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新型ムーヴキャンバス徹底試乗!オラオラ顔とは正反対のゆるキャラだけど中身は予想に反して凄かった! 大ヒットの秘密を探る

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新型ムーヴキャンバス徹底試乗!オラオラ顔とは正反対のゆるキャラだけど中身は予想に反して凄かった! 大ヒットの秘密を探る

 2トーンカラーで若い女性に人気だったゆるキャラの女王、ムーヴキャンバスがフルモデルチェンジ、7月5日に発表、13日に発売した。

 発表から約1ヵ月の8月5日時点での累計受注台数が、月販目標台数6500台の4倍となる約2万6000台に達し、好調なスタートを切った。

新型ムーヴキャンバス徹底試乗!オラオラ顔とは正反対のゆるキャラだけど中身は予想に反して凄かった! 大ヒットの秘密を探る

 初代モデルの可愛らしさを継承しながら、すっきりと洗練させた「ストライプス」と、上質で落ち着いた大人向けの「セオリー」という異なる2つのラインナップとしている。

 さて、一見すると、先代モデルからどこがどう変わったのか見分けがつかないが、どう進化したのか? また、オラオラ顔のミニバン全盛時代において、なぜゆるキャラの軽自動車が人気なのか、徹底試乗!

文/柳川洋
写真/森山良雄

■ぱっと見は先代と変わらないが、6年分の進化がたっぷり盛り込まれている

2トーンカラーのムーヴキャンバス・ストライプスG。ボディカラーはレイクブルーメタリック/シャイニングホワイトパール

先代ムーヴキャンバスは可愛らしいデザイン性だけではなく、両側スライドドアや置きラクボックスなど使い勝手のよさで人気を博したが新型はどう進化したのだろうか?

ボディサイズは全長3395×全幅1475×全高1655mm。最小回転半径は4.4m

 デザインやPOPなカラーリングで大人気、軽自動車の「ゆるふわ癒し系」代表だったムーヴキャンバスが、7月13日にフルモデルチェンジ。受注も好調で発表1ヵ月で月販目標台数の約4倍となる約2万6000台を超え、幸先のよいスタートを切っています。なぜここまで人気なのか、試乗してその理由を探っていきたいと思います。

 先代は、VWタイプIIマイクロバスのようなどこか懐かしさを覚える2トーンカラーの可愛らしいデザインと、両面スライドドアが採用されるなどの使いやすさと便利さで大ヒット。

 合計でおよそ38万台、月平均で約5600台が売れました。発売開始から5年たった昨年でも、「次にどのクルマに買い替えたいですか」という調査の女性ランキングで上位入りを果たしています。

 今回新しくなったムーヴキャンバスは、先代の「母娘で共有することもできるかわいらしいクルマ」から「母と息子、父と娘など男女・年代関係なく幅広い層に支持されるクルマ」への進化を目指して開発され、2つのデザインとターボエンジンが採用されました。

 また先代のデビュー以来6年間に起こったクルマの技術の進化や、コロナやスマホ機能の進化などの我々の生活様式の変化がうまく取り込まれ、より意欲的なクルマに仕上げられています。

 ではその進化を細かく見ていきましょう。

■一番のウリだったデザインはキープコンセプトだがよりシンプルかつナチュラルに

今見ても新鮮でタイムレスなデザインで2016年9月にデビューした先代ムーヴキャンバス。日本カー・オブ・ザ・イヤー2016-2017 スモールモビリティ部門賞を受賞したのも納得

同じ角度から見た新型ムーヴキャンバス。先代からキープコンセプトだが、細かく見ていくとスマートで洗練されたシンプルなデザインに変わっていることがわかる

 2016年9月にデビューした先代は、VWタイプIIのようなどこか懐かしさを覚えるデザインと、ポップなツートーンカラーで、「このクルマがいい!」「このクルマじゃなきゃイヤだ!」というユーザーのハートをがっちりつかんで大ヒット。

 実用性ばかりを追い求めて、「どれを買っても一緒」となってしまう軽が当時多かったなかで、圧倒的な個性を発揮し、若い世代の女性を中心に多くの人から支持されました。

 新型の「ストライプス」ラインは、先代の「可愛らしさ」をキープしながらも、「シンプル」「ナチュラル」といった、すっきりと洗練された要素が強まっています。

 先代を並べてみても、ぱっと見は大きく変わりません。大きな変化はリアナンバープレートがリアハッチからバンパー部分に移設されたぐらい。先代のオーナーが同じ色の新型に乗り換えても、ご近所の方に気づいてもらえない可能性は相当高そうです。

 ですが、2トーンカラーのホワイトが、より透明感が高く光の反射が美しく映えるパールホワイトに変わり、ドア下部にボディ色とメッキを組み合わせたガーニッシュがあしらわれたことで高級感が増しました。

 フロントグリルまわりの白い面積がより低い位置まで伸び、スッキリした感じも出ています。またヘッドライト、フォグランプ、フロントエンブレムなどの「甘さ」成分が減り、大人が乗ってもかわいらしくなりすぎないデザインになっています。

ホワイトを基調とした明るいコクピット。安っぽい印象はなくいかにも若い女性に好まれそうなセンスを感じさせる

 インテリアはホワイトを基調とした色使いのインパネに、涼しげなグレーのような立体感のある織りのファブリックシート。先代同様パイピングが施されていて、側面はインディゴブルーの差し色が入ります。短めのスカートやショートパンツで座っても太ももの裏が蒸れたりすることはなさそうです。サポート性もあって座り心地もいいですね。

 ポップなボディカラーを室内まで取り込み、丸みが強かった先代と比べ、シンプルで角の取れた水平基調のデザインは、やはりここでも洗練されたシンプルさと控えめな高級感をこのクルマに与えています。

 当たり前ですが、車内から自分のクルマを眺めている時間の方が外から見ている時間よりも圧倒的に長いので、新型に乗り換えたオーナーは、より洗練感・高級感を感じるのではないかと思います。

■男性が乗っても照れを感じない「セオリー」ラインが新たに追加

若い女性向けのストライプスに対し、大人向けのシックなtheory(セオリー)

 今回の大きな変化としては、こだわりのある大人向けに落ち着いて上品な雰囲気の「セオリー」ラインが追加されたことです。「ストライプス」とは値段は変わりません。

 「セオリー」の外装色は単色のみで、濃紺やベージュメタリック、ブラックマイカメタリックなどシックな色が中心となっています。

 2トーンのみ、ポップな色合いが中心の8色から選ぶ「ストライプス」と比べると、圧倒的な大人っぽさ。ボディ側面やリアバンパーに光るメッキガーニッシュが、シックなボディカラーをより引き締めます。またヘッドライトのデザインも、「セオリー」だとより「目ぢから」の強さが強調される気がします。

新しくなったヘッドライトの形状は「セオリー」だとより強い「目ぢから」を感じさせる

ストライプスとは全く違う印象のセオリーのコクピット。深みのあるブラウンとブラックのインパネ回り、そしてネイビーのシート。コットンシャツにジーパンを履く、そんな普段使いのイメージ

 インテリアは、落ち着いたマルーンとブラックのコンビのインパネ・ドアパネルに、ベージュのパイピングがアクセントとなっているネイビーのシート。

 こちらも横には単色のインディゴブルーの差し色が入ります。写真で見ると、インパネのマルーンとシートのネイビーのコントラストがややきつめに見えますが、実際に屋外で見るとなかなかいいバランスです。なお、ステアリングとシフトレバーが本革巻なのは「セオリー」のみとなります。

 この「セオリー」ラインは、世代の幅広さに加え性別を問わず、父と娘・母と息子といったペアで共有しても違和感のないデザインと色使いとすることで、「ストライプス」では取り込めなかった顧客層を取り込もうという狙いがあります。

■室内空間の快適さ、使い勝手の良さは先代から引き継ぐ

先代から好評の置きラクボックス。後席シート下からスライドさせると出てくる。ここに買い物袋などを入れると固定できるので便利。高さのある荷物はついたてを上げると落ちない。シートや足元に置いて中身が出ちゃう、ということも防げるアイデア装備

 先代がセミハイトの軽として初めて両側スライドドアを採用したこともあり、「ムーヴキャンバスは使い勝手が良い」というイメージがありますが、今回もその印象は裏切られることはありません。

 スーパーの駐車場でクルマを降りるときに予約ボタンを押しておけば、買い物袋で両手がふさがっていてもキーに反応してパワースライドドアが自動で開く機能が追加されるなど、日細かい常使いのシーンでの便利さを追求しています。

 買い物袋を後部フロアに置くのは抵抗あるけど、シートに直接置くと帰宅途中に倒れてしまって玉ねぎや缶ビールがシート下に転がってしまう、なんていう「買い物あるある」のお悩みを解決してきた、先代から好評の「置きラクボックス」。今回さらに進化して、片手で荷物を支えるついたてを組み立てられるようになり、一度シートの上に荷物を置く手間が省けるようになりました。

保温機能のある「ホッとカップホルダー」

ワイヤレス機能Qiに対応したスマートフォンをインパネトレイに置くだけで充電できる

 また今回の新車開発期間が、コロナ感染拡大の時期と重なり、コロナ禍での新しい行動様式を反映したクルマの使い勝手も考えられています。

 食べ物をテイクアウトして一人の空間で食べる機会が増えたり、友人とお店で飲み物を飲みながらおしゃべりするのが難しくなったことを受けて、ダッシュボードにちょっとした食べ物が置けるスペースが作られたり、カップホルダーに保温機能も装備されて、一人、もしくは友達とクルマの中でくつろぎながら飲食できるよう考えられています。車内で女性が快適にくつろげるよう、運転席と助手席にシートヒーターも装備されました。

 さらに、カーナビでなくスマホの地図アプリを使うことが多い若い世代向けに、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応したディスプレイオーディオやワイヤレス充電機能も設定されています。

 細かい使い勝手を改善するため、コロナ禍でもオンラインのユーザーインタビューを行ったり、社内でムーヴキャンバスのオーナーを集めて直接声を聞いたり、スーパーなどで実際にクルマを使っているシーンを観察するなど、これまで以上にユーザーの聞き込み調査を行った結果が反映されているそうです。

 室内空間が十分広いことはいうまでもなく、試乗で大柄の男性3人が乗っても窮屈さをあまり感じなかったこと、スマートアシストをはじめとするイマドキの安全装備はひと通り装備・設定されていることも念のため付け加えておきます。

ソファーのようなフルファブリックシートの座り心地もいい

身長153cmのモデル女性が座ると頭上空間、膝前空間ともにかなり余裕のある室内空間

後席は240mmロングスライドするほかリクライニング機構も備わっている

■DNGAの採用で、クルマとしての基本性能は普通の軽自動車に期待するレベルを超える

見た目がゆるキャラだけに、走りは大したことないだろうという予想に反して、ボディがしっかりしていて乗り心地もいい。写真は52ps/6.1kgmを発生する658cc、直3NAエンジンを搭載するストライプスG

 新型ムーヴキャンバスのチーフエンジニアに「一番苦労した点は?」と質問したところ、「デザインです」との答えが返ってきました。

 「デザインは大きく変わっていないのに、なぜ?と思われる方がほとんどだと思います。その理由は、クルマの基本性能の良し悪しを大きく左右する基本骨格であるプラットフォームが、DNGAという新しいものに変わったからです。先代と新型で骨格が全く違うのに、似たようなクルマに見せる、というのは相当大変だった」とおっしゃっていました。

 確かによく見ると、フロントガラスの後方への傾きが今回大きくなったりしていますが、新形になってもどこからどう見てもムーヴキャンバスにしか見えません。

 DNGAの採用により、クルマの基本骨格が強くなったと同時に約50kg軽量化され、軽だからこそ必要な「走りの安心感」と「快適さ」につながるクルマとしての基本性能が向上し、燃費と乗り心地も向上していていました。

 実際に、下り坂のカーブにわざと高めのスピードで入っていき、あわててブレーキをかけながらハンドルを切り足す、という「下りの山道あるある」のシチュエーションを試してみましたが、やや背の高い軽自動車で感じがちな恐怖感は少なく、タイヤの感触がちゃんとハンドルに伝わり、クルマが地面をとらえ続ける感じがしっかりありました。

 また、アクセルの踏み込み度合いをエンジンに伝える電子制御を見直したり、男性と比べて一般的に腕の力が弱い女性のハンドル操作を助けるため、少しの力で大きくハンドルが切れるようになっていた部分を微調整したりして、車酔いを少なくしたり乗り心地を安定させるといったようなソフト面での努力もされています。

■山間部にお住まいの方や高速道路をよく使う方にはターボがおすすめ

セオリーGターボに試乗。658cc、直3インタークーラー付きターボエンジンは64ps/10.2kgmを発生。WLTC燃費はNAに比べ0.5km/L劣る22.4km/L

 ノンターボモデルを試乗したとき、交通量の少ない道で少しきつい登り坂に差し掛かると、速度を維持するためにアクセルを強めに踏み込む必要がありました。4000回転を超えたあたりからエンジン音がかなり気になります。

 今回新設定されたターボモデルだと、そこまでエンジンの回転数が上がらず、余裕を持って走れるうえ、室内へのエンジン音の侵入が少ないために快適なドライブが楽しめました。

 気になる燃費ですが、WLTCモードで、ノンターボの22.9km/Lに対し、ターボは22.4km/Lと、燃費の悪化もわずかです。

 価格はストライプス、セオリーともに同価格で、NAが149万6000~167万7200円、ターボが179万3000円(いずれの価格も2WD)。

 ノンターボのGとGターボとの価格差は12万1000円。GターボにはGについていない全車速追従機能付きクルーズコントロールやレーンキープコントロールなど、メーカーオプション4万4000円相当の安全機能が装備されているので、ターボの実質的な追加コストは7万7000円になります。

※5=自然吸気、※6=ターボチャージャー

 「近場でしか乗らないしそんなパワーなんていらないわ、安いほうがいいわよ」というご意見があるのは理解でき、実際にターボを選ぶ人は全体の2、3割だと言われますが、乗り出し価格だけではなく、快適性と下取りの有利さなどを考えてみてもいいかもしれません。

 最新の調査(「2021年度軽自動車の使用実態調査」日本自動車工業会)では、軽乗用車ユーザーが軽を購入するときに最も重視する点として挙げられたのが「スタイル・外観(61%)」です。ムーヴキャンバスは、そのユニークなスタイルと外観で、「このクルマがいい!」とひと目惚れしてしまうコアなファンを先代モデルからしっかりとつかんでいます。

 ユーザーインタビューでも、自分のクルマに家族の一員のように名前をつけている人が多くいたそうです。そのコアなファンにアピールする「ストライプス」だけでなく、ファンの年齢層をさらに広げ、男性客も取り込むためにターボも設定され、「セオリー」も新たに追加されました。

 2021年8月発売のワゴンRスマイルや2022年6月にマイナーチェンジしたアルトラパンなど、同様のコンセプトで競合するクルマも増えてくるなか、ムーヴキャンバスがその牙城を守れるのでしょうか?

 モデルチェンジ発表後1ヵ月時点ですでに約2万6000台、月間目標販売台数の4ヵ月分の受注が入ったと発表されています。どうやらその牙城は競合車に切り崩されるというよりも、むしろ広がっているのかもしれません。

 ムーヴキャンバスの人気の秘密は、見た目の可愛らしさだけでなく、クルマの基本性能が高く、しっかり作り込まれていること。そしてスマホネイティブ世代の若い女性の意見をよく聞き、使い勝手も工夫されていてクルマ作りが丁寧なこと。まさに「見た目だけじゃない、中身も凄いんです」、これが人気の秘密ではないだろうか。

■ムーヴキャンバス ストライプスG 主要諸元
全長×全幅×全高=3395×1475×1655mm
ホイールベース=2460mm
車両重量=880kg(900kg)
最小回転半径=4.4m
エンジン=658cc、直3(658cc、直3インタークーラー付きターボ)
最高出力=52ps/6900rpm(64ps/6400rpm)
最大トルク=6.1kgm/3600rpm(10.2kgm/3600rpm)
WLTCモード燃費=22.9km/L(22.4km/L)
※カッコ内はGターボ

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みんなのコメント

62件
  • 交差点の向かえにとまってたら
    なんか、力が抜けてほっこりしそう
    車社会にも、オラオラ系より、もっと癒やし系が多くなれば
    煽り運転も少なくなると思います( ꈍᴗꈍ)
  • 新型の方が目がパッチリしてよりいっそうファニー感は増したかな。

    旧型は顔が無機質で少し怖くも感じたからヘッドライトの黒目が大きくなったことにより表情が出てる。

    リアライトも一時期、国産車でも上級グレードを中心にクリアテールが流行っていたが、最近ではレッドを取り入れたコンビテールが増えてきていて新型はレッドになった。

    中身を見ると新型はターボモデルの追加とセンターメーターの廃止などがあるのでこだわりがある人にとってこれは大きい。

    基本はキープコンセプトなので好きな方を選べば良い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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