この記事をまとめると
■スーパーGTではもち込めるタイヤのセットが決まっている
たった1レースで1200本も用意! サスティナブルなタイヤも開発! スーパーフォーミュラにタイヤを供給するヨコハマの取り組みに圧倒された
■予選で使った2種類のタイヤのうち1種類をくじで決めて決勝で使用する
■タイヤの運用方法で大きく勝負が決まるのがスーパーGTの見どころだ
スーパーGTのタイヤ事情
スーパーGTの実質的な最終戦となる第5戦「SUZUKA GT 300KM RACE GRAND FINAL」が12月7~8日、鈴鹿サーキットで開催された。激戦の末、それぞれポール・トゥ・ウインで36号車「au TOM’S GR Supra」の坪井翔選手/山下健太選手がGT500クラス、88号車「VENTENY Lamborghini GT3」の小暮卓史選手/元嶋佑弥選手がGT300クラスのチャンピオンに輝いた。
12月の開催ということもあって、レースウィークは気温、路温ともに低く、好天に恵まれたとはいえ、コースサイドで見ていても、多くのマシンがタイヤのグリップ不足に苦戦している様子がうかがえた。
タイヤウォーマーの使用も禁止されてはいたが、チームにとって救いとなったのが、タイヤのもち込み本数が5セットになっていたこと。通常、300kmレースの場合、もち込みのタイヤ本数はドライで4セット(16本)となっているが、今大会は1セット分を追加した5セット(20本)で、これにより、レースウイークを通して各チームは戦略に合わせてタイヤの運用が行えていた。
ちなみにスーパーGTでは、各チームが使用するタイヤをレースウィークの金曜日に行われる車検時に確認しており、マーキング(今大会はSMSCマーク)をしながら本数がチェックされている。
チームやタイヤメーカーにもよるが、通常はソフト/ミディアム/ハードの3種類のコンパウンドから2種類をサーキットへもち込むことが多く、各チームは土曜日の午前中の公式練習でセッティングを合わせて使用タイヤを確認する。
このとき、1セットもしくは2セットの新品タイヤが使用され、土曜日の午後に行われる予選のQ1で1セット、Q2に進んだ場合は1セットが使用されるケースが多い。予選前に予選で使用されるタイヤのマーキング(AおよびB)が行われ、決勝のスタート時には、予選のQ1もしくはQ2で使用したタイヤが装着されるが、AもしくはBのどちらのタイヤを使用するかは、予選終了後の記者会見にて、ポールシッターによるくじ引きで決定する。通常はGT500クラスのポールシッターがくじを引くが、グランドファイナルの鈴鹿ではGT300クラスのポールシッターがくじを引いていた。
タイヤ戦略が勝負を左右する
決勝では、予選で使用したAもしくはBのタイヤをスタート時に装着することになるが、このタイヤのコンパウンドが各チームのレース中のピット戦略を左右する。
各チームはレース中にピットインを行い、このときに給油と合わせてタイヤ交換を行うが、新品タイヤを温存しているチームはレース中に1セットを投入可能で、逆にレース中の展開やスタート時に装着したタイヤの状態によっては“無交換”で走り切るチームもある。
ここまでは通常の300kmレース、もち込みタイヤ本数が4本の場合の一般的なタイヤ運用のスタイルだが、各チームで自由な運用が可能で、どこで新品タイヤを使用するかが大きなポイントとなる。
当然、5セットをもち込めた本大会は、コンパウンドの種類も含めてより柔軟なタイヤ運用が可能で、ポール・トゥ・ウインでGT500クラスのタイトルを獲得した36号車「au TOM’S GR Supra」、GT300クラスのチャンピオンに輝いた88号車「VENTENY Lamborghini GT3」もレースウィークを通して完璧なタイヤマネジメントを行っていたに違いない。
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