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マクラーレン・アルトゥーラ PHEVでも存在する「らしさ」の隠し味 マクラーレン第2章

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マクラーレン・アルトゥーラ PHEVでも存在する「らしさ」の隠し味 マクラーレン第2章

マクラーレンは金太郎アメ?

2010年に誕生したマクラーレン・オートモーティブは、これまで基本的にひとつのカーボンモノコック/V8ツインターボエンジン/7速DCTをベースにして様々なスーパースポーツカーを生み出してきた。

【画像】マクラーレン・アルトゥーラ試乗の様子をみる 全36枚

クチの悪い人は、これについて「まるで金太郎アメのよう」などと揶揄してきたが、そういう人に限ってマクラーレンの各モデルに真剣に乗った経験がないのではないだろうか。

では、なぜこれまでマクラーレンが共通といって差し支えないコンポーネンツを使い続けてきたかといえば、ひとつには、彼らが標榜する「軽量かつ優れた空力特性により、圧倒的な一体感を生み出すスーパースポーツカー」というコンセプトを実現するのに、これ以上、理想的なハードウェアがほかに見つからなかったことが挙げられる。

しかも、そうしたコンポーネンツは物理的な特性にも優れていたので、マクラーレンが「創造」する様々なキャラクターのスーパースポーツカーを作るうえで、万能ともいえるほどの可能性を発揮した。おかげで、サーキット走行向きからロングツーリング向きまで、多種多様なモデルを次々と市場に投入できたのである。

そうはいっても、マクラーレン・オートモーティブの処女作である12Cが誕生して以降の約10年間に、モノコックもエンジンもトランスミッションも様々な改良を受けていたのは事実。

ただし、2022年にデビューしたアルトゥーラは、それまでとはまったく異なるコンポーネントを用いて誕生した、マクラーレン・オートモーティブ第2章の始まりというべきモデルなのである。

PHEVのマクラーレン

アルトゥーラの最大の特徴はパワートレインにプラグイン・ハイブリッドを採用した点にある。

もっとも、彼らにとってこれは初めて経験ではなく、2013年にはマクラーレン初のPHEVとなるP1をリリースしているが、モーターやバッテリーに関するテクノロジーは当時から長足の進歩を遂げている。

そこで、そうした最新のPHEV用パワートレインにあわせて、すべてのコンポーネントをゼロから見直して開発されたのがアルトゥーラだったのである。

たとえば先進的な素材を活用して新設計したカーボンモノコックは、キャビン直後の低い位置にバッテリー用スペースを設定。燃料タンクはこの上部に配置するレイアウトとした。

バッテリーというエンジンに次ぐ重さのコンポーネントをできるだけ低く、車体の中心近くにレイアウトするのはレーシングカーでもお馴染みの手法。こうしてPHEV化に伴うネガを最小限に留めようとしたのだ。

さらにいえば、こちらも新設計となるV6ツインターボエンジンや初目見えの8速DCT(従来は7速DCT)も、小型軽量に徹底的にこだわって開発されたものばかり。こうすることで、マクラーレンの重要なコンセプトである軽量/低重心をPHEVで実現したのである。

マクラーレン「らしさ」

そうした成果は、アルトゥーラに試乗すると、たちどころにして理解できる。

率直にいって、乾燥重量の1395kgは、マクラーレンとしてはヘビー級だが、直近のライバルに対しては80kg近くも軽い。それでも、おそらくはモーターを活用したパワートレインのレスポンスのよさ、そしてサスペンションやステアリングなどの設定により、750SやGTよりも明らかに軽快な反応を示してくれる点は驚きでさえある。

その乗り心地はマクラーレンらしく実にしなやかで洗練されたもの。私はスペインで行なわれた国際試乗会を始めとして、これまでに7~8台のアルトゥーラに試乗したことがあるが、そのなかで、つい先日試乗した1台だけが低速域でゴツゴツした印象を伝えたものの、それ以外はどれも実に快適だった。

アルトゥーラの軽快な印象は、高速道路でも、さらにいえばサーキットを走っても変わらない。常に的確なロードインフォメーションをドライバーに伝えつつ、圧倒的なスタビリティとコントロール性をもたらしてくれる点は、いかにもマクラーレンらしいもの。

そしてミドシップスポーツカーとは思えないほど視界が優れている点も、マクラーレンの優れた伝統といえる。とりわけ斜め後方の視界が良好な点は、高速道路の流入などでバツグンの安心感を生み出してくれるはずだ。

そう、アルトゥーラはハードウェアのほぼすべてが刷新されたが、ドライビングの歓びはこれまでのマクラーレンとまるで変わるところがない。とりわけ、パワー至上主義に走らず、なによりもバランスを最優先して作り込まれている点は、いかにもマクラーレンらしい。

そしてこの思想は、1960年代から1980年代にかけてイギリス系F1チームが実践してきた伝統をダイレクトに受け継いだものでもある。いずれにせよ、電動化時代を迎えてもマクラーレンのポジションとキャラクターが不変であることは間違いなさそうだ。

試乗車のスペック

価格:3070万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4539×1913×1193mm
最高速度:330km/h
0-100km/h加速:3.0秒
燃料消費率:4.6L/100km
CO2排出量:104g/km
車両重量:1395kg
パワートレイン:V型6気筒2993cc+モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:680ps/7500rpm
最大トルク:73.42kg-m/2250rpm
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:235/35ZR19(フロント)295/35ZR20(リア)

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