誰にも言いたくないけれど、実は運転にちょい自信がない……。そんな人にとっては見た目以上に、「運転しやすいクルマ」を選ぶことが重要。では、クルマのどんなところを重視して選べばいいのだろうか? 今回は、不安なく運転するためのチェックポイントとお薦めのクルマをご紹介しよう。
文/藤原鉄二、写真/スズキ、ダイハツ、トヨタ、ホンダ、写真AC
ノア/ヴォク大勝利なのか!? ステップワゴンが大勝負!! 消費者の選択基準はどこにある?
ボディサイズより大事なチェックポイントとは?
小窓があるだけでも視界は広くなり、側方の視界もグッと広がる。ただし、Aピラーが太いと視界は遮られる。着座して視界が遮られる感じがしないかをチェックしよう
ボディサイズが小さければ運転しやすいというわけではない。ボディサイズが小さくてもハンドルを切った時に思ったよりもタイヤが動いてくれなくては何度もハンドルを切り返す必要が生じ、その間にクルマを擦ったり、縁石に乗り上げたり、脱輪したりしてしまうことも。
また、視界を遮る要素が多いと脇道から出てくるクルマや、歩行者を見落としやすい。さらに、車両感覚がつかみづらく見切りの悪いクルマは、狭い道でのすれ違いや車庫入れがしづらくなる。
では、具体的にはボディサイズ以外にどんな点をチェックすればいいのだろうか?
■最小回転半径
小回りの利き、いわゆる取り回しの良さを左右するのが最小回転半径。最小回転半径の小さいクルマほど小回りが利き、取り回しが良くなる。一般的には、4.5m以下だと小回りが利くクルマ、5.5m以上になると小回りが利かないと言われている。カタログで最小回転半径は必ずチェックしよう。
■視界の広さ
理想はフロントとリアガラスが大きく、視界を遮るものが少ないものを。特に、Aピラー部分が細めだと視野を遮らないためお薦めだ。また、Aピラー付近に小窓が設けられているものだとより視界が広くなる。
■視点の高さ
アイポイント(視点)が高いほうが遠くまで見渡せ、車両感覚もつかみやすくなる。初心者の場合は、着座時にボンネットの先まで見えるくらいだと安心感を持って運転ができる。ボディサイズがコンパクトでも車高が低いとアイポイントが低くなり運転がしづらくなる。購入の際は、必ずシートに座ってアイポイントは確認するようにしたい。
■シート形状
着座位置が適切ではなく、身体が不安定だとクルマの挙動も安定しない。そのため、シート形状が自分の身体にフィットしているかを確認することは必須だ。
■運転支援装備
先進安全支援機能付きのクルマならより安心して運転ができるはずだ。自分が不安な部分をサポートしてくれる機能が付いているかをしっかり確認するようにしたい。特にバックモニターは大きな助けになる装備。安全装備はメーカーオプションとなっていることも多いが、運転に自信がないなら、快適装備よりも安全装備に予算を割くことが正しい選択と言える。
では、上記のチェックポイントを踏まえたうえで、運転しやすさ◎と言えるクルマ7台をピックアップしていこう。
人馬一体の走りで安心感大!! 安定した運転姿勢をサポート「MAZDA2」
最小回転半径が4.7~4.9mという取り回しの良さはコンパクトカーのなかでは優等生。ちなみに、フィットやアクアが4.9~5.2mとなっている
最小回転半径が、15インチタイヤ装着車で4.7m、16インチタイヤ装着車で4.9mと、取り回しの良さもこのクラスのクルマとしては合格的。フロントノーズの長さには少々難ありだが、フロントガラスの面積が大きく、見切りのは良いので運転時の不安感は少なくてすむ。
自然な姿勢で運転した時に目線の範囲内に視覚情報が確認できるよう視界デザインされたという運転席が推しポイント。Aピラーは後ろ気味に配置され、ドアミラーもワイドな視界を確保する位置に微調整されている。実際に着座するとパノラマ感があって左右が見やすく、安心感を持って運転ができる。
さらに特筆すべきは人間工学に基づいて設計されたシート形状だ。骨盤が立ち、背骨がS字カーブを描けるように設計されていて、正しい運転姿勢を保てるため、着座姿勢が安定し、運転中の身体の動きを安定させることができる。また、運転疲労が緩和できることのもうれしい点だ。
360°ビューモニターや、アクセルやブレーキの操作アシスト機能など、運転の不安を払拭してくれる先進安全機能が充実しているところもお薦めポイントだ。
見晴らし抜群で運転楽々「ホンダ N-BOX」
フロントノーズが短く、前方の見切りが非常に良いうえ、スクエアボディのため、車幅の感覚もつかみやすい。狭い道でのすれ違いなども楽にできる
実際に着座すると視界の良さに驚かされるのがN-BOX。これは1790mmという全高の高さに秘密がある。これは軽自動車のなかではトップクラス、コンパクトミニバンの上をいく数値だ。ちなみに、同社のフリードの全高が1710~1735 mmということからも、いかにアイポイントが高いかがわかるだろう。身長にもよるが、着座すると運転席からボンネットの先端まで目視しやすく、安心感は高まる。
また、Aピラーが細く、Aピラー横に設置された長方形の窓も大きめで視界が遮られている感覚を覚えづらい。もちろん、最小回転半径は4WDで4.7m、FFは4.5mと、取り回しの良さに関しては問題なし。
ホンダ独自の安全支援パッケージ「ホンダセンシング」も標準装備されている。また、2021年12月の一部改良では、電子制御パーキングブレーキや、高速道路における渋滞時などの運転負荷軽減する渋滞追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が追加されるなど、安全運転をサポートする機能が強化された点も推しポイントだ。
実際に運転してみると、2021年の軽四輪車 新車販売台数で第1位を獲得、7年連続の首位獲得というバカ売れをしている理由がわかるはずだ。
5ナンバーボディのミニバンなら「ホンダ フリード」
5ナンバーボディのミニバンが減少傾向にあるだけにフリードはありがたい存在。3列シートの7人乗りで全長4265、全幅1696mm、最小回転半径5.2mという数値も合格点だろう
コンパクトなクルマが良いことは知っているものの、家族で使用するためどうしてもミニバンクラスのクルマが欲しい……というなら、5ナンバーサイズのホンダ フリードがお薦め。
さらに、最小回転半径が5.2mと、同サイズのミニバンのなかではトップクラス。コンパクトなボディと相まって、取り回しの良さは文句なしだ。
フロントガラスの面積の広さも注目点。三角窓も設置されているため、着座するとかなりの開放感を感じられる。視界を遮らないAピラーの細さも特長のひとつだ。リアウィンドウも大きめで後方視界も広いこともお薦めしたい理由だ。
N-BOX同様、「ホンダセンシング」が標準装備となっている他に、坂道発進時にブレーキからアクセルへペダルを踏み替える瞬間のクルマの後退を約1秒間抑制するという「ヒルスタートアシスト」機能を搭載するなど、安全装備も至れり尽くせり。これなら、ミニバンはちょっと不安という人でも臆することなく運転することができるはずだ。
取り回し抜群のクロスオーバーSUV「スズキ クロスビー」
車線中央付近の走行維持をサポートする車線維持支援機能を装備するなど、小型クロスオーバーワゴンのカテゴリーのなかでも運転サポートシステムの充実ぶりが際立つ
クロスオーバーSUVに乗りたいなら、スズキ クロスビーがお薦め。小回りが利くという点が最大の推しポイントだ。リッターカークラスではトップの4.7mの最小回転半径で、見た目よりもずっと取り回しが良い。
運転席の位置も高めで同クラスの車種よりもアイポイントが高く、さらにボンネット部分も短いため、前方の見切りが非常に良いこともお薦めの理由だ。
悪路走破性にも優れているため、悪コンディション下での運転も安定して走ることができるのも嬉しい。
2020年10月の一部仕様変更では、予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」に加えて安全装備を充実。全車速追従機能付のアダプティブクルーズコントロールなど、運転の不安を軽減してくれる安全装備が標準装備に、全方位モニター用カメラパッケージもメーカーオプション設定された。
取り回し良し、見切り良し、運転サポート良し! 「ダイハツ タント」
小回りが利き、さらにリアシートを倒すと最長1500mmという軽自動車とは思えぬラゲッジスペースを確保。コンパクトかつファミリーユースに、という人ならタントがお薦めだ
最小回転半径4.4mと、軽自動車のなかでも最小。取り回しの点ではダントツだ。カスタムRSは4.7mとなるが、それでも十分な数値だ。
フロントガラスが大きく、さらにAピラー部分に設けられた長方形の窓も大きめで視界も良好。サイドの視認性は非常に高い。ボンネットも短く、前方の見切りの良さも抜群だ。後方の面積も大きいので、後方の視認性が高い。
また、事故の原因となる視線移動を最小限に留めるドライビングポジションを実現するため、メーター位置やステアリングなどのレイアウトにも工夫が施されている。
衝突事故を防止する予防安全装備「次世代スマートアシスト」も標準装備(ベースグレードLを除く)されているため、安心感も抜群だ。
軽自動車感覚で乗れてしまうコンパクトカー「トヨタ パッソ」
フロント、リアのウィンドウ面積が大きめで、コンパクトながら圧迫感が少ないことも特長。前後の見切りの良さに貢献してくれる
最近すっかり影が薄くなってしまった感のあるパッソだが、取り回しも良く、視界も良好と、運転しやすいコンパクトカーとしては超優等生と言える。
最小回転半径は4.6mと、5ナンバー車のなかではかなり小さい値だ。また、ノーズ部分が長めのコンパクトカーが増えているなか、パッソはノーズが短いため前方の見切りが良いことも特長だ。運転した感覚はコンパクトカーと言うより軽自動車。細い道でのすれ違いや、車庫入れもストレスなく行うことができる。
Aピラーも同クラスのクルマと比較すると細めで広い視界を確保できる。
2010年2月フルモデルチェンジ~2016年4月フルモデルチェンジ前までのパッソには、踏み間違い加速抑制システムを後付けで取り付けも可能。すでにパッソに乗っている人も安全性強化が図れるところも嬉しいポイントだ。また、2021年4月の改良では、全グレードに衝突回避支援システム「スマートアシストIII」が標準装備となったことも心強い!
3ナンバーでも運転しやすい! 「トヨタ ノア/ヴォクシー」
こちらはヴォクシー。先代が全幅1695mmだったのに対して全幅1730mmと大型化したものの、1800mmを超えるミニバンが多いなかでは決して大振りなボディではない
ミニバンの選択の幅を広げたいなら3ナンバー車を除外することは難しい状況となっている。ということで、3ナンバー車のミニバンなら、先日フルモデルチェンジしたばかりのノアまたはヴォクシーを。大きな違いはフロントマスクをはじめとしたエクステリアデザイン。ボディサイズや安全装備などはほぼ同じだ。
いずれもAピラーが細く、三角窓も大きく、視界がかなり広いことがお薦めしたい理由のひとつ。リアに関してもウィンドウの面積が大きいため、後方視界もきわめて良好。開放感があり、全方向が見渡せる感が安心感を高めてくれる。
最小回転半径は5.5m。小回りが利く、利かないの境目が5.5mと言われているため、微妙なところだが、3ナンバーのミニバンは5.5m以上のものが多いため、同クラスのミニバンのなかでは取り回しは決して悪いほうではないだろう。
また、ヴォクシー/ノアから標準装備となる最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」には、トヨタ初搭載となる、飛び出しなどのリスクの先読みを行う「プロアクティブドライビングアシスト」といった先進機能が満載。それらプラスして、パノラミックビューモニター、パーキングサポートブレーキなども装備すれば、3ナンバー車初心者でも安心して運転できるはずだ。
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みんなのコメント
小回り効きすぎて内輪側引っ掛けそうになるくらい小回り効く。
周りを全く見ないBBA多いな。
小学校近くの道路でスマホ見ながら急加速するのもこう言う奴ら。
できればそこらの電柱に自爆して欲しいけどね