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オススメグレードから詳細解説、歴史、中古車情報などBMW 3シリーズのすべてがわかる!【一車種徹底研究】

掲載 更新 14
オススメグレードから詳細解説、歴史、中古車情報などBMW 3シリーズのすべてがわかる!【一車種徹底研究】

毎年、数多く登場する輸入車のニューモデル。モデルチェンジサイクルが長い、という印象の輸入車も、最近では以前よりも早く新型に切り替わる。また、人気のある車種では、バリエーションが国産車並みに豊富にカタログに載っており、発売中のニューモデルはどういうクルマなのか、そしていったいどれを買ったらいいのか……という悩みも増えているように思う。

そこで新たに、発売中のニューモデルを俯瞰的な角度から掘り下げてみることで、車種ごとのアウトラインを掴みやすくなる記事をスタートする。第1回は、輸入車の代表格で人気車種の「BMW 3シリーズ」からスタートしよう。

【国内試乗】「BMW アルピナ・XD4」SUVにして、この走り!

(車種概要)現在発売中の3シリーズって、どんなクルマ?

・完全進化のフルモデルチェンジ 日本では2019年から発売開始
2018年10月のパリモーターショーで発表、日本では2019年3月から発売を開始した新型(現行型)3シリーズは、メルセデス・ベンツCクラスやアウディA4などの競合がひしめく「Dセグメント」で勝ち抜くべく、走りや質感を大幅に進化させた。アイデンティティーである「スポーツセダンのベンチマーク」としての存在感も、さらに磨きをかけている。コードは「G20」で、先代の「F」を飛び越え、最近のBMW各車同様のアルファベット「G」が与えられた。

車体寸法は先代よりも大型化。基本モデルの320iセダンで見ると、全長×全幅×全高は4715×1825×1440mm、ホイースベースは2850mmで、先代の320iセダンと比べ、それぞれ70mm長く、25mm広く、ホイールベースも40mm延長。それでいて先代モデル比で最大55kgの軽量化を実現した。安全性能も高く、Euro NCAP(ユーロNCAP)で最高評価の総合5つ星を獲得。2020年RJCカーオブザイヤー・インポート、2019-2020 インポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのもトピックだ。

・パワーユニットを豊富に用意 先進運転支援機能も充実
パワーユニットは計5種類を用意。それに合わせ、「320i」「330i」「320d」「330e」「M340i」をラインアップする。駆動方式は従来通りFR とxDriveと呼ばれる4WDで、BMW伝統の約50:50の前後重量バランスも守られている。パワートレーンの種類が多いことに応じてグレードは豊富で、内外装をスポーティに装い、足回りをチューニングした「M Sport」も引き続きカタログに掲載している。

インテリアでは、デジタルメーター・タッチ式インフォメーションディスプレイを採用。音声認識機能のBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントも話題の装備だ。予防安全にも抜かりはなく、3眼カメラ+衝突回避・被害軽減ブレーキによって、さらに安心・安全なドライビングを実現。高速道路の渋滞時、アクティブ・クルーズ・コントロール作動時という条件下ならステアリングから手が離せるハンズ・オフ・アシストも搭載する。

・ツーリングも新型にスイッチ クーペ版「4シリーズ」は先代モデルを継続
3シリーズでは、2代目から継続して発売されるステーションワゴン「ツーリング」も人気が高い。新型でももちろん登場し、セダンと遜色ないほどのバリエーションから好みのグレードを選べる。なお、ツーリングのコードは「G21」。一方、先代からクーペモデルは「4シリーズ」(F32/F33/F36)として派生したが、こちらは2020年4月現在まだG 20ベースにスイッチせず、継続して発売中だ。モデル末期ゆえ熟成は極められており、あえて狙うという選択もあるだろう。

(歴史篇)初代は1975年にデビュー BMWを代表する主要車種

・初代3シリーズ「E21」は1975年に登場
初代デビュー以来45年、3シリーズはBMWの主力車種としてその歴史を紡いでいる。そこで、3シリーズの歴史をおさらいしたい。3シリーズの前身は、有名な2002を含む「02」シリーズで、キドニーグリル、丸目のヘッドライト、裾を前方に少し切り返したデザインのCピラー、ボディサイド上方に走るエッジなど、後々の3シリーズにつながるデザインをすでに構築している。そして、初代3シリーズ「E21」は1975年にデビュー。02シリーズに比べて、外観は大幅に近代化された。エンジンは02シリーズの1.6L、1.8L、2LのSOHCエンジンを改良の上、キャリーオーバーして使用した。のちに直6を積んだ「323i」も登場した。

・日本でも爆発的なヒットを飛ばした2代目「E30」
1982年、3シリーズは2代目「E30」にスイッチ。外観はさらにモダンになり、4ドアやツーリング、カブリオレのボディバリエーションを生み、高性能版のM3も初登場した。セダンは1991年まで製造されたが、日本では折しもバブル景気が到来し、メルセデス・ベンツ190クラスとともに大ヒット。輸入車の敷居を大きく下げる立役者になった。コンパクトなボディ、ほどよいクラシック具合から、現在でも愛好家が多い。

3代目「E36」は、1991年登場。BMWの文法に添いつつ、外観はウェッジシェイプに。伝統の丸目4灯ヘッドライトは残されたが、四角いハウジング内に収められた。E30同様、販売台数は好調に推移した。Cセグメントに属するハッチバック「コンパクト」が追加されたのはこの代から。

・シャープなデザインが特徴の5代目「E90」
1998年には4代目「E46」に。正常進化とも言える内容で、外観は落ち着きとBMW
らしさを高い次元でまとめていた。この代まで、コンパクトが存在。5代目の「E90」では、ボディサイズが拡大。モール類がなく、角にシャープなエッジを立てる独特のエクステリアデザインが特徴だった。M3のエンジンが、それまでの直6からV8に変更になっている。そして2012年になって、先代・6代目のF30型に移行した。ダウンサイジングの流れを受け、320iのエンジンが直4ターボに。直6はハイエンド専用エンジンになったほか、318iでは3シリーズ初の3気筒ユニットが搭載された。

BMW 340i Limousine


(細部解説)現在発売中の3シリーズって、どんなクルマ?

【内外装】
・最新BWMのデザイン言語に沿った、洗練されたエクステリア
一見すると先代・F30から大きく変わったように見えないのは、さらに一つ前の5代目・E90からF30にモデルチェンジした時のようなインパクトが少ないからだと思う。でもよく観察すると、キドニーグリルはさらに上下方向に大きくなり、左右が一体化したことが目を引くほか、先代ではボンネット先端に入っていたオープニングラインが消え、スッキリ。ボディサイドの面処理もシンプルになった。テールレンズ内のL型グラフィックともども、先立って登場している現行型5シリーズ(G30)、7シリーズ(G11/G12)、8シリーズ(G14/G15/G16)など、最新BMW各車と共通するデザイン言語によって造形されていることがわかる。

キドニーグリルといえば、7シリーズや5シリーズでも搭載の開閉式グリル「アクティブ エアストリーム」が3シリーズにも拡大採用された。通常時は閉じて空気抵抗を低減させ、ラジエター冷却用の空気が必要な時になると開く機構で、開閉は自動で行われる。

・インテリアは、伝統を守りつつフル液晶メーターなど最新のトレンドを採用
インテリアデザインでは、BMW伝統のドライバーオリエンテッドな操作パネルを堅持。全体的にはF30のイメージを踏襲しているが、センターに10.25インチの大型タッチ式インフォメーションディスプレイを設置、メーターパネルも、時流に沿ってフル液晶のデジタルメーターとするなど、最新トレンドを取り入れている。デジタルメーターの大きさは12.3インチあり、ナビゲーション・マップ表示の際に威力を発揮する。

センターコンソール・ディスプレイメーターパネルの表示や操作などのユーザーインターフェイスには、最新の「BMWオペレーティングシステム7.0」を採用。反応速度や操作性も向上している。センターコンソールは高く、ドライバーの包まれ感も強い。それも、スポーティドライビングへの期待を膨らませる。iDriveコントローラーはシフトノブ脇に置かれる。ダイヤルの上面はタッチパッドになっており、指先での日本語入力文字入力が可能だ。コネクティビティ関連では、USB端子を2箇所設置。Bluetooth、Wi-FiやApple Carplayにも対応している。




【エンジン・パワートレーン】
・メインのエンジンは直4ターボ 伝統の直6も健在
日本仕様のパワートレーンは、2種の2L直4ガソリンターボ、2L直4ディーゼルターボ、2L直4ターボ+モーターのプラグインハイブリッド、3L直6ターボの全5種。いずれのエンジンも、BMWが誇る最新技術が投入されている。

320iには、日本市場専用エンジンで最高出力184psの2L直4ガソリンターボ「B48B20A」を積む。184psの数値は先代と不変ながらも、最大トルクは30Nmアップの300Nmへ。太くなったトルクによって、1.5tを超える320iを過不足なく加速させる。330iに積まれる「B48B20B」は、同じく2L直4ターボながらもハイチューン版で258pを発生。プラグインハイブリッド・330eのパワーユニットは、184psの2L直4ターボ「B48B20B」+113psモーター「P251」を組み合わせており、先代に比べEV時の航続距離も最大66kmまで伸びている。また、320dのディーゼルターボのエンジン「B47D20A」は、形式的には先代の「B47」と一緒で190ps/400Nmのパワー・トルク数値も変わらないが、シングルターボから低回転域と高回転域で切り替わるシーケンシャルツインターボに変更になって、レスポンスが向上した。




そして新型3シリーズのエンジンで白眉の存在が、384psを絞り出すシリーズ最高峰の3L直6ツインスクロールターボ「B58B30B」だ。先代の「340i」が搭載していた「B58B0A」と比べると最高出力は61ps、最大トルクが50Nmもアップ。シリンダーヘッド内に収めたエキゾーストマニホールドの排気エネルギーを、直接タービンに導いて過給の効率を改善、ツインスクロールターボをエンジンの直近に置くことで慣性モーメントを25%減らすなど、様々な工夫がなされている。

トランスミッションは、本国では6段MTも選べるが、日本では全車ステップトロニック付電子油圧制御式8速ATのみ。ただし、M Sport(一部除外)ではスポーツATが搭載される。

・フルタイム4WD「xDrive」は320dとM340iにデフォルト搭載
先代3シリーズの一部グレードに搭載していたxDrive(電子制御前後駆動力配分4輪駆動)を新型でも引き続き採用。320dとM340iはxDriveが標準になっている。xDriveは、不安定な挙動を事前に察知し、瞬時に前後への駆動トルクを最適に可変配分する4WDシステムで、安定したロード・ホールディングと最大限の駆動力を確保することで、2WDモデルよりも高いコーナーリング性能と走行安定性をもたらす。M340iは0-100km/h 加速4.4秒という凄まじい速さを誇るが、これもxDriveの賜物だ。

【先進装備】
・「ハンズ・オフ・アシスト」などの先進運転支援機能を搭載
新型3シリーズには、様々な安全機能、新機能が盛り込まれている。はみ出し事故を事前に防止する「ダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)」、滑りやすい路面状況でもスムーズな発進や加速を可能にする「ダイナミック・トラクション・コントロール(DTC)」、ステアリング・ホイールの動きに反応し、ヘッドライトの角度を自動制御する「アダプティブLEDヘッドライト」、「衝突回避・被害軽減ブレーキ」「ストップ&ゴー機能付アクティブ・クルーズ・コントロール」「レーン・チェンジ・ウォーニング」などの機能をセットした「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」など先進の運転支援機能は、枚挙にいとまがない。

前述の「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」は、高速道路の渋滞中、一定の条件下であれば、ステアリング・アクセル・ブレーキを自動的に操作してくれるシステム。先行車との車間距離を保ったまま、スムーズな追従走行を継続するため、高速道路の渋滞時におけるドライバーへの負荷を大幅に低減する。

これらの運転支援機能の中核をなすカメラには、長距離用、中距離用、車両周辺監視用の3眼カメラを採用した。検知された情報は、毎秒2兆5000億回の演算能力を持つ「EyeQ4」が処理。長距離の危険予測、高角度視野での周辺危険予測を高い精度で実現している。

このほか、AIを用いて「エアコンの温度設定」「天気予報」などの欲しい情報を音声入力することが可能な「BMW インテリジェント・パーソナル・アシスタント」(AI音声会話システム)も搭載する。

(グレード別解説・オススメグレード)豊富なバリエーション展開 ベストバイはどれ?

・バリエーションごとの違いを解説
新型3シリーズ日本発売の際、当初は直4 ガソリンターボエンジン車のみ購入可能だったが、その後も着々とバリエーションを追加。2020年4月時点で5種のパワートレイン、セダン8種、ツーリング7種のグレードをラインアップする。車両本体価格はセダンの金額で、ツーリングはセダンよりおおむね20~30万円ほど高くなる。

・320i スタンダード/320i SE/320i M Sport (セダン/ツーリング)
184psを発生する2L直4DOHCガソリンターボを積む「320i スタンダード」は、新型3シリーズのベースとなるモデルだ。価格は536万円(税込。以下同じ)である。320iにはさらに、ベーシックな「320i SE」と、BMWの「駆け抜ける喜び」をより具現化したスポーティ仕様「320i M Sport」がある。

ベーシックなSEでもABS・DSC・DTCなどの豊富な安全装備を持つが、アダプティブ・ヘッドライト、ハイビーム・アシスタント、パーキング・アシスト、リヤ・ビュー・カメラ、さらにはACCや衝突回避・被害軽減ブレーキ・高速道路渋滞時ハンズ・オフ・アシストを含む「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」が備わらないほか、オプション装着も著しく制限される。しかもSEは受注生産のため、実質的には「スタンダード」がベースとなると言えよう。価格は320iスタンダードより75万円安い461万円となっている。

320i M Sportは、セッティングを固めにし、10mmローダウンする「Mスポーツサスペンション」、クロスレシオ化された「8速スポーツAT」、迫力ある外観を作る「Mダイナミクス・パッケージ(フロント・エプロン、サイド/リア・スカート)」、「Mスポーツ・レザーステアリング」、「スポーツシート」、「18インチアロイホイール」などを備えている。価格は597万円。

・320d スタンダード xDrive/320d xDrive M Sport (セダン/ツーリング)

先代3シリーズでも販売好調だったディーゼル。新型も2L直4DOHCディーゼルターボを搭載する。「320dスタンダード xDrive」と「320d xDrive M Sport」が選択可能だが、G20では駆動方式をxDriveに一本化した。ちなみに先代はFRも選べた。基本的な装備は、320iスタンダード/M Sportに準じる。価格は320dスタンダード xDriveが589万円、320d xDrive M Sportが641万円。

・330i M Sport(セダン/ツーリング)
320iと同じ2L直4DOHCガソリンターボながらも、チューニングの違いで一気に258psまでパワーアップしている「330i」。近年のBMW(メルセデス・ベンツも)では、「排気量を表す数字」が排気量そのものを示さないことが多いため、「330」だから3L、ということではない。内外装、装備はほぼ320i M Sportと同じだが、ブレーキが制動力を高めた「Mスポーツ」タイプに、オーディオが「harman/kardon サラウンド・サウンド・システム」になるなど、320i M Sportではオプションだった装備を標準で持つ。価格は647万円。

・330e M Sport(セダンのみ)


プラグインハイブリッド(PHEV)の「330e」。価格は667万円だ。セダンのみ存在。仕様・装備は330i M Sportをトレースするため、充電コネクタのリッドやエンブレム以外で、外観に大きな違いはない。なお「Mスポーツサスペンション」を備えていないことに注意。バッテリーを積む分、車両重量は320i比で+290kgの1.8tオーバーとなるが、その重さを感じさせない力強い走りが特徴。

・M340i xDrive(セダン/ツーリング)
「M340i xDrive」は、「走り」への復権を強く感じさせる新型3シリーズを象徴するグレードだ。現行型では唯一となる、直6エンジンを搭載する。387psというかつてのMモデル並みのパワー、フルタイム4WDとは感じさせないシャープなハンドリングを楽しむことができる。また左ハンドルを選択できるのもM340iだけである。

フラッグシップモデルだけあって、330i/330e M Sportに輪をかけて装備が充実。「19インチアロイホイール」、「BMWレーザー・ライト」、「ヘッドアップ・ディスプレイ」、「BMWジェスチャー・コントロール」、「地デジチューナー」、「ハンズフリー・テレフォン・システム」、「ヴァーネスカ・レザー・シート」などを標準装着するほか、M340i xDrive専用キドニー・グリル、エア・インテーク、サイド・ミラー・キャップ、テールパイプ、モデル・バッジなどの「専用デザイン・エレメント」も与えられている。走りの面でも「アダプティブ M サスペンション」、「バリアブル・スポーツ・ステアリング」を備え、プライスタグは985万円。

・悩ましきベストバイ選び
ご覧のようにパワートレーンが多種あり、320iSEとM340iでは価格差が524万円もあるバリエーション展開のため、購入しようと思った際に予算に応じて対象が絞られるのは間違いない。とはいえ、ベストバイな3シリーズはやはり気になる。一体、どれだろうか。

一番リーズナブルな320i SEは、価格的には500万円を切るため魅力があるように感じられる。しかしグレード解説でも記した通り、ACC、衝突回避・被害軽減ブレーキなど重要な安全装備がつかないことを考えると、差額の75万円を払って320iスタンダードを購入するほうが賢明だろう。

ズバリ、購入しやすく、BMWらしさに溢れ、購入後に「特別なクルマを買った」と思わせてくれるのは、ベースモデルの320iにMのイメージを流し込んだ320i M Sport。先代でも一番の売れ筋だったグレードである。320iスタンダードとの価格差は61万円あるが、内外装の特別仕立て、そしてスポーツATやMスポーツサスペンションまで装備しているので、むしろお買い得感もある。個人的な観点だが、M Sportのほうが外観上スタンダードよりまとまりがよいと思うのも、320i M Sportをオススメするポイントだ。

・さらに悩む、650万円前後のチョイス
一方、価格差があまりないグレードもある。ディーゼルの320d xDrive M Sport、258psを誇る330i M Sport、そしてPHEVの330e M Sportだ。それぞれ641万・647万円・667万円で、額面の差はさほど大きくない。いずれもM Sportで主要装備はほぼ同格ゆえ、選ぶ決め手はパワートレーンの好みになる。

この中で、判断が難しいのが330eだと思う。参考までに、燃料消費率JC08モード(国土交通省審査値)では、330iが15.7km/Lなのに対し330eは15.4km/Lで、カタログ上では330iのほうが燃費が良い。これは先代の330eも同様だった。もちろん、330eは乗り方・使い方によってはかなりの低燃費走行も可能で、かつ、いざとなれば、330iよりも高いトータル297psというハイパワーを使い、心地よい加速を楽しむこともできる……という、実にBMWらしいプラグインハイブリッド車といえる。

しかしガレージに充電設備が必要なこと、重いバッテリーを積む分、3シリーズ本来のハンドリングをスポイルしている……などデメリットも散見されるため、この3台の中では、運転の楽しさと価格が高い次元で釣り合っている330iと、日常生活域で十分以上の性能を持ち、トップエンドまで気持ちよく回るディーゼルエンジンを積む持つ320dはどちらも捨てがたい。最終的には、カタログ値18.9km/Lの燃費、燃料代の安さ、xDriveによる安心感が大きなアドバンテージの320dがオススメになるだろうか。

(見積もり)代表車種で総額をシミュレート

・総額は車両本体価格プラスいくらに? 
それでは、実際に320i M Sportを購入することになり、オプションを盛り込んだ場合の総額はいくらになるのだろう。ここではいわゆる登録諸費用は含まず、単純に車両本体価格やメンテナンス・パッケージなどを合計してみた。

・「320i M Sport セダン」にオプションを装着するなら……
まず、車両本体価格は597万円(税込。以下同じ)。BMWにはオプションも多いが、320i M Sportはフル装備状態なので、追加するとすればパーキング・アシスト・プラス(トップ・ビュー+3Dビュー、サイド・ビュー・カメラ、PDC/パーク・ディスタンス・コントロール)は欲しい。こちらは6.2万円だ。イメージカラーのブルーメタリックがいいので、+9.2万円かかる。また、車内で地デジTV を見る場合は、地上デジタルTVチューナー(12セグ/ワンセグ自動切替)が13.6万円である。

BMWでは様々なパッケージオプションを準備している。320i M Sport では、BMWレーザー・ライト(レーザー・モジュール付LEDハイ/ロービーム、LEDフロント・ターン・インジケータ、BMWセレクティブ・ビーム、LEDコーナリング・ライト、ハイビーム・アシスタント)や BMWヘッドアップ・ディスプレイをパックした「イノベーション・パッケージ」(22.8万円)、ストレージ・パッケージ(12V電源ソケット、Type-C対応USBソケット、シートバック収納、トランク・ルーム内の収納ネット、荷物用フック)・HiFiスピーカー・システムなどをセットにした「コンフォート・パッケージ」(11.7万円)などが数種ある。これは、前者のイノベーションパッケージを選ぼう。

このほか、受注生産オプションでは電動ガラス・サンルーフ(チルト&スライド、コンフォート・オープン/クローズ機能付、16.4万円)、 19インチ M ライト・アロイホイール、
M スポーツ・ブレーキ、アダプティブ M サスペンションなどM340iに装着される走りのための装備をセットにした「ファスト・トラック・パッケージ」(21.7万円)がある。ぜひこのパッケージは購入したい。ほかにもBMW Individual オプションとしてフルレザーインテリアも選べるが、これはキャンセルしよう。

・合計額はいくら?
なおBMWでは、すべての新車に「BMWサービス・インクルーシブ」を標準装備する。これは、購入から3年間の点検整備や消耗部品交換が無償で受けられるサービス。さらにBMWサービス・インクルーシブを2年延長するプランがある。プランには6万キロ、8万キロ、10万キロコースがあり、それぞれスタンダードパッケージとライトパッケージがある。ライトパッケージはワイパーブレードの交換を含まない。新車で購入して5年・8万キロほど乗ると想定して、スタンダードの8万キロコースを選ぶと、税込10.7万円となる。

ここまでのチョイスを合計すると、
車両本体597万円+メタリックカラー9.2万円+パーキング・アシスト・プラス6.2万円+イノベーション・パッケージ22.8万円+ファスト・トラック・パッケージ21.7万円ということになり、これにBMWサービス・インクルーシブのスタンダード・8万キロコース10.7万円を合計して、667.6万円になった。

BMWジャパンのサイトでは見積もりサービスも行っているので、興味のある方はこちらも参考にしていただきたい。

https://www.bmw.co.jp/ja/footer/contact/estimate.html

(中古車情報)新型もすでに中古車でかなりの台数 しかもかなりお買い得?

・新型3シリーズの掲載数はすでに約400台!
昨年3月に日本で発売が始まったばかりの新型3シリーズだが、大手中古車検索サイトではすでに400台ほど流通している。掲載のグレードは、圧倒的に320i M Sportが占めており、その次に320dが続くという印象だ。320i M Sportでは、コンフォートパッケージを選んでいる割合も高い。ボディカラーは白と黒がメインで、イメージカラーのブルーもそれなりの台数で見られる。

また、発売開始時に販売されていた「デビューパッケージ」も流通量が多い。デビューパッケージは19インチホイール、センサテックインスツルメントパネル、アッシュグレーブラウンファインウッドトリム/パールクロームハイライト、ヴァーネスカレザーシートをパックにして、30.6万円追加のみで提供したおトク仕様。発売開始時の320i M Sportは583万円だったので、合計613.6万円だ。

それと同仕様で、走行距離はわずか1~1.5万キロ、車検残もあと2年という好条件なのに、車両本体価格が450万円前後という物件もたくさんある。たしかに新車ではなくなるが、その値落ち幅を考えると、中古車で購入を考えるのは十分にアリだ。

・歴代3シリーズの中古車もタマ数豊富 その相場感は?
でもまだ総額で500万円近いのは確か。そこで、中古で3シリーズを購入したい、と思ったとき、歴代BMW3シリーズを狙うという方法もある。中古車の相場はどのくらいなのだろう。ここでは新しい順に、市場が形成されている2代目・E30まで逆引きした。データは2020年4月末現在で、価格は、車両本体。検索対象はセダンのみである。価格がかなりリーズナブルで、お買い得感が強いのは、年式と程度のバランスがよいE90である。

・6代目F30
先代モデルだけあり流通多数。最多年式は2017年で、2016年・2015年と続く。2017年モデルの走行距離は1~3万キロ台が主体。価格帯が広範囲にわたるため、2017年に絞ってみた場合、340iなどのトップエンドモデルを除くと相場は220~300万円ほど。2017年モデルだと、ちょうど今年1回目の車検を迎えるため、車検がすぐ切れるか、もしくは新規車検2年がついてくる個体が多い。ディーゼルエンジンが魅力の320dも狙いやすい。

大手中古車検索サイトの掲載台数:約1000台
平均価格:206万円
最安値価格帯:70万円台
最多年式:2017年
2017年式の最多価格帯:220~300万円台

・5代目E90
2012年まで販売していた比較的新しいモデルなのに、値落ち感が強い。掲載台数は約400台。年式は5−7万キロ台がメイン。ハイエンドの335iや323iなど直6エンジン搭載車が150万円以下で手に入ることも。クルマとしての完成度は高く、デザインさえ好めば良い買い物になるかもしれない。その際はくれぐれも安すぎる個体に手を出さないようにしたい。台数は多いので、じっくり探せるはずだ。ベストバイは320i。

大手中古車検索サイトの掲載台数:約1000台
平均価格:53万円
最安値価格帯:10万円代
最多年式:2007年 
台数の多い価格帯:20~80万円台

・4代目E46
デビューは22年前で、最終型でも15年が過ぎているが、今なお約120台の中古車があるようだ。2002年のマイナーチェンジ後モデルが多く残る。メイン車種の320iが直6エンジンだったため、リーズナブルに直6を楽しめるのは魅力的。価格が安い個体が多いが、中には値段相応のものもあり注意が必要。

大手中古車検索サイトの掲載台数:約120台
平均価格:42万円
最安値価格帯:10万円以下
台数の多い価格帯:20~40万円台

・3代目E36
人気が高いE30の陰に隠れがちだが、隠れた名車のE36。中古車検索では15台ほどがヒットする。売られているのは、ほとんどが1997年前後の後期型。製造から20年以上が過ぎているのに、掲載車の多くの走行距離が5万キロ以下に抑えられている。アルピナや改造車を除けば、おおむね50~100万円程度の相場感。

大手中古車検索サイトの掲載台数:約15台
平均価格:41万円
最安値価格帯:10万円以下
台数の多い価格帯:30~50万円台

・2代目E30最終年式がセダンで約30年、ツーリング・カブリオレで25年以上が経過しているため、中古車市場でもその姿を見ることは減り、掲載数は20台以下。逆に言えば、「ここまで生き残ってきた」とも言えるので、状態がいい個体も多い。価格は高騰傾向で推移……かと思いきや、100万円以下~150万円ほどで手に入る(それでも以前よりは値上がりしたが)。状態が良いと200万円台、もしくは「ASK」になる。走行距離が少ないことが第一だが、この頃の年式になると「どう乗られていたか」「程度(使われ方)はどうか」が重要なポイントだ。できれば改造されている個体も避けたいし、購入先も古い輸入車を扱える店かどうかを選びたい。鼻先の軽い318iはあまり残っておらず、320i・325iの後期型が主。

大手中古車検索サイトの掲載台数:約20台
平均価格:?万円
最安値価格帯:70万円代
最多価格帯: 120~150万円台

かなりのボリュームでお届けしたBMW3シリーズ徹底研究、いかがだっただろうか。日本国内でも人気の3シリーズは、これからもさらに進化していくことであろう。

新型3シリーズサイトはコチラ
取材協力:BMWジャパン https://www.bmw.co.jp/ja/index.html

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みんなのコメント

14件
  • 文章が長すぎて頭に入らない
  • MSport偏重のグレード構成とパッケージオプションで、好みに仕上がらない現行モデル。
    F3Xの初期みたいに色々オーダー出来る様にして欲しい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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