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今後の電動モデルにも期待大 BMW iX 長期テスト(最終) レンジに並ぶ洗練性と快適性

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今後の電動モデルにも期待大 BMW iX 長期テスト(最終) レンジに並ぶ洗練性と快適性

積算1万6593km レンジローバーに匹敵する洗練性

これまで数か月に渡って長期テストしてきた、BMW iX。過去の記事を振り返ると、斬新なスタイリングへ当初は馴染めていなかったことを思い出した。約1万6000kmをともにしたことで、今はすっかり見慣れた存在になっている。

【画像】BMWの最新フラッグシップBEV SUV iX 小さなiX1とiX3 サルーンのi4とi7も 全141枚

BMWのフラッグシップ電動SUVとして、強い拒否反応を示すほどの見た目ではないと思う。同社のXMの方が、インパクトという点では遥かに強い。それでも一般的なユーザーにとって、iXの第一印象は必ずしもポジティブなものだけとは限らないようだ。

とはいえ、非常に魅力的な電動SUVだといえる。心に刻まれるような体験を、沢山与えてくれた。

このiXは、i3に続く、BMWにとって10年ぶりとなる量産のバッテリーEV(BEV)だ。都市部での移動を前提とした小型モデルではなく、大型SUVで、アウディQ8 eトロンやメルセデス・ベンツEQE SUVなど、各社からライバル・モデルも提供されている。

iXの特徴といえるのが、内燃エンジンを搭載した既存モデルをコンバージョンしたのではなく、BEVとしてゼロから設計されたこと。電動パワートレインを積むSUVが、どれほどラグジュアリーなものになるのか、実際に体現されている。

日常的な走りの洗練性や快適性では、最新のランドローバー・レンジローバーに匹敵する。乗り心地はしなやかで、運転しやすく、挙動は常に予想しやすい。長距離を疲れ知らずで移動でき、助手席や後部座席の乗員も、心地良い時間を過ごせる。

iXのスイートスポットといえるxドライブ50

現在、英国のiXで選択できる仕様には3種類がある。71kWhの駆動用バッテリーを搭載するxドライブ40と、105kWhへ増量されるxドライブ50、最もパワフルなトップグレード、M60という構成になっている。

この中間に当たるxドライブ50は、iXのスイートスポットだといっていい。容量の大きい駆動用バッテリーを積み航続距離は長く、ツインモーターで523psという不足ない最高出力を発揮する。更に上の、M60ほどのパワーは必要ないと考えさせる。

乗り心地もベスト。M60にはスポーティなサスペンションが組まれ、長所の1つが薄れているように思う。

ここ数年はCOVID-19の流行により、クルマへ乗る機会が少なくなっていた。それでも、走行距離が1万6000kmを超えたことが、秀でた快適性や洗練性を物語っている。欧州大陸へも2度、合計3600kmほど遠征した。

動的な能力も高く評価できる。BMWの新しいラインナップとして存在感を示すだけでなく、同クラスの競合モデルと比較しても、印象的なものだった。

BEVで話題の中心になるのは、航続距離かもしれない。iXは、気温が低くなければ一度の充電で560kmほど走行可能。高速道路の速度域で欧州大陸を横断しても、350km以下に落ち込むことはなかった。特別な旅行計画は、殆ど不要といえた。

筆者の場合は自宅に充電器があり、日常的なエネルギー補充は停めている間に終えられた。iXの急速充電能力は最大195kWもあり、公共の充電器で必要以上に待たされる場面もなかった。

特別なクルマだと知覚させるインテリア

インテリア・デザインは、BMWにとって大きな変化といえるだろう。ダッシュボード上には大きなタッチモニターのパネルが鎮座するが、主要な車載機能には実際に押せるハードボタンが嬉しいことに残され、操作性は高い。

内装の素材や製造品質は、さすがプレミアムブランドと呼べるもの。シートの座り心地は優秀で、細部のこだわりにも抜かりなく、特別なクルマであることを知覚させてくれる。

同僚の一部には、加速時に車内へ響く、サウンドデザイナーのハンス・ジマー氏が手がけた人工音を好まないという人もいた。反面、筆者は新しい取り組みとして高く評価している。もし聞きたくなければ、オフにもできる。

長期テスト車のボディカラーは、筆者のお気に入りになった。ホワイトやシルバーではなく、落ち着いたワインレッドで、ブロンズのボディトリムとの相性もバッチリ。他とは違うコーディネートを提供する、姿勢自体も評価したい。

長期テスト中、xドライブ50にはソフトウエアの不具合が生じ、短期間ながら代車としてM60をお借りした。こちらは緑がかったブルーに塗られ、更にiXの見た目を引き立てているように感じた。

ちなみに、ソフトウエアの不調はディーラーによって完治された様子。以降、再発していない。

BMWの今後の電動モデルにも期待を抱かせる

先日、大きなマイナーチェンジを受けたアウディQ8 eトロンへ試乗する機会があった。だが、洗練性や快適性、エネルギー効率だけでなく、特別感でも、同価格帯にあるiXの方が有利だと感じたことは否定できない。設計の素晴らしさを物語っている。

7シリーズのBEV版となる、新しいi7の仕上がりも素晴らしい。電動化へ推移する時代に、BMWは新たな方向性を見出したのかもしれない。iXは、これからの同社の電動モデルにも大きな期待を抱かせる、見事な仕上がりだったといえる。

セカンドオピニオン

BMW iXを、わたしはとても気に入っていた。威圧感を漂わせるような大きなSUVは、上級モデルでも評価が振るわない場合が多い。しかし極めて快適で、例外といえる印象を残してくれた。

走行時の静寂性、快適な乗り心地、パワートレインの応答性、インテリアの質感など、あらゆる面で優秀。BMW i4より一段上の仕上がりと表現してもいい。BMWが生んだレンジローバーと呼べる、傑作だと思う。  Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)

テストデータ

気に入っているトコロ

快適性と洗練性:iX以上に長距離移動に最適なBEVは、現在のところ見当たらない。1つの指標と呼ぶべき能力を備える。
BMWのアプリ:高機能なスマートフォン用アプリで、離れていてもiXの様子を映像も交えて確かめられる。
ワンペダルドライブ:回生ブレーキの制御が優秀。ブレーキペダルを使わずに、発進から停止までまかなえる。市街地でも運転しやすい。

気に入らないトコロ

ソフトウエアの問題:車載ソフトウェアに不具合があり、BMWのディーラーを何度か訪問することになった。最近のBEVでは、珍しくないことのようだが。
ワイドな全幅:狭い道や駐車場では、センサーやカメラに大活躍してもらった。

走行距離

テスト開始時積算距離:1948km
テスト終了時積算距離:1万6593km

価格

モデル名:BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)
開始時の価格:3万2995ポンド(約1659万円)
現行の価格:10万2755ポンド(約1798万円)
テスト車の価格:11万6965ポンド(約2047万円)

オプション装備

テクノロジープラス・パッケージ:5000ポンド(約87万5000円)
コンフォートプラス・パッケージ:3900ポンド(約68万2000円)
スカイラウンジ・パッケージ:3500ポンド(約61万2000円)
インテリアデザイン・スイート I アミド:3250ポンド(約56万9000円)
ビジビリティ・パッケージ:2000ポンド(約35万円)
アベンチュリン・レッドIII メタリック塗装:1890ポンド(約33万円)
クリア&ボールド・インテリア・アプリケーション:1050ポンド(約18万4000円)
バイカラー・エアロ ・アルミホイール:1000ポンド(約17万5000円)
チタンブロンズ・エクステリアトリム:550ポンド(約9万6000円)

燃費&航続距離

カタログ航続距離:515km
駆動用バッテリー容量:105.2kWh(実容量)
平均航続距離:490km(4.6km/kWh)
最高電費:6.2km/kWh
最低電費:3.8km/kWh

主要諸元

0-100km/h加速:4.6秒
最高速度:199km/h
パワートレイン:ツイン同期モーター
最高出力:523ps
最大トルク:77.8kg-m
トランスミッション:シングルスピード・オートマティック
急速充電能力:195kW
トランク容量:500L
ホイールサイズ:22インチ
タイヤ:275/40 R22 ブリヂストン・アレンザ
車両重量:2585kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:1193ポンド(20万9000円/1か月)
CO2 排出量:0g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
充電コスト:1096.5ポンド(19万1000円/電気)
充電含めたランニングコスト:1096.5ポンド(19万1000円/電気)
1マイル当りコスト:0.12ポンド(21円)
不具合:ソフトウエアのエラー

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