価値が高い」ともいえるはず。
そう考えた場合にぜひ注目したいネオクラシックのひとつが、イタリアのランチアが1995年まで製造していた初代ランチア「デルタ」。そのなかでも、最終世代の「HFインテグラーレ エボルツィオーネII」またはその派生限定車だ。
1979年に発売された初代デルタは、もともとは1975年登場の初代フォルクスワーゲン初代「ゴルフ」の対抗馬として開発された、ごく普通の(強いていえばやや高級な)実用FFハッチバックだった。トピックといえば、工業デザイン界の巨匠であるジョルジェット・ジウジアーロがデザインを担当した──ということぐらいだろうか。
そんな実用車デルタの運命を変えたのはWRC(世界ラリー選手権)だった。
1985年にグループB規定でWRCに投入された「デルタS4」は、車名がデルタというだけで、市販版のランチアデルタとは何の関係もないクルマ。
だが1987年からWRCがグループA規定、つまりより市販車に近いスペックで戦う規定の採用が決定すると、ランチアは実用FFハッチバックのデルタに「デルタHF 4WD」という2リッターターボ+フルタイム4WD版を追加。これのグループAカーでもってWRCを戦うことを決めたのだ。
そして1987年シーズンを13戦9勝という圧倒的な戦績で終えたランチアは、翌1988年シーズン途中から「デルタHFインテグラーレ」という、HF 4WDに大幅な改造を加えたモデルを投入。4WDシステムとサスペンション、ブレーキ、ギヤ比などといった細かな改良のほか、よりワイドなホイールを収めることができるブリスターフェンダーを採用したデルタHFインテグラーレは、1988年シーズンも制した。
翌1989年はさらにバージョンアップされた「デルタHFインテグラーレ16V」がこれまた年間チャンピオンとなり、3年連続でメイクスとドライバーズのダブルタイトルを防衛。そして、視覚的にはよりド派手な「HFインテグラーレ16Vエボルツィオーネ」が登場した1992年まで、メイクスタイトル6連覇という前人未到の偉業を成し遂げたのだ。
■濃いたたずまいをガッツリ味わうために押さえるべきポイント
今回推奨したいランチア デルタHFインテグラーレ16VエボルツィオーネIIは、16Vエボルツィオーネ(通称エボI)の後を受けて1993年に発売されたモデル。この通称エボIIは、WRCという実戦の舞台に投入されることはなかったが、「ランチア デルタHFインテグラーレ」としてはまさに最終完成形といえるものだ。
燃料噴射がシーケンシャル方式(吸気ポートへの燃料噴射を各気筒の点火時期に合わせ、該当するインジェクタから1本ずつおこなう方式)に変更されたことで、2リッター直列4気筒DOHCターボエンジンの最高出力は215馬力に。そして、エボIと同形状のホイールは15インチから16インチに拡大。そして市販乗用車としての信頼性も──あくまで「ランチア デルタとしては」だが──エボルツィオーネIまでと比べれば大きく向上した。
ビジュアル面での美しさと中古車としての流通台数、また前述した信頼性から考えると、これからデルタHFインテグラーレを買うのであれば、このエボIIか、それをベースとする最終限定車「コレッツィオーネ」のどちらかとなるだろう。エボIIとエボIではホイール径以外のビジュアルはほぼ同一だが、エボIはハッキリ申し上げて故障発生確率が決して低くはないため、あまりおすすめはできない。
しかし最終のエボルツィオーネIIであれば、さほどの心配はいらない。
エボIIにしても「1年のうち半分ぐらいは修理工場に入ってる」などという都市伝説もあるが、実際にそれを所有していた筆者にいわせれば、そんなことはない……場合もあると断言できる。
もちろん「素性の良い個体を選び、それをしっかりメンテナンスしながら乗る」という条件付きではあるが、それを心がけた筆者は、所有期間中に大きな故障は皆無だった(もちろんマイナートラブルは何回か経験したが)。
また筆者が乗っていた個体をその後購入した方によれば(Facebookで個人的につながっているのだ)、当該の個体は今なお元気に走り回っている模様。もちろん「次のオーナーになった方がしっかりメンテナンスをしているから」ではあるのだが。
とにかくこのランチア デルタHFインテグラーレ エボルツィオーネIIというクルマの魅力は、その「たたずまい」にある。
4WDシステムもターボエンジンも往時は「最新」だったが、今となっては旧式のそれであるゆえ、特に速いとかコーナリング性能が凄いとかいったことは、実はない。
だがこのデザインとたたずまいは、その後に登場したどんなクルマが束で襲いかかってもびくともしないだけの美しさがある。そして、WRC6連覇という「神話」にも包まれている。
そのような神話と美は2021年の今、一定以上の経済力と見識をお持ちの「大人」各位であれば必ず、上手に維持できるはず。逆にいえばそういった人でないと、このクルマの維持は難しいだろう。
それゆえクルマがお好きな大人の各位にこそ、おすすめしたいのである。
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みんなのコメント
ショップが無いんだよね~
こんな状況なのに故障すると言われたら
怖くて手を出せなかった....