初代から先代モデルまで一貫してプリウスはセンターメーターであったが、新型プリウスはフツーの位置に。初代モデルが発売された当時は新鮮味もあり、その後に登場した数多くの車種も採用していた。ところが、現行ラインアップを見てみるとソリオとタント程度と廃れつつあある。でもなんで新型プリウスはセンターメーターやめたの!?
文/小鮒康一、写真/TOYOTA、Tesla
センターメーターは時代遅れ!? 新型プリウスが採用を見送ったワケ
■合理化が最大の要因!? 70年前に採用例も
初代から先代の4代目(写真)まで、一貫してセンターメーターを採用し続けたトヨタ プリウス
先日5代目となる新型が発売となったプリウス。「ハイブリッド・リボーン」をキーワードに、新世代のハイブリッドカーとして生まれ変わるという決意を感じるモデルとなっている。
そんな新型プリウス、変化したところはさまざまあるが、インテリアに目を向けてみると初代から一貫して採用されてつづけてきた「センターメーター」が失われていることに気がつくだろう。
センターメーターとは、その名の通りインストルメントパネルの中央、つまりセンター部にメーター類を配置したレイアウトのことで、国産車としては90年代ごろから採用例が増えてきたものだ。
表向きの理由は「視線移動が少なくなるため、メーターを確認する際の安全性が高い」というものだった。
しかし、そもそもセンターメーターを先んじて採用していた1950年代にイギリスで生まれた初代ミニなどは、左ハンドル圏へ輸出する際もセンターメーターであればわざわざインストルメントパネルを作り替えなくてもいい、という合理化が大きな理由となっていた。
実際、初代ミニの初期のモデルではインストルメントパネルらしいものは備わっておらず、棚のような簡素な部分のセンターに丸いメーターが鎮座するという非常にシンプルな構成となっている。
さらにキーシリンダーまでもセンターにレイアウトすることで左ハンドル化をする際も最小限の移設で賄えるようになっていたのである。
もちろんセンターメーターを採用した日本車の中には軽自動車のように日本国内専売車で、左ハンドルを用意することを想定していない車種も存在していたが、いずれにしても左右対称のインストルメントパネルを用意することはコストダウンにつながることは間違いない事実だろう。
■廃れたのは巨大モニター出現が最大の要因
2022年11月に公開された新型トヨタ プリウスのインテリア。メーターはドライバー正面に移動し、ディスプレイモニターがセンター上部寄りへ
コストも抑えることができ、メーターを見るときの視線移動が少なくて済むというメリットだらけのセンターメーター。それなのに新型プリウスを筆頭に採用をやめる車種が増えてきた理由だが、それはメーターよりもドライバーが目線を送る頻度が高いものが存在するようになったからだろう。
その頻度が高くなったものとは、ディスプレイモニターである。ナビゲーションの機能はもちろんのこと、近年のクルマではエアコンなどの操作もこのディスプレイで行う車種が増えてきており、ドライバーはメーター以上に目線をそちらに移す頻度が増えている。
そうなるとセンターメーターを採用した車種ではどうしてもメーターの下にディスプレイモニターが位置するようになり、結局のところ目線が下に下がりがちになり、前方不注意になる率は上がってしまうことは明白だろう。
■視線はモニターに集中!? むしろそっちが安全か
テスラ モデルYのインテリア。ドライバーが読み取るべき情報はすべてセンターの大型ディスプレイに表示される
そういった理由もあり、近年のクルマではセンターメーターは採用せず、代わりにインストルメントパネル中央上部の一等地にはディスプレイモニターが陣取るようになったというワケなのだ。
実際、テスラの近年のモデルでは、すでにステアリングの前にメーター類は存在せず、すべての情報はセンターに備え付けられた大画面のディスプレイモニターに表示されるようになっており、情報は個別に表示するのではなく、一か所に表示することが最も視線移動が少なく安全であるという考えもある。
そのため、センターメーターが廃れ、センターディスプレイモニターが主流になるという未来もまた理にかなっていると言えるのかもしれないが、古い人間である筆者は“〇連メーター”のように目の前にズラリと並んだアナログな計器類にときめいてしまうわけで、なかなか複雑な気持ちであることもお伝えしておきたい。
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みんなのコメント
そもそもなんでセンターに持っていったのかわからん。
視線の移動距離を短くするみたいな理由だったっけ?
答えはただ単にセールスなんだよね。