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Eクラスからのバトンタッチ メルセデス・ベンツEQE 350へ同乗 航続659km 前編

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Eクラスからのバトンタッチ メルセデス・ベンツEQE 350へ同乗 航続659km 前編

メルセデス・ベンツ6番目の純EV

電動上級サルーンの市場では、モデルSとタイカンで、テスラとポルシェが先行している。それに待ったをかけるべく、メルセデス・ベンツが急ピッチに開発を進めているのが、EQEだ。

【画像】開発中 メルセデス・ベンツEQE 350 欧州で競合する純EVの上級サルーンと比較 全107枚

電気自動車専用のプラットフォーム、EVAをベースとするモデルとして、EQEは2番目に当たる。また2019年のEQC発売以来、同社としては6番目の純EVになる。

EQEは内燃エンジンを載せたEクラスとの並行で販売が予定されており、多様なグレードが用意される見込み。2022年後半に導入が始まる英国市場では、6万5000ポンド(約1007万円)前後がスターティングプライスになるという。

もちろん、EQEは中国でも販売される。彼の地ではシャオペンP7やニオET7といった、現地ブランドの純EVもライバルになる。メルセデス・ベンツにとっても最大の市場なだけに、戦いは有利に運びたいと考えているに違いない。

生産拠点の1つは、ドイツ・ブレーメンの自社工場。加えて中国・北京に拠点を持つ、BAICグループ社との合弁工場でも生産されるという。

実際に筆者がEQEのステアリングホイールを握れるのは、2022年半ばまでは待つ必要がある。今回はドイツ・シュツットガルト郊外で、開発技術者が運転するプロトタイプの助手席へ乗せてもらった。

そこから得られた印象は限定的ではある。だが、最終的には完全に交代するであろうEクラスに対し、極めて訴求力の高い代替モデルであることは間違いなさそうだ。

EQSとの兄弟関係が香るスタイリング

助手席へ乗したEQEは、350というグレード。2021年9月のミュンヘン・モーターショーで容姿は発表済みなため、偽装などは施されていなかった。

外観を眺めれば、純EVのSクラスに当たる、発売済みのEQSとの兄弟関係は明らか。観察するまでもなく、ブラックのパネルで塞がれたグリル部分や、キャブフォワードで弓なりにカーブを描くフォルム、高いウエストラインなどには既視感がある。

それでいて、EQSの縮小版というわけではない。特にデジタルライト・プロジェクターがオプションとなる、ヘッドライトまわりの処理が異なる。EQSではグリル部分の上端にライトバーが走るが、EQEには与えられていない。

リアのオーバーハングは短く、ホイールアーチ直後にエアアウトレット風の処理が施されている。斜めから見ると、EQEの方が抑揚は大きく、筋肉質に感じられる。

見た目で最も大きく異なるのが、後ろ姿。EQSにはリアガラスまで開閉する、大きなリフトバック風のテールゲートが与えられているが、EQEでは居室と荷室とが別れたトランクリッドになっている。リアガラスの角度も起き気味だ。

反面、控え目に載ったテールスポイラーと、左右がつながったテールライトは、EQSのものと重なって見える。

ボディ表面は平滑に仕上げられ、ドアハンドルも通常は格納されるフラッシュタイプ。19インチから21インチまで選べるホイールは空力的に最適化され、アンダーボディもほぼフラットだという。

後輪駆動の350は292psと53.9kg-m

開発責任者のオリバー・レッカー氏によれば、内燃エンジンのどのメルセデス・ベンツより、EQEの空気抵抗は小さいそうだ。一方でEQSの空気抵抗係数(Cd値)、0.20には達しないとも話していた。

「ルーフラインが短く、リアエンドの丸みが強いため、EQSに匹敵するCd値を得ることは難しい挑戦でした。最終的な数字はこれからですが、何度も風洞実験をしています。Eクラスより大幅に優れた結果にはなるでしょう」

EQEのボディサイズは、全長が4946mm、全幅1961mm、全高1512mm。現行の5代目Eクラスより117mm短いが、101mm幅が広く、18mm背が高い。

EQSより270mm短いものの、全幅はドアハンドルの仕様の違いで35mm広い。全高はまったく同じだ。ホイールベースは3120mmで、90mm短い。

当初に英国へ導入されるEQEは、1グレードのみ。後輪駆動の350になるという。駆動用モーターはリア側の1基で、最高出力292psと最大トルク53.9kg-mを発揮する。

遅れて四輪駆動版が投入されるほか、高性能なAMG仕様も計画にある。この350はEQEのエントリーグレードに当たる。

トランスミッションはシングルスピードのATで、ドライブモードはコンフォート、スポーツ、スポーツ+の3段階がメイン。滑りやすい路面用の、スリッパリー・モードも用意される。

駆動用バッテリーはリチウムイオンで、容量は90kWh。航続距離は、WLTP値で最長659kmと長い。予め温度管理をすることで、ケーブル接続後から最短で、最速の充電を可能としたそうだ。

急速充電能力は最大170kW。EQSより30kWほど少ないが、最短15分で249kmぶんの電気を蓄えられるという。

上位モデルに通じるゴージャスな車内

ドアを開いてEQEの車内に身を置くと、やはりEQSでの既視感がある。オプションとなる、ダッシュボード全面をモニターが占拠するハイパースクリーンと、タッチセンサー付きのステアリングホイールなどが理由だろう。

宙に浮いたようなデザインのセンターコンソールや、柔らかく体を包んでくれるシートも、上位モデルに通じている。ゴージャスだ。

ハイパースクリーンは、メーターパネル部分が12.3インチで、インフォテインメント用が17.7インチという大画面。助手席側にも12.3インチのモニターが用意される。車両情報の確認のほか、移動中に映像を楽しんだり、インターネット検索なども可能となる。

ちなみにハイパースクリーンは、英国では8000ポンド(124万円)のオプション。標準のEQEでは、横長のメーター用モニターがダッシュボード上部に、縦長11.9インチ・タッチモニターがセンターコンソールと続くように据えられる。

車内を観察していると、EQSほどの豪奢さは備わらないことが見えてくる。シートのクッションは少し硬めで、ドアパネルの造形も比較すればシンプル。ターゲット層に合わせて、より質実的にデザインされている。

それでも、モニターは明るく高精細。実際に押せるハードボタン類の、確かでしっとりとしたタッチにも感心する。アルカンターラのほか、マイクロクラウドと呼ばれる新素材が贅沢に用いられ、知覚品質はドイツの上級ブランドに相応しい。

この続きは後編にて。

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