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ダッシュボードはラジカセ風! モビライズ・デュオへ試乗 航続160km クラス最有力の選択肢に?

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ダッシュボードはラジカセ風! モビライズ・デュオへ試乗 航続160km クラス最有力の選択肢に?

ルノー・トゥイージのコンセプトを継承

今回試乗した電動マイクロカー、モビライズ・デュオをご紹介する前に、ルノー・トゥイージーを振り返っておこう。サイドガラスやヒーターを省き、シートが縦に並んだ、2人乗りの小さなバッテリーEVだった。

【画像】クラス最有力の選択肢? モビライズ・デュオ 競合の電動マイクロ ルノー・トゥイージーも 全113枚

2012年に発売され、航続距離は80kmほど。価格は、最小クラスのハッチバックよりお手頃だった。ニューモビリティ・コンセプトという名の日産版が存在したことを、ご記憶の読者もいらっしゃるはず。ただし、多くの支持は集めなかった。

デュオのコンセプトは、そのトゥイージーの特長を継承しつつ、現代へ合致する水準へ引き上げるというもの。装備は見直され、航続距離は2倍に伸延。雨天でも困らない、開閉式のサイドウインドウも獲得している。

欧州では、同クラスの電動マイクロカーとして、シトロエン・アミやマイクロ・マイクロリノなどが売られている。この市場は急成長する可能性があると、モビライズは捉えているそうだ。

英国価格は、約9500ポンド(約185万円)の予定。駆動用バッテリーには、8年間か8万kmの保証が付帯する。果たして、その実力はいかに。

航続距離は160km シザードアの個性的な容姿

電動パワートレインは、欧州の小型四輪車規格へ合致するよう、2種類が設定される。デュオ 80エボはL6e仕様で、最高出力8ps、最高速度45km/h。今回試乗したのは、ひとつ上のL7eに適合するデュオ 80プロで、21psあり、80km/hまで出せる。

駆動用バッテリーは、10.3kWh。1度の充電で160km走れると主張される。ただし、真冬の環境では100km程度へ短くなるようだ。急速充電には対応せず、残量20%から80%への回復に、最短で3時間半ほどかかる。

見た目は、電動マイクロカーで共通することだが、個性的。サイドドアは上方へ跳ね上がるシザー・スタイル。ヘッドライトは四角く、細いホイールがボディの四隅で踏ん張る。市街地で目立つことは間違いなく、トゥイージーへ通じる雰囲気も香る。

全長は2430mm、全幅が1300mm、全高は1460mm。一般的な駐車場の枠に、縦に3台停められる。

2024年らしく、ボディやシャシーは持続可能性へ配慮されている。前後のバンパーは、ワンピースの樹脂製で同じ形。ウインカーも前後左右で同一だから、製造時の環境負荷を減らせる。車重で換算すると、40%が再生素材とのこと。

また、95%の部品はリサイクル可能。生産から利用、廃棄までのライフサイクルで考えると、CO2の排出量は、小型ハッチバックの3割程度に抑えられるという。

安全性もおろそかではない。メインフレームはスチール製で、クラッシャブルゾーンも確保。ブレーキは前後ともディスクで、3点式シートベルトとエアバッグも備わり、このクラスでは最も安全だとか。

ダッシュボードはポップなデザイン 装備は充実

インテリアは、馴染みやすさや使い勝手を考え、あえてシンプル&ベーシックにデザインされた。ダッシュボード上のボタンは、8つだけ。グループ分けされ、覚えやすい。ステアリングホイールやレバーなどはルノー製で、見慣れた印象がある。

正面にはメーター用の小さなモニターがあり、スピードやバッテリー残量などを確認できる。その隣には、スマートフォンのフォルダー。ナビや音楽プレイヤーとしての利用が、想定されている。

ダッシュボードは、1980年代のラジカセから着想を得たという、ポップなデザイン。着座位置は高めで、視界は良好。フロントピラーが太く、意外と死角は大きいが。シートは座り心地が良いものの、横方向のサポート性は低い。

後席側は、大人では足の置き場に困る広さ。高さ方向には、充分な余地はある。荷室容量は300L。運転席の両脇にも、カバンを置くのに充分な空間がある。ピザの配達など荷物の運搬を想定し、後席を649Lのコンテナへ置換することも可能だ。

内装にはプラスティックが溢れ、上質感はない。だが水洗いでき、フロア部分に排水ドレインがある。サイドウインドウは開くものの、全開にはならない。オプションのエアコンは、前向きに検討したい。

それ以外の装備は悪くない。キーレスエントリーに、ブルートゥース対応スピーカー、シートヒーター、USB-Cポートなどが標準。ステアリングホイールにも、熱線が入る。

フルアクセルで流れに乗れる 重めのステアリング

市街地へ飛び込んでみる。0-48km/h加速に10.0秒近く必要だが、急ぐドライバーが多いロンドンでも、フルアクセルで流れに乗れる。小さなボディはプラスティック製パネルだから、スピード感は実際以上。30km/hでも60km/h位に感じる。

登り坂では少し息苦しそうだが、ほぼ実用に不満なし。加速は滑らかで、最高速度付近ではリアに載る駆動用モーターからノイズが響くものの、我慢するほどではない。ロードノイズや風切り音は大きめで、疲れを誘うかも。

発進時の加速は鋭い。徐々に勢いは落ちるが、一度速度が乗れば電気の消費は抑えられるから、バッテリーを効率的に利用できる。

ブレーキペダルの感触は、踏み初めで薄い。だが力を込めていくと、重さと制動力が一致していく。

短いサスペンション・スプリングで、姿勢制御は比較的タイト。積極的に交差点を曲がると、グリップ力は限界を迎え、アンダーステアに転じる。とはいえ、日常的な速度域ならしっかり路面を掴む。

ステアリングは重め。もう少し漸進的で、直感的でもいい。反応は機敏ながら、深く切り込んでいくと不自然に重さが増す。Uターン時は、ある程度の力がいる。最小回転直径は6.8mだ。

乗り心地は硬め。短いホイールベースもあって、石畳や舗装の継ぎ目を越えると、鋭い揺れが伝わってくる。シャシーが、ブルブル震えることはないが。小柄なサイズとクイックに反応するステアリングを活かし、凹凸は簡単に避けられる。

クラス最有力な選択肢になる可能性

最小クラスのハッチバックに匹敵する装備を備え、電動マイクロカーとしては長い航続距離を備えたデュオ。充分キビキビ走り、市街地では扱いやすい。乗り心地は硬めで、ステアリングは重めだが、トゥイージーより遥かに完成度の高いモデルだと感じた。

英国価格にも訴求力がある。このクラスの、最有力な選択肢になる可能性は高い。

◯:市街地にぴったりな小ささ 競争力の高い装備と価格、航続距離
△:ステアリングが重い 走行時の洗練性は低め 登り坂で少し苦しそう

モビライズ・デュオ・リード(欧州仕様)のスペック

英国価格:約9500ポンド(約185万円/予想)
全長:2430mm
全幅:1300mm
全高:1460mm
最高速度:80km/h
0-100km/h加速:−秒
航続距離:160km
電費:15.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:508kg
パワートレイン:他励同期モーター
駆動用バッテリー:10.3kWh
急速充電能力:−kW
最高出力:21ps
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

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