この記事をまとめると
■型式指定認証不正によりトヨタのカローラアクシオ、カローラフィールダー、ヤリスクロスが出荷停止となった
トヨタ・ホンダ・マツダ・スズキ・ヤマハで認証不正が発覚! クルマの安全性には問題ないもの多数だが問題は「メーカーへの信頼」
■出荷停止となった3車種は注文していた新車がいつ届くのかも不明な状態
■出荷再開まで時間がかかることになれば受注撤回ということにもなりかねない
型式指定の認証不良で出荷停止が相次ぐ
6月4日、トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハにおける型式指定申請についての問題が発覚した。
トヨタでは、現在販売されている車種ではカローラアクシオ、カローラフィールダー、ヤリスクロスの3車種が今回の問題における対象車種になり、国交省(国土交通省)からも出荷指示の停止を受けており、6月6日より当該3車種が生産及び出荷、新規受注の停止となった。
調べてみると、カローラアクシオと同フィールダーの2024年1月から4月までの累計販売台数をもとに月販平均台数を算出すると約2099台となり、3ナンバーとなるカローラセダンや同ツーリング、同スポーツ、同クロスには及ばないものの、アクシオ&フィールダーだけでも十分「人気車種」といえる販売台数となっていた。
あくまで筆者の私見とはなるが、東日本では法人ニーズでもカローラセダンやとくに「貨客兼用」としてツーリングがよく使われているが、東海地区や近畿圏ではアクシオやフィールダーを営業用車としてひんぱんに見かけることができる。先日、大阪伊丹空港を利用した際、空港近くのレンタカー店に白いアクシオのレンタカーがたくさん置いてあって驚いた。「西高東低」という表現が似合うかは微妙だが、西日本地域では東日本よりセダンが好まれているようにも見えるので、アクシオやフィールダーは需要があるようだ。
ヤリスクロスの全国的な人気の高さはいまさら語らなくても皆さんご承知の話。調べてみると、2024年1月から4月の月販平均台数は8000台弱であった。いずれも出荷停止となるのはかなり痛い話となるのは明らか。
報道では今回、トヨタも含む5社の問題発覚による日本経済への悪影響は避けられないと報じている。ダイハツがつい最近まで同様の問題で全車種出荷停止となっていたが、一時は日本のGDP(国内総生産)を押し下げることとなったので、このような懸念が出ているようだ。
ヤリスクロスは今回の問題発覚以前から、筆者の聞いた話では店頭で注文書にサインしているものの、それをディーラーが正式発注できないほど納期が混乱していたようだ。ヤリス及びヤリスクロスは2024年1月17日に改良を行ったばかりなので、改良直後ということもあり、受注が相次いだことも納期の混乱を招いたようである。
新車販売現場では目立ったトラブルは起きないと予測されている
あるトヨタ系ディーラーのセールスマンは、「問題発覚後、メーカーからの説明は何もないですね。生産、出荷、そして新規受注停止になったことぐらいしか確認できません。来月納車予定のヤリスクロスがあったのですが、いつ納車できるのか白紙状態というのが現状で困っております」とのこと。
ダイハツが問題発覚で出荷停止になったときには、とくに軽自動車では「型式申請する際の試験に問題があったのでクルマには問題はない」とする消費者も多かった。そして、届け出済み未使用軽中古車が市場に大量に流通していたこともあり、「新車で買えないのなら中古車で……」という購買行動が目立っていた。当時、ダイハツ系ディーラーへ行っても「新車は発注できませんから、展示してある届け出済み未使用軽中古車はいかがですか」と勧められたことがあった。
ヤリスクロスでも同じような動きがあるのかと事情通に聞くと、「残念ながらヤリスクロスやカローラ(アクシオ&フィールダー)は、ダイハツの軽自動車ほど中古車市場に潤沢に未使用や高年式な中古車が流通していません。新車が買えないなら中古車へという購買行動が、ダイハツの軽自動車みたいに広範に起きたとしても、市場は対応できないでしょう」と話してくれた。
出荷再開時期も見えないなかでは、当該車種の納車を待っているお客は、先行きがまったく見えないなかセールスマンが丁寧にフォロー(現状では提供できる情報はないが)しながら、しばらくは様子も見守ることが得策といえよう。トヨタの出荷停止対象車種に限って見れば、「それでは他メーカー車へ」といった動きも取りにくい、つまり他メーカーに競合する車種がないのが実状である。
現状のトヨタ車では納期改善が進んでいるものの、まだまだ不安定な状況ともいえるので、 「来月下取り予定車の車検が切れる」といった切羽詰まった人への新車販売を控えるセールスマンも多く、それなりに計画的な受注活動を行っているとも聞いている。
ただ、すでにかなり長い期間納車を待っていて、今回の出荷停止でさらに納車が延びるケースでは、乗っている下取り予定車の車検有効期限がきてしまうケースは十分想定できる。繰り返すが出荷再開までの先行きは不透明なのが現状。ケースバイケースで個別に対応してもらうしかないだろう。
メディアの一部は「不安なので当該車の販売を手控える」といったコメントを語る中古車販売業者をわざわざ探し、そのリポートを流して世間に対し不安を煽っているようにも見えるが、消費者サイドはすでにダイハツの問題を経ていることもあり、「試験実施過程に問題があっただけでクルマに問題があるわけではない」と冷静に受け止めている。新車販売現場では目立ったトラブルは起きないものといまのところは見ているようであった。
ただ、もちろん出荷再開まで長期間を要することになれば、メーカーからバックオーダーのキャンセル(つまり受注撤回)ということも人気車なので起きかねないので、とにかく事態の行方に注目していくことは必要だろう。
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