優秀なクルマだが月日が経つにつれて気になる劣化
世界初の量産ハイブリッドスポーツカーとして2010年に誕生した、ホンダCR-Zが我が家にやってきてから、2020年5月でちょうど10年になりました。1.5リッター直4エンジン+モーターのハイブリッドで、最初はバッテリーがニッケル水素電池、途中のマイナーチェンジでリチウムイオン電池に変更。我が家はニッケル水素電池の初期モデルです。トランスミッションは6速MTとCVTが設定されていたうちのCVTとなっています。
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この10年で走った距離は、もうすぐ15万kmにのぼります。最初の5年ほどは年間2万kmペースで走行していましたが、その後は結婚・出産とともにミニバンを増車してそちらをメインに乗るようになったため、年間1万kmペースできています。この10年で大きな不具合や事故はなく、車検と定期点検、距離に応じたオイル交換をしてきたのみ。個人的にはかなり優秀なクルマだなと思っていますが、さすがにあちこちに10年という1時代を過ぎた変化が感じられるようになったので、それらを挙げてみたいと思います。
1つ目の変化は、まず見た目で塗装の艶が無くなったこと。ボディカラーはホライゾンターコイズパールというブルーで、2010年のオートカラーアウォード大賞も受賞した色。個人的にもこの色がとても気に入って購入したのですが、深いブルーだったはずが褪せてくすんだブルーになり、ツヤツヤとしていた表面はマットに近くなってきました。屋外駐車だったため、紫外線や雨風にさらされて10年が経過すると、こうなってしまうのですね。
幸い、雪は年に1~2回しか降らない都心部なので、リフトで上げてみると下まわりのダメージは少ないと思いますが、やはり新車当時に少々コストをかけてでもコーティングを施しておけば、もう少し艶が保てたのかもしれないと反省しています。ただ、ライトのレンズは今でもしっかりクリアなのはすごいと思います。
2つ目の変化は、使い勝手の面でリヤゲートのダンパーが抜けてしまったこと。これは8年目くらいで起こったことで、突如としてリヤゲートを開けるのがとても重くなり、一気にいちばん上まで開けられなくなってしまいました。8分目くらいで引っかかり、追加でエイヤと力を入れると、いっぱいまで開きます。ダンパー交換をすれば解決するようですが、とりあえず開かないわけではないのでそのままにしてしまっています。
3つ目の変化は、内装でフロントガラスの右側のピラー(柱)をカバーしているプラスチックが外れてブラブラするようになってしまいました。手でバコッと押せば元どおりにハマるのですが、またしばらくすると隙間があいてきて、ブラーンと外れてしまいます。これは5年目くらいに起こったことで、やはり「ま、いっか」と放置してしまっています。
4つ目の変化は、同じく内装で言うとシートクッションの弾力がなくなってきたこと。私自身の体重も10年前より3kgほど増加しているものの、それにしても座ったときに感じる弾力が弱く、路面のギャップを超えた時などの振動が以前よりダイレクトに伝わってくる気がして、ずっと座っていると腰が痛くなってしまいます。また、シルバーグレーのようなカラーのシートで、汚れが目立ちやすいので気をつけていたのですが、ファブリック表面にも10年でついたシミがちらほら。運転席は黒ずみも目立つので、シートがリフレッシュできたらいいなぁと思います。
5つ目の変化は、バッテリーの持ちが短くなってきたこと。当初はバッテリーが満タンの状態で、2分~3分程度の信号待ちは余裕でアイドリングストップが続いていましたが、現在は1分~2分の間でブオンとエンジンが再稼働するようになりました。モーターアシストが利いている感覚は変わらないのですが、バッテリーのメモリが減るのは早くなり、回生でのリカバリーが少し遅くなったように感じます。ただ、もともとCR-ZはEV走行モードがなく、エンジンがメインで走行しているので、今でもまったく不満がないのはありがたいところです。
バッテリーの劣化により燃費の悪化も!
6つ目の変化は、燃費が悪くなったこと。当初は、高速7割:一般道3割くらいで200kmほど走ると、22~23.0km/Lの実燃費が表示されていました。CR-ZのCVTモデルのJC08モード燃費が23.0km/Lだったことを考えると、大満足の燃費だったのですが、今ではそれが17~19.0km/Lまで落ち込み、市街地走行のみだと15.0km/Lほどにしかなりません。原因としては、バッテリーの劣化が大きいのかなと感じています。
7つ目の変化は、おそらく足まわりのダンパーがヘタってきており、乗り心地がとても悪くなってしまったこと。とくに高速道路を走っていると、継ぎ目などでドーンッと尻モチをついたように大きな衝撃がくることが多くなってしまいました。こうなったらもう、無限などで販売しているスポーツサスペンションなどに交換するのも一つの手だとは思うのですが、個人的にはノーマルの足まわりがとても気に入って購入したので、できれば純正のサスペンションを手に入れて交換したいと思っています。なかなか出物がないんですけどね。
8つ目の変化は、ライトが暗いと感じるようになったこと。上級グレードのαは、ヘッドライトにディスチャージ(HID)が標準装備となっていました。それが今では、前後ともにLEDライトを採用するクルマが増えてきたり、LEDの数も圧倒的に増えているので、夜間走行をしていると自分のクルマのライトが本当に点灯しているのか、たまに不安になるくらい暗く感じてしまうのです。ヘッドライトの電球は一度、切れてしまって交換しましたが、それでも最新のクルマの明るさには敵わないようですね。オートライトはありますが、今では軽自動車にも採用されているアダプティブ・ヘッドライトなどの機能もないし、ちょっと物足りなくなってきています。
9個目の変化は、やはりナビや通信などの時代遅れ感。インターナビの出始めの頃だったので、2年間の通信料が無料となり、地図のアップデートも1回か2回までは無料だった記憶があるのですが、それ以降は1回の地図更新で1万5000円もかかると知り、まったく更新していない状態です。この10年の間に新しく開通した道は当然ながら反映されていないので、ここ数年はもっぱらスマホのナビ頼り。純正のカーナビはラジオや音楽を聴く道具に成り下がってしまいました。声で電話をかけてくれる機能もあるにはあるのですが、私の滑舌が悪いのか? 一度も認識してもらったことがないので、ほとんど未使用。今は、「ハイ、メルセデス!」みたいなコネクテッド機能があるクルマに憧れています。
ラスト10個目は、安全装備や運転アシスト機能の古さを痛感すること。衝突回避ブレーキや踏み間違い防止機能はおろか、クルーズコントロールも追従機能ナシなので、最新のクルマに乗ったあとに自分のクルマに乗ると、余計に不安や不便さを感じるようになっています。ほんの5年くらい前までは、周囲の人たちも「自動ブレーキとか追従なんて無いほうが気楽だよ」なんて言っている人が多かったのですが、今では「あったほうが安心だよね」という風潮。やはり、悲惨な事故の報道で世論が動いたことなども影響しているのかなと思います。
というわけで、10年乗って感じた10の変化をご紹介してきました。ハイブリッドが珍しかった10年前とは違い、今では当たり前になってEVも増えてきているし、安全装備が軽自動車でも充実してきたりと、とくにこの10年は自動車技術の進化が劇的だったと思います。そして激動の時代はまだまだ続いているので、今からクルマを買うならば、そうした変化を見越して、なるべく長く満足して乗れるクルマを見極める目を持つようにしたいですね。ただ、私自身は今でも愛車が嫌いになったわけではないので、これからもできる限り大切にしていきたいと思います。
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おそらく車もよいオーナーに巡り合えて幸せでしょう