シルバーストン・サーキットで行なわれているF1第10戦イギリスGP。今季開幕からポーパシングやバウンシングといった問題により苦戦を強いられてきたメルセデスだったが、常設サーキットに戻ってのイギリスGPでは好転。初日からフェラーリに迫る速さを見せ、その速さは土曜日も健在だったが、ジョージ・ラッセルは慎重な姿勢を崩していない。
イギリスGPのフリー走行1回目は不安定な天候によりグリッドの半数がタイムを出さずにセッションが終了したものの、メルセデスのルイス・ハミルトンが2番手。ドライコンディションの中本格的な走行が行なわれたフリー走行2回目でも、ハミルトンはカルロス・サインツJr.(フェラーリ)に次ぐ2番手タイムを記録した。
■F1メカ解説|メルセデスのアップデート、どこが変わった? 空力改善のため細部を微調整
チームメイトのラッセルは8番手と、予選想定ラップではランド・ノリス(マクラーレン)やフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)といったフェラーリやレッドブル以外の中団グループのドライバーに先行を許したものの、ハミルトンを含めメルセデス勢の決勝レースを見据えたロングランは秀逸。フェラーリ勢にも匹敵するペースを示した。
予選前最後のフリー走行3回目でもメルセデスの速さは健在で、フェラーリ勢に割って入る4番手、5番手を獲得。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が頭ひとつ抜きん出ているものの、レッドブル、メルセデス、フェラーリの3チームが三つ巴となっている。
大型アップデートを投入したスペインGPでは復活の兆候を示していたが、非常設サーキット3連戦では再び苦戦を強いられるなど苦しいシーズンとなっていただけに、そして今回が母国レースということもあり、ラッセルはこの結果に諸手を挙げて喜んでいる……という訳ではないようだった。
「よく分からないから、調査が必要だ」とラッセルは初日の走行を終えて語っていた。
「燃料が軽い時はルイスに比べてかなり苦戦した。彼は本当に強力なラップを刻んでいた。燃料が重い時は、同じくハードタイヤを履いていたマクラーレンと比較しても、僕らは期待できると思う」
「僕らはかなり速かったし、タイヤが温まっていた終盤でもフェラーリよりも速かった。終盤彼らのペースは落ちていったけど、僕らは周回を重ねるごとに調子を上げていった。ポジティブな兆候はあるけど、まだまだ改善の余地があるのは間違いない」
「なぜ僕らのレースペースが予選ペースよりもずっと良いのかを理解する必要があると思う。マクラーレンは1周(のアタック)で本当に強かった。僕らは予選ペースでタイヤを上手く使えていないけど、レースペースはかなり良い状態にあると思う」
「もちろん、常にバランスが重要になる。決勝レースだけに”オールイン”する訳にはいかないんだ。さっきも言った通り、ポジティブな兆候はあるけど、まだなんだ」
メルセデスは今回、フロントサスペンションやサイドポンツーン、フロア、リヤウイング、ビブウイング(キールウイング)などにパフォーマンスアップデートを投入。この新パーツの効果を尋ねるとラッセルは次のように答えた。
「ここシルバーストンは(ここ数戦の舞台と)かなり異なるサーキットなんだ」
「コーナーを高速で駆け抜けていくから、ちょっとしたチャレンジになることは分かっていたし、実際その通りになっている」
「(高速コーナーの)コプスやマゴッツ、ベケッツではマシンがバウンドしているから、原因を理解する必要がある。ストレートでのポーパシングは少なくて良好だ。だからポジティブなことはあるんだ。僕らに必要なのは最適化だけだ」
FP3では、ラッセルが懸念していた高速コーナーでのバウンシングも影を潜め、安定した走りとなっていたメルセデス。予選・決勝でレッドブルやフェラーリにとって脅威になる可能性も、十分あるだろう。
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