2022年5月12日より発売開始となった新型バッテリーEV(以下BEV)、スバル「ソルテラ」/トヨタ「bZ4X」。ミドルクラスサイズのクロスオーバーBEVのこの2台は、e-TNGAの考え方に基づくBEV専用プラットフォームを採用した最初のモデルだ。
走り、乗り心地、音振といった基本性能の高さと、559km(FWD 18インチ車WLTCモード)という航続距離を備え、将来的にはガソリン車の代替として期待されている、スバル「ソルテラ」/トヨタ「bZ4X」。このたび、ソルテラ/bZ4Xによる、総移動行程300km弱の試乗会に参加することができた。リアルワールドにおけるソルテラとbZ4Xの使い勝手、そして、筆者が感じた長所と短所についてご紹介しよう。
「買うならいま」か「まだ早い」か トヨタとスバル初の量産EV bZ4X&ソルテラ公道試乗でわかった長所と短所
文:吉川賢一
写真:SUBARU、TOYOTA
ソルテラ/bZ4Xで金沢から軽井沢まで走行!!
今回の公道試乗会は、東京→静岡→豊田→金沢→軽井沢→東京の総移動距離1300kmを、バトンを渡すように各メディアが乗り継ぐという面白い企画。筆者およびベストカーWEB編集部が担ったのは、金沢から軽井沢までを移動する300km弱だ。高速道路が半分、一般道が半分というルートで、山坂道が多く、さまざまな路面状況を体験することができた。bZ4Xで金沢駅を出発し、長野県松本市での休憩で、ソルテラへと乗り換えた。
目の前にしたbZ4Xのボディサイズは4690×1860×1650(全長×全幅×全高)mm、現行ハリアー(4740×1855×1660)に近く、全長は50mm短いといったサイズ感だ。エクステリアもクーペSUV風なので、割と近しいキャラクターに思える。ただし、bZ4Xの方が、ホイールベースが160mmも長いので(bZ4X 2850mm、ハリアー2690mm)、キャビンが異様に大きく見え、独特な雰囲気だ。
背中がスポッとハマる、素晴らしい形状のドライバーシートへ乗り込むと、僅かだが、ハリアーよりもフロアが高いことに気がつく。71.4kWhの大容量バッテリーをフロア下にたっぷりと積み込んでいるためだが、アイポイントがすこし高めにくるので、前方の視野がとてもよく感じる。また、フロントガラス越しにフロントフードの稜線が見えるので、ノーズ先端がある程度見えるのはよいポイントだ。
デジタルメーターはステアリングの上端奥にレイアウトされており、視線移動が少なくてすむ。加速と回生が分かるパワーゲージと、簡単なインフォメーション表示のみのシンプルなデザインで、わかりやすいとは思うが、もう少し遊び心があってもよかったかな、と感じる。ダイヤル式シフトスイッチは、一度下に押しこんでから左右に回すタイプで、従来の操作とは違うので直感的ではないが、慣れの問題だろう。
充電90%で走行残距離340km、乗り心地は静かで快適
bZ4X(FWD)のスタート時点での充電量は約90%、走行残距離は420kmとなっていた。カタログ公称値の559km(WLTCモード)からはだいぶ落ちるなあと思いながらも、(前日の走行パターンから電費計算されるので)前日のドライバーの運転が荒かったのか、と思うことにし、30度超の気温のためにエアコンをつけると走行残距離は340kmに減少する。
筆者は、バッテリーEV(リーフ)を、一年ほど愛車として乗っていた経験があるので、エアコンの影響は理解していたが、公称値の約6割という数字には、BEV初心者は驚かれるだろう。ただ、走行残距離340kmもあれば心配無用。途中一度の急速充電をこなすコースを確認し、スタートした。
15km/h程度の低速でステアリングを回していくと、軽すぎず、程よい重さで操舵力が返ってくる。ゴム厚のある60扁平の18インチタイヤ(235/60R18)のお陰もあり、低速走行中の段差ショックは少なく丸められており、乗り心地の印象が良い。ロードノイズも60km/h程度の市街地であれば非常に静かで、たまにコツコツとした音が聞こえる程度だ。遮音性の高さと、剛性感のあるステアリング、ショックをしっかりといなすサス。「いいクルマ感」がひしひしと伝わる。
40~60km/h程度で走るワインディングでは、bZ4Xの素性が、実によく分かった。2トン近い重量級ボディ(FWDは1920kg、AWDは2010kg)だが、コーナリング時のボディモーションはよく抑えられており、ドライバーが高い着座位置にいるのに、「グラッ」とするような揺れはさほど感じない。高い接地感とトラクションのよさ、レスポンスのよい駆動モーターのお陰で、上り坂でもスイスイと走るので、大変気持ちが良い。
100km/h程度の高速走行になると、一層、静かさが際立つ。高速直進性も高く、そして加速性能もアクセルペダル操作に遅れなく追従するので、スムーズな追い越し走行が可能だ。アスファルトの種類によっては、高周波のロードノイズを拾うこともあったが、基本的には静かで居心地のよい車室内であった。
ただし段差を越えたときに、タイヤが突き上げられた揺れが、キャビンへ伝わることがある。タイヤの重さなのか、ダンパーのセッティングなのかは分からないが、「舗装したてのアスファルトを走るような上質な乗り味」まではあと少し足りていない。
もう一点、踏み始めのブレーキの効きは、筆者的にはもう少し欲しかったところ。一般のSUVと同様に、所望の減速Gを得ようとすると、ある程度のペダル踏み込みが必要になる。「クルマが止まらない」というほどでは無いのだが、改めて車重のあるBEVだということを実感した。
ホワイトとブラックのカラーリングでまとめられたbZ4X。充電中や街中を走っていると、道行く人の視線をよく感じた
AWDはさらに乗り心地がいい
後半戦はソルテラAWDの試乗だ。FWDと比べると約90kg重たくなり、タイヤも20インチ(235/50R20)となるので、それなりに引き締まった足回りになるかと思ったが、路面が荒れたところではそれなりの突起ショックを受けるものの、ボディの揺れは18インチよりもむしろ小さく、すっきりとした乗り味となっており、AWDの方が乗り心地の印象はいい。
途中、運転を代わってもらって後席にも乗ったが、後席も乗り味は前席とさほど変わらず、膝周りも広いので実に快適だった。
加速シーンでも、AWDの方がレスポンスよく、ピッチングモーションも小さく収められているので、AWDの方がクルマの仕上がりレベルは高いといえる。また、FWDとAWDで同じバッテリー容量71.4kWhなのに、満充電時の航続距離はAWDが540km(WLTCモード)、FWDが559kmと、わずか19kmの差。スバル「ソルテラ」/トヨタ「bZ4X」は、AWDを選んで間違いないだろう。
やはり「BEVであること」が最大のネックか
クルマ本体への細かな指摘はほかにもあるが、それよりも大きな課題は、急速充電場所に対する不安だ。BEVを所有するうえでの最大の課題は「走行残距離をマネージメント」すること。充電設備がある場所はナビゲーション上に表示されてはいるのだが、使用中の可能性もあり、すでに「待ち」が発生している可能性さえある。
今回の試乗会でも、筆者が乗る隊は、充電場所を2か所やり過ごし(一般の方と同業者が充電中だった)、3カ所目でようやく入ることができた。また、後続の試乗隊も筆者が充電している後ろで、最大で2台待ちの車列ができた。2台待ちにもなるとざっくり1時間待つことになる。次の充電設備に行ったとしても、空いているとは限らず、大幅なタイムロスとなるばかりか、下手に動き回ることで電欠となってしまう可能性もある。
ピュアガソリン車やハイブリッド車のように、ガソリンスタンドで満タン給油を5分でするのとは、ワケが違う。わずか300km未満の移動でさえ、いつ充電できるのかと、気を使うのがBEVだ。
トヨタとしても、2025年を目途にすべてのトヨタ系ディーラーに急速充電設備を設置すると発表しているが、そうしたBEVのカーライフに一般の顧客が順応できるのか。慣れてしまえば、事前に充電個所をチェックしておき、休憩時間も考えた行動予定を計画できたりもするが、今回の試乗コースのような山間部のドライブルートの場合だと、インフラが整っていないため、覚悟が必要だ。
bZ4Xの月額料は高いが、利用する価値はある
もう一点、話題となっているのが、bZ4Xは全数リース販売とし、個人のユーザー向けにはサブスク「KINTO」方式のみにするという点だ。bZ4X(Z/FWD 税込600万円)の場合、初回に申込金77万円を支払ったうえで、4年目の終わりまでは月額利用料10万7800円を支払い続けることとなる。
この月額利用料の中には、自動車税や自賠責保険、車検費用、メンテナンス、消耗品交換、バッテリー保証、そして任意自動車保険(車両保険も付いている)までも含まれている。85万円の政府補助金と、地方ごとに出る補助金(東京都の場合だと45万円)が別途受けられるとはいえ、かなり高い月額料だが、月額料のほかにクルマにお金がかかることはなく、クルマが自分の所有物にならないことを気にしないのであれば、利用する価値は高い。
なお5年目を迎える前に乗り換える場合には、中途解約金が発生する(例:1年目で解約すると税込132万円が必要)。5年目以降は、中途解約金は無く、月額利用料も徐々に減少する。
◆ ◆ ◆
スバル「ソルテラ」/トヨタ「bZ4X」は、クルマの出来は申し分なく、いまなら補助金もたっぷり出る。「乗るならいま」といいたいところだが、BEVは(少なくともいまのインフラ状況では)むやみにおすすめすることができない。購入を検討されている方は、BEVのカーライフに自分を合わせることができるか、よく考えたうえで購入してほしい。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
“生産版”「“R36”GT-R」公開に反響絶大! 日産の「旧車デザイン」採用&4.1リッター「V6」搭載で「借金しても欲しい」の声! 1000馬力超えもあるArtisan「“和製”なスーパーカー」が話題に
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
「黄信号だ。止まろう」ドカーーーン!!! 追突されて「運転ヘタクソが!」と怒鳴られた…投稿に大反響!?「黄信号は止まるの当たり前だろ」の声も…実際の「黄信号の意味」ってどうなの?
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
「黄信号だ。止まろう」ドカーーーン!!! 追突されて「運転ヘタクソが!」と怒鳴られた…投稿に大反響!?「黄信号は止まるの当たり前だろ」の声も…実際の「黄信号の意味」ってどうなの?
“生産版”「“R36”GT-R」公開に反響絶大! 日産の「旧車デザイン」採用&4.1リッター「V6」搭載で「借金しても欲しい」の声! 1000馬力超えもあるArtisan「“和製”なスーパーカー」が話題に
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント