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スズキが発売したスタイリッシュなクーペスタイルSUV「フロンクス」の正体

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スズキが発売したスタイリッシュなクーペスタイルSUV「フロンクス」の正体

スズキから、新型ダイナミッククーペスタイルのSUV、フロンクスが10月16日に発売された。フロンクスはインドで生産され、インド、中南米、中近東、アフリカなどで好評を得ている、すでにインド乗用車市場で累計販売台数10万台を達成したグローバルカーである。今回、日本に導入、逆輸入されたフロンクスは日本市場向けに特別に仕立てられた日本市場専用車でもある。

ナローな車幅と立体駐車場への入庫が可能な全高

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「スタイリングを第一に開発し、楽しい走りも重視した」というフロンクスはスタイリッシュなクーペスタイルを特徴とし、コンパクトなボディサイズは全長3995×全幅1765×全長1550mm。ホイールベース2520mm。つまり、このクラスとして比較的ナローな車幅と立体駐車場への入庫が可能な全高を持っている。

パワーユニットはK15C型直4 1・5Lエンジン101ps、13・8kg-m(2WD)にモーター3・1ps、6・1kg-mを加えたマイルドハイブリッドで、ミッションは6ATを採用する。扱いやすさに直結する最小回転半径はなんとスズキ・スイフトと同じ4・8mと小回り性抜群。最低地上高は余裕ある170mmとなる。

エクステリアデザイン、インテリアデザインの基本やパッケージは世界共通としながら、フロンクスを日本に導入するにあたり、日本仕様専用となった部分は少なくない。

まずはフルタイム4WDの独自設定だ。これは日本の雪国のユーザーに向けたものであり、例えばハスラーがスズキの雪国のユーザーの要望に応えて登場したと言われることからも、スズキらしい配慮と言える。実際、初期受注の約40%が4WD車だというから狙いは大当たりである。また、電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能を備え、4WDには専用モードとしてヒルディセントコントロール、グリップコントロール、スノーの3モードモードも加わるから本格だ。

また、シートヒーター、ドアミラーヒーターの装備、ラゲッジボードのアレンジ性から、メモリーナビの標準装備、ホイールのボルトを4穴から5穴としてホイールボルト部分の剛性を高めているのも、日本における使い勝手、日本の高速道路の車速域に対応したものだ(逆に、インドなどの仕様にある後席エアコン吹き出し口は省かれている)。

スズキの予防安全技術も最新のもので、全16種類を標準装備。ACC(アダプティブクルーズコントロール)はスペーシアから採用された、全車速追従機能・停止保持機能付きで、カーブ速度抑制機能、車線変更補助機能まで備わる高度な内容となっている。サポカーSワイドやペダル踏み間違い急発進抑制装置の認定車であることは、もちろんだ。

日本独自の遮音、防音への配慮も

そしてパドルシフトやスポーツモードを備えた走行性能についても、日本専用にアレンジされている。まずは乗り心地。SUVにもそうした部分の洗練度を求める日本のユーザーのために特に段差などからの突き上げを低減した足回りにチューニング。さらに車内の静粛性についても日本仕様独自の遮音、防音の配慮がなされているという。結果、前後席の会話明瞭度も向上。60km/h走行時の後席の静かさはクラストップレベルだと説明される。

具体的な走行性能については、195/60R16サイズのタイヤを日本専用品とし、コイルスプリング、ショックアブソーバー、EPS(電動パワーステアリング)なども独自にチューニング。カーブ、レーンチェンジでの車体のロール、段差を超えた時の突き上げ、ショックを抑えた、全高1550mmのメリットを生かした低重心な走行性能、快適な乗り心地を実現しているという。

インテリアはブラック×ボルドーの新鮮なインテリアカラーこそ世界共通ながら、日本仕様はシルバー×パールブラック×ボルドーのパールブラック部分を追加するとともに、例えばドア内張りのボルドーの面積を少なめにするなどの、細かい仕向け地別の仕様変更が行われているというのだから、徹底している。シートはブラック×ボルドーの合皮とファブリックの組み合わせで、インパネの力強い造形とともに、ラグジュアリーな雰囲気をも醸し出している。9インチのフルセグTV付きドラレコ連動のスマホ&スズキコネクト連携メモリーナビゲーションが標準装備されるのも嬉しいポイントだ。



コンパクトなボディサイズながら、後席の足元のゆとりもフロンクスの自慢だ。実際に身長172cmの筆者が、日本初導入のサポート性とかけ心地にこだわったというフロントシートでドライビングポジションを決め、その背後に座ってみたが、ロングドライブでも快適と思われるニースペースが確保されていた(ヘッドクリアランスはクーペスタイルのためそれほどではないが)。

ラゲッジルームの使い勝手もなかなかだ。開口高560mm、開口幅970mm、5名乗降時の奥行き650mm、幅1320mm、後席格納時の奥行き1380mmと十二分の容量だ。しかも、日本仕様は後席格納時のフロアがよりフラットになり、標準装備のラゲッジボードを外せば38Lのスーツケースを4個積載可能。ラゲッジボードを中段にセットし、後席を格納すれば、ゴルフバッグのような長尺物も無理なく積み込めるラゲッジルームとなっているから使いやすい。また、フロアボードのアレンジによりラゲッジボードの下を収納スペースとして活用することもできる便利さもあったりする!!

とにかく、シャープな3連LEDライトを配したダイナミックなフロントビュー、16インチアルミホイールが引き締める立体感あるサイドビュー、横一文字にデザインされたトレンドのリヤコンビランプ、バックドアが傾斜したクーペスタイルに相まって、正直、これはカッコいいぞ!!と思わせてくれたのも本当だ。



ところで、フロンクスの4枚のドアは、本格SUVに見られるフルドア=サイドシルをカバーするドアではない。フルドアのメリットは、雨の日や悪路を走った際、サイドシルが汚れにくく、乗降時にパンツやスカートなどのボトムを汚しにくくしてくれるところにある。が、あえてフルドア採用しなかったのには、スズキらしい理由があった。それが、スズキの軽自動車やコンパクトカーでも実現している、ライバルを圧倒する走りの軽快感や燃費にも貢献する「軽量化」である。フルドアを採用すると、4枚のドアの部分の重量がどうしてもかさんでしまうのだ。結果、フロンクスは2WDで1070kg、4WDで1130kgと、SUVでありながら極めて軽量に仕上がっている。

そんなスズキの最新技術、機能、装備を満載し、マイルドハイブリッドのパワーユニットを搭載する新型フロンクス、日本の道での日本専用チューニングによる走りにも大いに期待したいところで、@DIMEでは11月上旬にも公道試乗記をお届けしたいと思っている。

なお、価格は2WDが254万1000円。4WDが273万9000円となっている。

文/青山尚暉
写真/スズキ 青山尚暉 

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