初採用のレース形式で事故発生
text:James Attwood(ジェームズ・アトウッド)
【画像】王者とエース【ルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンを写真で見る】 全45枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
金曜日から土曜日にかけて、イギリスGPの話題の中心となったのは、土曜日に開催される新たな予選レース(F1スプリント)をどのように呼ぶべきか、また、ポールポジションを獲得するのはこの日の勝者なのか、それとも金曜日の通常予選での勝者なのか、ということだった。
そしてもちろん、決勝レースの1周目にトップ争いをしていたマックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンが接触し、フェルスタッペンが恐ろしいほどの高速クラッシュを喫したことで、舌戦が急速に拡大していった。
ここでは、物議を醸したシルバーストン・サーキットでの出来事をご紹介する。
緊張感を高めた衝突事故
レッドブル・ホンダのフェルスタッペンと、メルセデスAMGのハミルトンは、シーズン中ずっとバトルを繰り広げてきた。お互いに妥協を許さないレーサーであることから、コース上での衝突につながる可能性は常に存在した。
予選レース(失礼、F1スプリント)で勝利したフェルスタッペンは、決勝レースをポールポジションからスタートしたが、ハミルトンがオープニングラップの前半でフェルスタッペンを激しくプッシュした。フェルスタッペンは何度かハミルトンの追撃をかわしたが、ハミルトンは超高速コーナーであるコプスでイン側のラインを取った。
その結果、フェルスタッペンのマシンは高速でコースを外れ、バリアに激突した。フェルスタッペンは病院に運ばれたが、幸いにも怪我はなかった。一方のハミルトンは、フェラーリのシャルル・ルクレールに遅れを取ったが、彼のマシンが受けたダメージは、赤旗中断中にチームが修復した。この衝突により、ハミルトンには10秒のタイムペナルティが科せられた。
イギリスGPで発生した今回のクラッシュについては、おそらく誰もが自身の見解を持っていると思うし、発生時の映像については、ザプルーダー・フィルムと同じくらい多くの分析がネット上に存在している。もちろん、議論を繰り広げるのは自由だ。
確かに、ハミルトンはオーバーテイクが極めて困難なコーナーで大胆な動きを試みた。しかし、あの特異なコーナーで起きたことについては、半周にわたってフェルスタッペンが積極的に防御したことから切り離すこともできない。
筆者の考えでは、これこそがレーシング・インシデント(アクシデント)の典型だと思う。2人のドライバーが、限界まで攻めながらも譲らない。残念ながら、片方のドライバーがその影響を受けてしまったが、フェルスタッペンが無事であったことが何よりのニュースだ。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーとチーフ・アドバイザーのヘルムート・マルコが、クラッシュ後に扇動的な言葉を発したことは、助けにはならなかった。
ドライバーが入院し、マシンが大破していることを考えると、彼らの怒りも理解できるが、ハミルトンはコプスでオーバーテイクを試すべきではなかったという指摘は、彼をレースから追放せよという声と同様に不条理だ。
両ドライバーの支持者によるソーシャルメディアでの過激な反応も気になるところだ。ネット上では、優勝を喜ぶハミルトンの振る舞いを疑問視する声も上がっている。関係者が少しでも温度を下げる努力をしてくれることを期待したい。
ハミルトンの反撃
レッドブルの怒りは、ハミルトンの反撃によって増幅されたようだ。序盤はルクレールを抜くことができず、10秒のペナルティを受けたことでピットストップ後にチームメイトのバルテリ・ボッタスやマクラーレンのランド・ノリスの後塵を拝していたため、優勝の可能性は低いと思われた。
しかしその後、猛烈な追い上げを見せ、ノリスとボッタスを抜き去った後、ルクレールに迫った。
その結果、コプスではハミルトンが再びイン側につくという皮肉な展開となった。ルクレールはハミルトンに少し余裕を持たせることを選択したが、アウトサイド・ラインでコーナーをキープできずにふらついてしまい、リードを失ってしまった。
表彰台に上がったのはハミルトン(優勝)、ルクレール(2位)、ボッタス(3位)だった。
新フォーマットの可能性
今年のイギリスGPでは、予選が金曜日の夜に変更され、土曜日の午後には短い予選レース(F1スプリント)が行われるという、新しいフォーマットが採用された。
パドックの一部からはこのスケジュールに不満の声が上がっていたが、金曜日の予選は、週末の始まりの楽しいテレビ番組となり、多くのモータースポーツファンに有意義な時間を提供し、総合的には好評だったと感じている。
土曜日の短いスプリント予選では、30分ほどの楽しい時間を過ごし、それなりのアクションもあった。しかし、上位3人に与えられるポイントが少ないため、ドライバーのモチベーションは低く、また、短いレースのためにタイヤ戦略もほとんど考慮されていなかった。しかし、レースが多く、練習が少なくて済むというのは、わたし達にとっては好都合だ。
唯一、退屈だったのは専門用語の問題だった。F1のボスは、メインのGPを「薄めたくない」という思いから、土曜日の予選レースをレースと呼ばず、「F1スプリント」と呼ぶことにしたのだ。また、優勝したフェルスタッペンは、予選で最速タイムを出していないにもかかわらず、ポールポジションを獲得したことになっている。
先鋭的で新しい試みをしながらも、伝統を重んじることでそれを崩しているような、少し中途半端な印象を受けた。
ファンの歓声を聞く
ハミルトンとフェルスタッペンのクラッシュと同様に、先週末のシルバーストン・サーキットが満員の観客を迎えることができたことの良し悪しについては、意見が大きく分かれるところだろう。
確かに、久しぶりにあれほど大勢の人が一箇所に集まっているのを見ると、不思議で不自然な感じがした。しかし、ファンが会場の雰囲気を大いに盛り上げてくれたことは間違いない。
ハミルトンが優勝したときの反応もすごかったが、おそらくこの週末で最も大きかった歓声は、金曜日の夜にウィリアムズのジョージ・ラッセルが予選を7位で通過したときのものだろう。素晴らしいラップに対する素晴らしい反応だった。
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