新型BMW「M2クーペ」のMT仕様に小川フミオが乗った。痛快なドライブフィールは感動間違いナシ!
BMWならではのストレート6
スーパースポーツでサーキット走行を夢としつつ、ふだん使いのクルマでドライブを楽しみたい……そんなひとにぴったりなのが、BMWの新型M2クーペだ。最高に楽しい!
いまのM2クーペは2代目として、2023年4月から日本市場に導入されている。338kW(460ps)の最高出力をもつ2992cc直列6気筒エンジンをフロントに載せた後輪駆動だ。しかも今どき珍しい6段マニュアル車の設定もある。
乗ってみると、いまだにBMWがこんな原初的なドライブの楽しみをもつモデルを作ってくれているのが、嬉しくなった。
とくに私が試乗したときは、タイミングもおもしろかった。東京都内で新型「5シリーズ」の発表会があり、トップモデルはBEV(ピュア電気自動車)の「i5」と聞いた翌日に、ガソリンエンジンの醍醐味を味わわせてくれるM2クーペに乗ったのだ。
かつてBMWの名声を確立したストレートシックス(直列6気筒エンジン)搭載の後輪駆動のスティックシフト(MT)のクーペは、これから主流になっていくであろうiシリーズの対極にあるような存在である。でも輝きはまったく失っていない。
ちなみに新型5シリーズの日本仕様には6気筒エンジン搭載モデルの設定はない。となるとM2クーペも今後はわからない……乗れるなら乗ったほうがいいですよ、と、積極的に勧めたいモデルある。かつ、どうせだったらマニュアル車がいいだろう。
なぜ、6段マニュアル変速機搭載車をお勧めしたいかというと、すばらしい6気筒エンジンを堪能する最善の手段だからだ。
直列6気筒のどこかがいいかというと、すでにBMWの他モデルで体験ずみのかたもいるかもしれないけれど、シュンッと上の回転域までウルトラスムーズにまわる点。同時にトルクが盛り上がっていくかんじがぴったりと合っているのもよい。
エキサイティング!BMW車の美点は、エンジンのキャラクターもドライブトレインの設定も、かなりサーキットよりに振っているモデルでも、意外なほど街中で扱いやすいところにある。M2クーペもおなじで、いい意味での二面性をそなえていた。
ドライブモードで「トラック(サーキット)」を選んだとしても、足まわりが「硬い!」と、思うのは、スピードを出したときだけ。ふつうに都市部の公道を流しているぶんには、不快な突き上げは感じられない。
電子制御ダンパーを組み込んだサスペンションシステムは、しっかり走りを支えてくれる。標準モードではしなやかで、ドライブモードによって明確にキャラクターが変わるのも好ましい。わざわざこのクルマに乗る理由になる。
いまのM2クーペをして、BMWでは「2002ターボ」(1973年)や初代「M3」(1986年)の精神的後継車としているようだが、1980年代までのBMWのスポーツセダンのようにエンジンばかりが速いということはなく、シャシーもしっかりしている。自分のペースで最高にエキサイティングな体験が出来るのがM2クーペの魅力だ。
太いグリップのハンドルは、車体とダイレクトにつながっている操舵感覚。しかも路面の情報を手のひらにきちんと伝えてくれる。これは上質なチューニングと感心させられる。
シフトフィールは私のおぼえているかぎり、1970年代からあまり変わらない。手の平でシフターのフォブを軽く叩くようにして1速に入れて発進。
すばらしい音で加速していく。騒音規制をクリアするギリギリのところで、なんとか快音を作っている。550Nmの最大トルクは2650rpmから発生するので、ぽんっぽんっぽんっと、気持よい操作感覚のシフターを動かして、シフトアップしていっても、トルク不足を味わう場面はない。
いっぽう、各ギヤでガーンっとレッドゾーンちかくまでひっぱっていって、カーブの手前でブレーキングと、そしてシフトダウンというのも、意外なほど簡単。
じつは自動でエンジンの回転を合わせてくれる「シフトアシスト」なる機能をそなえているのだ。スポーティなMT車に慣れている手練れはがっかりするかもしれないが、誰でも“シフトダウン”というMT最高の楽しみを気持ちよく味わえるのは、いいことだろう。
左ハンドルも望む!M3が全輪駆動で2ペダルとなるのに対して、M2クーペは、大パワーをもちながら、後輪駆動で、しかもマニュアル変速機の設定がある(AT車もある)。しかもフル4シーターだ。
日本仕様は右ハンドルで、扱いやすいけれど、MT車だけは左ハンドルでもよかったかもしれない。
理由のひとつは、マニュアルシフトは利き腕のほうがやりやすい点(多くの人は右利きだ)。もうひとつは、バケットタイプのシートデザインだ。
座面の先端中央部だけレザーの覆いがはぶかれ、CFRPの構造が見えるようになっている。しかし、クラッチペダルがかなり右寄りにあるため、左脚を動かすとこの硬い部分にぶつかって痛い。
おそらく左ハンドル車だとペダルのオフセットも少なく、右ハンドル車のようにちょっと無理目なドライビングポジションはないと思われる。ここだけは惜しいなぁと思う点。
2ドアのスポーティなクーペって、SUV全盛のいま、そんなに万人ウケする車型ではないかもしれない。でも、だまされたと思って乗ってごらん、と、私は世の自動車好きに言いたい。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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