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実はかなり進んでいたフォードの電動化戦略

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実はかなり進んでいたフォードの電動化戦略

 世界の自動車メーカーの電動化への動きが加速している。ボルボは2030年までに完全な電気自動車メーカーになると宣言。ゼネラル・モーターズ(GM)は2035年までに「すべての乗用車をEV化」し、「SUVやピックアップトラックはEVか燃料電池車(FCEV)にすることを努力目標」として掲げた。フォードは「2030年までに欧州で発売する乗用車のすべてを電動化、商用車の3分の2をEVかPHEVにする」と発表している。

 フォードはもともとアメリカのメーカーの中では電動化に積極的で、2018年の時点で「今後アメリカ国内で発売する乗用車は、人気の2車種を除いてすべて電動化する」という方針を打ち出していた。
 しかし今回の欧州マーケットにおける電動化は「商用車のうち、少なくとも3分の2は電動化する」という一歩踏み込んだ内容だ。

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 このためフォードは欧州工場への投資を増やし、全世界で脱炭素化に向けて220億ドルという巨額の投資を行う計画も明らかにしている。

 フォードは今年に入りマスタング・マッハEというEVモデルの発売を始めたが、この売れ行きが好調だ。オートモーティブ・ニュース社によると、今年2月のアメリカのEV販売は前年同月比で40%アップ、という数字を示した。乗用車全体の売れ行きは前年比で9.3%ダウンであるため、EVのシェアが広がっている。

 マッハEの販売がスタートした今年2月の販売実績は3739台。毎月この数字が続けば、年間の売り上げは5万台が視野に入る好調ぶりだ。マッハE発売の影響か、テスラのシェアは昨年の8割強から6割強に減少した。テスラの売り上げそのものが落ちている、というよりはEV購入の全体数が増える中で、新たに生まれた需要がマッハEに流れた、という傾向が見られる。

 なぜマッハEがこれほど人気なのか、といえば、やはりマスタングというブランド、そしてベース価格4万2000ドル、という価格設定だろう。アメリカ政府が行っているEV購入のインセンティブを含めるとマッハEの価格は3万5000ドル程度になる。これはライバルとなるテスラのモデルXと比べると2万ドル近く「お買い得」な数字となる。

 さらにアメリカのEVのほとんどがカリフォルニア州内で販売されているが、州が独自に行っているEVインセンティブでもフォードは有利だ。というのも州のインセンティブは最初の20万台に限られており、テスラはすでにこの枠を使い切っている。後発のフォードはまだまだこのインセンティブ枠が残っており、ユーザーにとってはさらに安く手に入れるチャンスなのだ。

 では、電動化に伴う問題点はあるのか、ないのか。現時点では、航続距離とバッテリーチャージが課題として浮かび上がってくる。最新のEVの多数は、航続距離が 200マイル(320km)以上になっており、日常での利用にはそれほど不便はない。またカリフォルニア州ではチャージステーションが約6800カ所、チャージアウトレットの数は2万8000以上となっている。州政府は新規に建設される集合住宅、商業施設、オフィスビルなどの駐車場にEVチャージステーションを設置することを義務付けており、少なくとも都市部ではチャージステーションを見つけるのに苦労する心配はない。

 ほとんどのホテル、大学、ショッピングモールなどでEVにチャージできる。料金は時間帯や電力価格と連動するため幅があるものの、1回のチャージで20ドル前後だ。チャージステーションに隣接する形でカフェなどを設置しているところも多く、利用者はそれほどストレスなくチャージが行えている。

 EVが増えれば電力消費が多くなり、石炭や火力発電が多い地域ではEVはエコではない、という意見もある。だが、カリフォルニア州の場合は2019年の時点でソーラーや風力による再生可能エネルギー発電が36%を占め、これに水力発電などを加えると全体の6割強がゼロCO2発電となっている。またカリフォルニア州は石炭発電を事実上禁止しており、残りはLPGガスによる発電がほとんどである。電力ポートフォリオとしてCO2発生量はアメリカの他の地域と比べると少ない。

 ただしアメリカ全体で考えると、アメリカで年間に販売されるクルマのうち乗用車は半分以下だ。現在、人気があるのはピックアップトラックやSUV、小型バンなどのライトトラック系。これをいかに電動化していくかには課題も多い。

 GM、フォード双方にとって、ピックアップトラックはドル箱ともいえる商品だ。両社ともにピックアップのEVバージョン発売を予定しているが、それが競争力を持てるかどうかが焦点となる。とくに今年後半にはテスラのサイバートラックの販売が予定されており、予約数は60万台を超えている。リビアンのように主力商品をピックアップとSUVに絞った新興メーカーもあり、今後の電動化の中でこの分野でシェアを勝ち取ることがメーカーにとっては重要だ。

 脱炭素、ゼロエミッションに向けて今後巨大メーカーと新興メーカーがそれぞれの生き残りをかけてさまざまな商品を開発し、戦略を展開していくことになる。これまでEVでは一強状態だったテスラも徐々に追い上げられている。
 フォードが欧州向けの乗用車をすべてEVにする計画を発表した戦略の影響は大きく、今後のアメリカ国内での販売方針にも反映されるだろう。

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みんなのコメント

2件
  • フォードの工場は東部、中部にありカリフォルニア州にはありません。その地域の電力は今のところ化石燃料が7割を超えています。しかも、フォードは欧州向け乗用車を100%EVにすると発表しています。
    なぜ米国の自動車業界は日本の自工会のように国に対してクレームをつけないのですか?何が違うのですか? 
    フォードは工場のRE100化を自らの投資で始めています。日本のメーカーとの違いを書くならそうゆうことを記載するべきではないですか。
    この記事はまるでフォードが環境対応済みの州政府と一体になってEV化を加速しているかのような論調ですが事実は全く異なります。
    結局、車系メディアって車の駆動性能以外は素人って事ですね。それか日本メーカーに忖度ですか?
    それでもメディアですか?
    ちなみにカリフォルニア州に自動車工場を置いているのはテスラだけです。
  • ライバルは、テスラModel Y、価格差はさほどない。
    州のインセティブだけでなく、連邦税最大$7500付くので、テスラより$10000安く買えるのが、テスラより有利。
    しっかり調べろ。

    Model Yの方が、性能面では上だけね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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