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「iX」は走りも上質 プレミアムSUVと呼ぶにふさわしい出来映え [BMW iX試乗記]

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「iX」は走りも上質 プレミアムSUVと呼ぶにふさわしい出来映え [BMW iX試乗記]

CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)を組み込んだ軽量構造ボディや4輪アダプティブエアサスペンションを標準装着する「iX」の走りをチェック。プレミアムSUVとしての実力は?

軽量化と低重心が生み出す極上の走り

100%電気自動車「iX」がBMWの未来を切り拓く [BMW iX試乗記]

BMWが新しい「テクノロジー・フラッグシップ」と謳うiXには、最新のテクノロジーが惜しみなく投入されている。たとえば、高張力鋼板とアルミニウム、CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)を組み合わせた軽量構造ボディもそのひとつで、軽量化と高いボディ剛性を両立しているという。とはいえ、111.5kWhの大容量バッテリーを搭載するiX xDrive50の車両重量は2,560kgに及び、BMW自慢の“駆けぬける歓び”とはほど遠い走りを予想していたのだが……。

実際にクルマを走らせてみると、iXは動き出しが軽く、重量級であることをすぐに意識しなくなった。しかも、コーナーでは低重心のデザインと4輪アダプティブエアサスペンションにより、SUVに付きもののロールやピッチングはきっちりと抑え込まれ、安定しきった姿勢のまま、思いどおりに向きを変えるスポーティさはまさに駆けぬける歓びである。

一方、乗り心地はプレミアムSUVにふさわしい快適なもの。高速走行時により引き締まった乗り心地を望むならスポーティな設定を選ぶこともできるが、それでも乗り心地が損なわれることはなく、しなやかにボディの動きをコントロールする巧みさには感心するばかりだ。

テクノロジー・フラッグシップのiXだけに、運転支援システムの充実もうれしいところ。高速道路の渋滞時、速度が60km/hを下回ったところで、ステアリングホイールから手が放せる「ハンズオフ・アシスト」は完成度も高く、渋滞のストレスが格段に低減。利用できる速度の上限がさらに上がると文句なしである。

車両本体価格1,398万円は高くない!?

このクラスのEVに乗る人にとって、電費はあまり気にならないかもしれないが、念のため今回の試乗中にチェックした数字を報告しておこう。iXのカタログを見ると、WLTCモードで190Wh/km、郊外モードで181Wh/km、高速道路モードで195Wh/kmとある。これを1kWhあたりの距離で表すと、それぞれ5.2km/kWh、5.5km/kWh、5.2km/kWhということになる。

これに対して、実際の走行データは、比較的空いた郊外の一般道では6.1km/kWhをマーク。一方、ACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)を用いて高速道路を100km/hで巡航したときには5.7km/kWhとカタログ値を上回っている。iX xDrive50の高性能ぶりを考えれば、なかなか優秀といえるだろう。もちろん、調子に乗ってその加速を楽しめば、電費はみるみる低下するのはいうまでもない。

試乗中には何度か急速充電を行う機会もあった。試しに新東名高速道路の駿河湾沼津サービスエリアにある150kW器を使ってみたが、充電開始時のバッテリー残量が1回目が16%、2回目が26%と低めだったにもかかわらず、充電出力は最大77kWと80kWに留まった。夏場の気温の高さが原因かもしれないので、少し気温が低くなったら、再度チャレンジしたいと思う。

ということで、充電についてはその能力を引き出すことができなかったが、デザイン、加減速、走行性能などあらゆる点でプレミアムSUVにふさわしい性能を誇るiX。1,398万円という価格は高いどころか、試乗を終えるころにはリーズナブルに思えてくるほど、納得の仕上がりである。

BMW iX xDrive50

全長:4,955mm 全幅:1,965mm 全高:1,695mm ホイールベース:3,000mm 車両重量:2,560kg 前後重量配分:前1,230g、後1,330kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:190Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:650km システム最高出力:385kW(523ps) システム最大トルク:765Nm(78.0kgm) フロントモーター最高出力:190kW(258ps)/8,000rpm フロントモーター最大トルク:365Nm(37.2kgm)/0-5,000rpm リアモーター最高出力:230kW(313ps)/8,000rpm リアモーター最大トルク:400Nm(40.8kgm)/0-5,000rpm バッテリー総電力量:111.5kWh モーター数:前1基 後1基 トランスミッション:1速固定 駆動方式:4WD フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン式 リアサスペンション:マルチリンク式 フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:255/50R21 最小回転半径:6.0m 荷室容量:500L 車体本体価格:13,980,000円

文:THE EV TIMES 生方 聡

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