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ACシュニッツァー ACS3スポーツへ試乗 ベースはG20型M3 590psと76.3kg-m

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ACシュニッツァー ACS3スポーツへ試乗 ベースはG20型M3 590psと76.3kg-m

総額約465万円のチューニングメニュー

派手なクルマがお好みでなければ、視線をそらしたくなる見た目かもしれない。最新のBMW M3は、エレガントさでは歴代で1番とはいいにくい。さらにACシュニッツァー社は、そのスタイリングを増長させている。

【画像】ACシュニッツァー ACS3スポーツとベースのBMW M3 競合する高性能サルーンも 全108枚

彼らの最新の作品名は、ACS3スポーツ。1989年にE30型BMW 3シリーズでチューニングをスタートさせたドイツ・アーヘンに拠点を置くチューニングブランドによる、注目のマシンだ。

ACシュニッツァー社のモットーは一貫している。ノーマルのMシリーズをより公道で滑らかに走らせ、アウトバーンでより安定させ、サーキットをより速く周回させること。

G20型と呼ばれるM3のマルチに高い能力を考えると、難しい要求に思える。しかしACシュニッツァー社はいつも、BMWを大幅に向上させるレシピを発見してきた。

ベースのM3に約3万ポンド(465万円)を追加したコンプリートカーだけでなく、範囲を絞ったアップグレード・メニューも用意されている。ACS3スポーツとして仕上げずに、個別に選んで装着させることもできる。

多くの人が選ぶであろうアイテムは、20インチの鍛造ホイール。とても軽量な逸品だ。あるいは、リアウイングなどのボディキットに惹かれるオーナーもいるだろう。

ACシュニッツァーが準備したすべてのチューニングを施すと、車両代と合わせて11万ポンド(約1705万円)を超えてしまう。全部乗せを選ぶドライバーは少ないかもしれない。だが、今回筆者が試乗したACS3スポーツは、そのコテコテの1台となる。

最高出力は590ps ダウンフォースは110kg

最も読者を惹きつけるであろう変更が、馬力アップ。通常のM3 コンペティションは510psを発揮するが、ACS3スポーツでは590psへ引き上げられている。最大トルクは66.1kg-mから、M5級の76.3kg-mへ太くなっている。

それを叶えているのが、独自のセカンダリーECU。3年間の保証が付くうえに、BMWの正規保証にも影響を与えないというスグレモノだ。

サスペンションは、KW社製のRSコイルオーバー・キットが組まれる。高速域と低速域とで、伸縮時の減衰力調整が個別にできる。既製品ではなく、KW社とともに高精度なバルブが開発された専用品だという。

また、リアはそのままで、フロント側の車高が15mm低くなるスプリングも選べる。オリジナルのダンパーを残し、コストを抑えることも可能だ。

ACシュニッツァー社によれば、G20型M3のねじり剛性を考慮すると、RSコイルオーバー・キットの効果は大きいとのこと。ジオメトリー自体には、ほぼ変更は加えられていない。

試乗したACS3スポーツは、まだ完成段階ではなく、サスペンションは最終調整を終えていなかった。迫力のあるエグゾーストシステムも。少なくともボディのエアロキットは、仕上がったフォルムにある。

レーシングカーのようなフロント・カナードに厚みのあるスプリッター、ディフューザー、リアウイングなど、マッシブなM3は一層迫力を増している。好みは分かれるかもしれないが、200km/hで110kgのダウンフォースを生み出す効果がある。

一層磨きが掛かったボディの動き

大幅にトルクが増強された後輪駆動のM3を味わうのに、湿った路面は理想的な環境ではない。それでも、ACシュニッツァー社のチューニングは、想像以上に機能しているように思えた。正直いって、素敵だ。

ボディの動きには、一層磨きが掛けられている。M3より上位グレードの、ハイパフォーマンス・モデルで感じられるような洗練度がACS3スポーツには備わっている。鋭いものの、当たりが柔らかい。

試乗したドイツ・ラインラットの一般道を、息を呑むスピードで走破する。路面変化に悪影響を受けず、タイヤが跳ねたり接地感が失われるようなこともない。軽快でありながら、自信を抱かせてくれるような確実な追従性を獲得している。

コーナリング・グリップも期待以上。ステアリングホイールは、少し反応が過敏すぎるかもしれない。

基本的には極めて落ち着いており、標準のM3と直接に乗り比べなければ、明確な差は感じ取れないだろう。それでも、ACシュニッツァーが従来以上の操縦性と繊細さを与えたことは間違いない。

ベースとなったBMW M3は6速MT。シフトレバーの動きは正確で、ストロークはショート。ネイルアートをしたような指先でなければ、クイックに変速できる。英国へ導入されないのが残念だ。

試乗ルートの路面は、美しく平滑に舗装されていた。僅かに乱れた区間を通過た印象では、安定性や上質な乗り心地が簡単には失われないことも、確かめることができた。リアタイヤは、扁平率30という薄さだけれど。

有り余るほど豊かな動力性能

動力性能は、常に有り余るほど豊か。恐らく、ほとんどのドライバーが必要とする以上に。実際、英国や日本の一般道を運転する限り、チューニングECUやエアロキットの効果は体感できないかもしれない。ノーマルのM3も極めて速い。

アクセルペダルを空いたアウトバーンで踏み込むと、ACS3スポーツは簡単に280km/hを超えてみせた。だが、われわれが住む国では、こんな速さは現実的なものではない。

一方で、品の良い乗り心地のRSコイルオーバー・キットと鍛造ホイールは、一考の価値がある。磨かれた操縦性を気持ちよく楽しみたいというドライバーにとって、有用なアイテムになるだろう。

安いとはいえない金額や、エアロキットの見た目は、すべての人を喜ばせるものではないとはいえる。しかし、業界最高峰のチューナーが手掛けたマシンとして、仕上がりは出色。アグレッシブな容姿を裏切るほどに。

ACシュニッツァー ACS3スポーツ(欧州仕様)のスペック

英国価格:約11万ポンド(約1705万円)
全長:4805mm(標準M3)
全幅:1905mm(標準M3)
全高:1435mm(標準M3)
最高速度:289km/h
0-100km/h加速:3.8秒
燃費:9.7km/L
CO2排出量:236g/km
車両重量:1705kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:590ps/6500rpm
最大トルク:76.3kg-m/3500-4500rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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みんなのコメント

5件
  • シュニッツァーかぁ…。ええなぁ。欲しい…。
    M3も買えないのに…。
    どっかに金落ちてへんかなぁ。
  • M3でも使いきれない、乗りこなせない。

    何より、買えない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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