2021年6月8日、ベントレーモーターズは6月27日にアメリカ・コロラド州で行われるヒルクライムレース「第99回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」に出場するレーシングマシン「コンチネンタルGT3パイクスピーク」の詳細を公表した。
将来を見据えて再生可能レーシング燃料を使用
2021年で99回目を数える、世界一過酷といいわれるヒルクライムレース「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(以下パイクスピーク)」に出場する「ベントレー コンチネンタルGT3 パイクスピーク」のテクニカルデータが公開された。
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パイクスピークは、海抜9300フィート(約2834m)からスタートし1万4100フィート(約4294m)まで登るレースのため、頂上付近での空気の密度が平均的な標高と比べ3分の1となる。そのため、コンチネンタル GT3 パイクスピークはエアロダイナミクスパッケージをはじめ、シャシー、エンジンなどをベントレーの歴代ロードマシン(レース車両のベースマシン)の中で最も過激な仕様とされている。
エンジンは4L V8 DOHCターボをベースに、通常の標高で最高出力750bhp以上、最大トルク1000Nm 以上出せるようにパワーアップされている。実戦での空気の密度の薄さを考慮して、新しいピストンとコンロッドを採用し、追加のブースト圧を2.2bar以上としたことによるものだ。
同様に、カーボンファイバーのインテークマニホールドも、標準仕様と比べより厚く強固にされた。ワンオフのチタン製エキゾーストマニホールドは3Dプリントにより製作され、フロントホイールの後ろから出る非常に短いエキゾーストと専用スクリーマーパイプに接続する外部ウェストゲートを備えた大径ターボへと繋げられている。
燃料は98RON(オクタン価)の再生可能レーシング燃料を使用する。モータースポーツ用に特別に設計された先進的なバイオ燃料を専用にブレンドしたもので、温室効果ガスを最大85%削減できる持続可能なe-fuel(クリーンな新燃料)への技術的な足がかりを視野に入れてのことだ。これは、ベントレーが掲げる長期事業ビジョン「ビヨンド100」と軌を一にするものだ。
高性能な冷却システムも重要なポイントだ。パイクスピークのために車両後部に設置される二次冷却システムの開発を行った。これはリアウインドーの代わりにエアスクープを設置してセカンダリラジエーターに空気の送り込み、それをトランクリッドのダクトから排気するというものだ。このシステムは、専用のセカンダリーウォーターポンプ(水冷)によって作動する。
ギアボックスはベントレーの標準的なレーシングユニットだが、より耐久性を高めるためにリアドライブシャフトの直径が大きくされた。しかも、ギアボックスオイルには、エンジンオイル同様に特別に開発したものを使うといった念の入れようだ。
シャシーは、パイクスピークのコース特性に合わせて設定/調整が行われている。前後のアクスルは、標準的なコンチネンタルGT3のセットアップよりも大幅にキャンバー角を減らし、低速でのコーナリング性能に重点を置いている。空力面では、平均標高におけるダウンフォースを全体的に30%向上させるとともに、ベントレー史上最も大きなリアウイングが取り付けられた。
コンチネンタルGT3パイクスピークは、6月27日の本番を前にアメリカ・コロラド州でテストを重ねているが、現在のところ順調な結果を得ているという。ベントレーの目標は、2018年の市販SUV部門と2019年市販車部門での優勝に続き、タイムアタック1部門で記録を更新しての優勝を達成し3冠となることだ。
ドライバーは、パイクスピークで3度の優勝経験(うち2回がベントレー)を持つ元「キング・オブ・ザ・マウンテン」のリース・ミレン(ニュージーランド)が任を負う。
[ アルバム : ベントレー コンチネンタルGT3パイクスピーク はオリジナルサイトでご覧ください ]
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