完全車検対応の1000馬力仕様!
キモはツインキャタライザー化とCPチューン
「1000馬力仕様の第二世代GT-Rがどうやって車検を取得したのか」完全合法チューニングの今
エンジンチューニング時に気になるのが、車検に通らないのではないか?という不安。その答えを言うならば、実際には“申請の必要性がある改造は、普通のチューニングでははほとんどない”というのが現実。
ちょうど良い実例が、フェニックスパワーで製作されたこのBNR34型スカイラインGT-Rだ。
エンジンの仕様を見てみると、2.6Lのまま腰下を徹底強化したRB26DETTにGT3037プロSタービンをツインで装着し、ローラー式シャーシダイナモでは滑って正確なパワー計測が不能という約1000psオーバーの超絶スペック。
しかし、エンジンまわりの補機類を交換することは“補修”とも解釈されるため、きちんと取り付けされていれば車検も問題なし。ビッグタービンに交換しようが、ハイカムを付けようが、最終的に“排気ガスが規定値内に収まる状態”かつ“マフラーの音量が規定値内”であれば大丈夫なのである。この車両は排気量も拡大していない(正確には1mmオーバーサイズピストンを使用しているが、申請の対象にはならない)のでパスだ。
なお、ハイカムを使用しているチューンドエンジンは排気ガスが基準値を下まわらないケースも多いが、フェニックスパワーはアイドリング時の燃調をキッチリ取ることで基準値内に収めている。
また、700ps以上を出そうとしたときネックとなるのが、スポーツキャタライザーの容量。1個ではタービンとキャタライザーの間の2次排気圧力が上がりすぎてしまい、エンジンへのストレスが上昇してパワーも稼げない。そのため、アペックスのキャタライザー2個を並列配置して対応している。最低地上高をクリアするために装着場所探しにはかなり苦労したそう。
その他、マフラー音量や、最低地上高に関しても規定の範囲内でチューニングされている。ウエストゲートももちろんフロントパイプ戻しだ。
ちなみに、馬力は1000馬力だろうが2000馬力だろうが車検には関係ない。実際に認められた部品と手法でクルマを作っていくかぎり、車検で出力を問われることはないのが現状だ。
ただし、大幅な排気量アップやエンジン換装など構造変更が必要なレベルの場合は、安全性の証明のために出力の申請とプロペラシャフトの強度検討書の提出などが必要になる。矛盾しているように感じるが、これが現実の車検制度というわけだ。
こうした“ポイント”を押さえていれば、車検場での検査はタービン交換をしていようがエンジンチューンをしていようが問題なし。意外に思うかもしれないが、エンジンチューニングは合法的にできる部分がほとんどなのである。
●取材協力:フェニックスパワー京都店 京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157
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