7月6日、プジョーは2022年のル・マン24時間レースを含む同年シーズンのWEC世界耐久選手権に投入するル・マン・ハイパーカー規定の新型マシン『プジョー9X8ハイパーカー』を発表した。
プジョーのモータースポーツ部門であるプジョー・スポールはこの新車発表に先駆け、2019年下旬にル・マンに復帰することを発表した他、翌年にはル・マン・ハイパーカー(LMH)規定の元でスポーツカープログラムを実施することをアナウンス。さらに、新型マシンに搭載されるハイブリッドパワートレイン『プジョー・ハイブリッド4 500kW』の概要や、2021年2月にはフランス車メーカーを代表する7名のドライバーラインアップなどを明らかにしてきた。
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ル・マン24時間レースを制した『プジョー905』や『プジョー908』の後継車にあたり、WECの現行シリーズでは同ブランド初の参戦車両となる9X8ハイパーカーは、この2021年シーズンからLMH規定の下に新設されたハイパーカークラスに1年遅れで参入する。2022年のチャンピオンシップではTOYOTA GAZOO RacingのトヨタGR010ハイブリッドと、スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスが走らせるグリッケンハウス007 LMHと最高峰クラスのタイトルを争う予定だ。
なお、2023年には同クラスにフェラーリが加わり、“耐久の雄”ポルシェもIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権が採用する次期プロトタイプ規定LMDhの下で新型マシンを製造し、世界選手権に復帰することが発表されている。
そんな群雄割拠のスポーツカーシリーズを戦っていくプジョーのニューウエポンは、プジョー・スポールとプジョー・デザイン、フランスの大手エネルギー企業であるトタルエナジーズの共同開発によって生み出されたもの。
その心臓部にあたるパワートレインは排気量2.6リットルのツインターボV6エンジンとフロントに搭載された最大出力200kWの電動MGU、さらにトタルエナジーズの子会社であるサフトグループS.A.が開発した900Vバッテリーによって構成され、システムの合計出力はLMH規定の上限である500kW(約680PS)に制限される。
エンジンで後輪を、ドライ路面では120km/h以上での走行時に四輪駆動となるこのクルマの外観は、すでにレースを戦っているふたつチームのハイパーカーとは印象が異なる造形をしており、フロントに対してリヤが極端に低く抑えられている。なかでも注目なのはリヤウイングを取り除き、ボディ後端部と一体化させている点だ。
また、その独創的な車両デザインのなかに3本のラインで形成されたライトを車両前後に採用している点も見逃せない。この意匠はプジョーの市販車に採用されているライオンのかぎ爪がイメージされたデザインと同じものであり、フランス車メーカーがLMH規定誕生の原点にある“市販車とのリンク”を強く意識したものだ。
この他の外見的特徴としては、テールライトが後方に突き出すアグレッシブな造形なことやシャークフィンが後部に続くデザインに合わせて低く抑えられている点、広めのフロント開口部にバーチカルフィンが並ぶ姿、カウル上方にエアインテークを設けている点、サイドミラーをフェンダー内に収めていることなどが挙げられる。
モデル名の“9X8”にはそれぞれ意味が込められ、「9」は先代に位置づけられるプジョー905や同908で採用されたシリーズ名を引き継ぐもの。「X」は、プジョーハイパーカーの全輪駆動技術と、モーターレースの世界におけるブランドの電動化戦略を具現化するハイブリッドパワートレインを指す。そして「8」は、プジョーの現行ラインアップのすべてのモデル名に使用されている末尾の数字だ。
■プジョー9X8ハイパーカー テクニカルデータ
全長:5000mm
全幅:2080mm
全高:1180mm
ホイールベース:3045mm
パワートレイン:プジョー・ハイブリッド4 500kW
燃料および潤滑油:トタルエナジーズ
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