TCRスペイン最終戦はゲストのミケル・アズコナが貫禄の3連勝。マイク・ハルダーが初代王者に

　2021年に創設初年度シーズンを迎えたTCRスペインの最終戦が、11月13～14日に同国を代表するF1トラックのカタロニア・サーキットで開催され、同地で2021年TCRヨーロッパ・シリーズ自身2度目のタイトル獲得を決めたばかりのゲスト参戦ドライバー、ミケル・アズコナ（クプラ・レオン・コンペティションTCR／ボルケーノ・モータースポーツ）が、週末3ヒート制覇の離れ業で“ハットトリック２を達成。一方シリーズ争いの行方は、今季から主戦場をスペインに移したハルダー兄妹の長男、マイク・ハルダー（FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR／ハルダー・モータースポーツ）が、土曜初戦の結果で初代チャンピオンに輝いた。

　TCRの世界最高峰、WTCR世界ツーリングカー・カップへのレギュラー参戦のかたわら、2021年は欧州のリージョン選手権であるTCRヨーロッパにもフル参戦したアズコナが、シリーズでともに戦ったボルケーノ・モータースポーツとともに、今季から始まった地元の国内シリーズ最終戦にワイルドカード参戦を果たした。

　その初日から世界戦レベルのドライビングを披露したアズコナは、土曜午後16時35分スタートのレース1に向け貫禄のポールポジションを獲得してみせる。最初の2ラップで選手権リーダーのマイク・ハルダーからアタックを受けるも、これを退け現役ヨーロッパ王者の貫禄をも漂わせる走りで12周のレースを制圧。兄のマイクに続き、5番グリッドから追い上げた妹のミシェル・ハルダー（FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR／ハルダー・モータースポーツ）を従え、幸先良くライト・トゥ・フラッグでの地元シリーズ初優勝を手にした。

　一方、このレースを前にランキング2位のアレハンドロ・カティリャス（プジョー308TCR／SMCモータースポーツ）に117点もの大量マージンを築いていたマイク・ハルダーは、この2位表彰台でカティリャスに対し週末最大獲得ポイントの125点圏外に届き、見事に初代シリーズチャンピオンの座を確定させた。

■欧州王者と新シリーズ王者が繰り広げた再三のバトルに地元ファンが湧く

「本当に最高の気分だ。地元ドイツのTCRシリーズから始まり、TCRヨーロッパを経て今季はここスペインに新天地を求めた。サーキットに詰めかけたファンが応援してくれているのも伝わってきたし、年間を通じて素晴らしいクルマを用意してくれたチームに感謝したい」と喜びを語ったマイク・ハルダー。

「そして、何よりも今日の主役は妹のミシェルだ。彼女は素晴らしいドライブで表彰台まで来てくれた。タイトル獲得の瞬間をともに祝うことができたし、最高の仕事だったと思うよ」

　明けた日曜午後12時30分スタートのレース2は、アズコナのロシア人チームメイトであるエフゲニー・レオノフ（クプラ・レオン・コンペティションTCR／ボルケーノ・モータースポーツ）がリバースポールから発進したものの、ターン1までにそれぞれ2番グリッド、5番グリッドにいたミシェルとマイクのハルダー兄妹が急襲。妹をパスした兄のマイクがリードを奪っていく。

　しかし直後に後続車両のコースオフでセーフティカーが導入されると、4周目のリスタートで4番手アズコナが始動。1周後にまずは3番手の僚友をかわすと、続くラップでミシェルを仕留め、新チャンピオンの背後に迫る。

　ジリジリと迫る欧州チャンピオンを抑えたかったマイクだが、9周目のターン1で敢えなく首位陥落。約1.7秒までマージンを築いたアズコナが連勝を飾り、2位の新王者に続き、ボルケーノのもう1台をドライブする新鋭イシドロ・カジェハス（クプラ・レオン・コンペティション）が続く表彰台となった。

　続いて16時30分からの週末最終ヒートをポールからスタートしたアズコナは、オープニングラップ全周でマイク・ハルダーとのサイド・バイ・サイドを演じて地元ファンを沸かせると、2周目にはリードを奪い、これを引き離すことに成功。こちらもゲスト参戦のグスタボ・モウラ（ヒュンダイ・エラントラN TCR／GC24モータースポーツ）とミシェル・ハルダーを従え、見事な3連勝“ハットトリック”を決めてみせた。

　なお、この日曜の結果でシリーズ併催戦としてタイトルが掛かっていたTCRイベリコ・シリーズでも、マイク・ハルダーが新チャンピオンの称号を手にしている。