2024年1月5日から19日にかけて、中東のサウジアラビアで開催される第46回ダカールラリーに向け、プロドライブ製のオフロード・プロトタイプ『ハンター』7台がヨーロッパを出発した。このうちの2台は、2023年に大会2連覇を達成した元トヨタのナッサー・アル-アティヤと、2年連続総合2位となった元WRC世界ラリー選手権9連覇王者セバスチャン・ローブがドライブすることになっている。
W2RC世界ラリーレイド選手権のシーズン・オープニングイベントでもあるダカールラリーの2024年大会は、1月5日(金)から丸2週間の日程での開催される。ステージは全部で12本、距離にして4727kmとなりロードセクションを含めた総走行距離は7891kmに上る。これはニューヨークからラスベガスまでの往復距離に匹敵する数字だ。
トヨタGRが史上最多“5台体制”でダカールラリーへ。W2RC連覇を目指す2024年の参戦体制を発表
そんな今大会では既報のとおり、TOYOTA GAZOO Racingから離脱したアル-アティヤが、自チームのナッサー・レーシングを率いて3連覇と自身6度目のダカールラリー制覇に挑戦する。そのためのウエポンに選ばれたのがプロドライブのマシンだった。
ハンターT1+は、従来のT1+からT1アルティメット(T1U)と名称が変更されるトップカテゴリーに投入され、過去2大会でローブによってそのスピードが証明されている。とくに2023年大会での7つのステージウインは象徴的なものであり、この内の6勝は連続ステージ優勝記録を更新するものとなった。また、この年はゲラン・シシェリによってドライブされた赤錆色のハンターがさらにふたつの最速タイムを記録。プロドライブのクルマは全14ステージ中9つのステージで優勝する速さを見せた。
そのハンターが、2024年は勢力を広げてダカールラリーに復帰する。ローブ、アル-アティヤに加え、中国のユンシャン・チャイナ・T1+チームから3台、ブラジルのXラリーから2台、合わせて7台のマシンが世界一過酷なレースに出場し、トヨタ、アウディ、フォード、ミニなどを相手に戦いを繰り広げることになるのだ。
これらのチームをサポートするために編成されたチームは、プロドライブ史上最大規模となった。ナッサー・レーシングと、ローブを擁するバーレーン・レイド・エクストリーム(BRX)の担当者が44名、Xラリーとユンシャンのハンター担当は14名となっている。なお、これにはステージ途中でスペアが必要になった場合に備えてラリーに投入される2台のT5レーストラックも含まれ、このクルーがラリーに参戦する選手のみがマシンの整備を行える新ステージ“48時間クロノ”でドライバーたちと協力してハンターを整備することになる。
■通算5勝を誇るアル-アティヤの次なるターゲット
「プロドライブとともに良い結果を残してきたが、僕にとってはダカール(での優勝)が目標だ」と語るのは、過去3度にわたり総合2位となったローブ。
「大きなステージで最善を尽くすために、僕とファビアン(・ルルキン/コドライバー)と手を取り合って、スピードと正しいナビゲーション、そしてメカニカルな問題を回避する」
「しかし、ダカールにはいつでも複数の“隠されたもの”があるんだ。僕たちはこのラリーがいつもそうであるように壮大な冒険をともにする。楽しみだよ」
アル-アティヤはダカールラリーの偉大な先輩を目標に掲げ3連覇への野望を語った。
「プロドライブ・ハンターを初めて運転したとき、高速でも低速でもクルマがとてもよく動くことに非常に満足した。すぐにこのクルマと親しみを感じることができたんだ」
「もちろん、ダカールでは(2連覇を果たしたGRダカールハイラックスT1+と)違うクルマでふたたび優勝することが目標であり、ステファン・ペテランセルのダカール優勝記録(計14勝のうち四輪で8勝)に近づけることを願っている」
プロドライブのデビッド・リチャーズ会長は、「時計の針を戻してバーレーンとBRXチームとともにこのプログラムをスタートさせたときを思いかえし、マシンとすべてのイベントにどれだけの労力が費やされてきたかを思い起こすと、私たちが達成したこと、そして2024年のダカールラリーに7台のプロドライブ・ハンターがエントリーしたことを誇りに思う」と述べた。
「セブ(セバスチャン・ローブ)とナッサー(・アル-アティヤ)のコンビは、プロドライブにとって夢のようなチームだ。彼らは経験、スピード、コドライバー、そして最初のステージからプッシュできるマシンを持っている」とリチャーズは続けた。
「ダカールは信じられないほど過酷なステージを持つモータースポーツの世界最高峰だ。とくに今大会は“48時間クロノ”ステージが追加されたので、私たちはこの挑戦を非常に楽しみにしている」
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