2020年からSCBストックカー・ブラジルへトヨタ・カローラでの参戦をアナウンスしたTOYOTA GAZOO Racing Brazilは、2019年シリーズ第11戦ゴイアニアを前に2020年仕様プロトタイプマシンのティーザー映像を公開した。その第11戦ではガブリエル・カサグランデ(クラウン・レーシング)、フェリペ・フラーガ(シムド・レーシング)が勝利を挙げ、レース2ではネルソン・ピケJr.(フルタイム・スポーツ)も自己最上位タイとなる2位表彰台に上がっている。
11月中旬のアナウンスにより「世界中から大きな反響を得た」という、トヨタ主力車種のSCB参戦。量産モデルの新型カローラ自体も2019年初頭からブラジルでの自国生産が開始されており、ブラジル国内のファンからもひさびさにマニュファクチャラー同士の対決構図が復活するシボレーとのマッチアップに期待の声が高まっている。
2020年からストックカー・ブラジルにトヨタ・カローラが参戦。シボレーワンメイクから脱却
発表自体は隣国アルゼンチンで開催されたため、そのアナウンス後のイベントとなったSCB第11戦ゴイアニアのレースウイークには、あらためてトラック上でのラウンチも催され、2020年に向けた追加情報とプロトタイプモデルの走行風景を収めた映像が公開された。
現時点でこのカローラを導入することが決まっているのは4チームとなり、そのチーム名は2019年最終戦インテルラゴスのレース後に発表されるという。さらに、2021年にはトヨタに続く“3番目のマニュファクチャラー”が続く可能性にも言及され、その実現に向け目下、交渉が進められていることも明かされた。
搭載するV8自然吸気ユニットは北米のTRD USAで開発され、シリーズ運営母体であるVicarの指定するブラジルのチューナーにより供給され、メンテナンスと管理が行われる。もちろん、SCBの規定により鋼管パイプフレームのシャシーにシザーウイングドアの車体デザインや、サスペンション、ブレーキ、シフトなどはシボレーとの共通部品が採用されている。
また2020年シーズンに向けては、SNSのファン投票により一定回数のオーバーテイクボタン使用が許される“FUN PUSH(ファンプッシュ)”システムの採用継続や、より耐久性を高めてコスト改善に取り組んだハードコンパウンドのワンメイクタイヤ供給も確認された。
そんなシリーズにとって前向きなニュースの一方で、この週末は11月中旬に航空機事故で急逝した元SCBドライバーのトゥカ・ロチャを追悼するイベントとしても開催され、レース前には彼のヘルメットをドライバー全員で囲んでの黙祷も捧げられて、レースがスタートした。
土日ダブルラウンドとなった最初のヒートでは、ポールポジションから発進したカサグランデが優位性を保ちポール・トゥ・ウイン。フロントロウ2番手に並んだ“最速男”ことチアゴ・カミーロ(イピラガ・レーシング)は、ルーティンのピットストップ後に逆転を許し、セザール・ラモス(ブラウ・モータースポーツ)、ルーカス・フォレスティ(ボーゲル・モータースポーツ)、そして2連覇中の王者ダニエル・セラ(ユーロファーマRC)に先行され5位に終わっている。
続くレース2は、このヒート1のトップ10リバースが採用されたが、主役を演じたのはR1で24番手から16位に入り、フレッシュタイヤでの逆襲を狙っていたセラの僚友リカルド・マウリシオ(ユーロファーマRC)。
戦略を駆使して上位進出を果たしたマウリシオは、最終的にリバースポールのバルデノ・ブリトー(プラティ・ドナウージ・レーシング)をパスしてトップランを手にし、フィニッシュラインへ。後方ではフラーガ、ピケJr.らもペースの落ちたブリトーを仕留めて表彰台圏内へと上がってチェッカーを受けた。
するとレース後の車検では、数々のバトルを経た首位マウリシオのマシンはブレーキライトの破損が認められ、SCBの厳格な規則運用のもとで失格処分に。これで2016年王者フラーガが繰り上げで今季2勝目をマーク。ピケJr.がフル参戦初年度の2018年に続き自己最上位の2位、ブリトーがからくも3位表彰台を手にし、4位にルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ)が続くリザルトととなった。
これで選手権首位を行く335点のダニエル・セラを中心に、カミーロ(306点)、マウリシオ(292点)、バリチェロ(284点)、そして同ポイントに並ぶフリオ・カンポスとフラーガ(293点)の6名にタイトル獲得の可能性が残されたまま、シリーズはいよいよ最終戦へ。
12月14~15日開催のインテルラゴス戦“スーパーファイナル”では、通常の優勝30点に対して1発逆転の“ダブルポイント制”が導入され、ウイナーには一挙60点が与えられる。
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