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3台のタイカンに乗る──EVポルシェ、どこが違う?

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3台のタイカンに乗る──EVポルシェ、どこが違う?

ポルシェ初のBEVとして2019年に日本にも登場した、スポーツサルーンのタイカン。EVでもポルシェらしい走りと一体感を備えている。今回はエントリー・モデルのシングルモーターの後輪駆動モデルを除く3種類の4WDモデルを乗り比べ、その違いや個性を考察する。

“ターボ”の名に恥じぬパフォーマンス

英国のクラシックカーでできる究極の“コト”とは?

ポルシェ初のBEV(バッテリーEV)、タイカン。当初は「ターボS」と「ターボ」の2つのグレードが用意されており、遅れて「4S」が追加された。そして、2021年1月には、ベース・モデルの「タイカン」が登場。こちらはシングルモーターの後輪駆動モデルとなる。そもそも4WDしかないタイカンにわざわざ「4S」という名前をつけたのはなぜかと思っていたけれど、これで合点がいった。

都内を中心に短い時間だったが、「ターボS」、「ターボ」、「4S」の3種類の4WDモデルを乗り比べする機会をこのほど得た。

まず最初に試乗したのが、バルカノグレーメタリックのボディカラーに、ゴールドのホイールの組みあわせがシブい「ターボ」だった。

バッテリー容量は93.4kWhで航続距離(WLTPモード)は450km。最高出力は625psではあるが、ローンチコントロールを使えば、オーバーブースト時に680psを発生し、最大トルクは850Nm、0-100km/h加速は3.2秒というモンスターマシンだけれど、もちろん都内では、それを試すことができる場所など存在しない。

タイヤ&ホイールはオプションの21インチサイズで、フロントは265/35、リアは305/30という極太サイズ。銘柄はグッドイヤーイーグルF1だった。さぞかし足は硬かろうと想像するが、拍子抜けするほど良好な乗り心地だった。他のポルシェモデルを含めても最良の部類に入るものだ。ボディ剛性の高さ、重心の低さ、そして標準のエアサスペンションがきいているようだ。街中を低速域で流していても、速度のコントロール性が高く一体感が得られる。ああ、ポルシェだな、と感じる瞬間だ。

約30km走行して電費は4.5km/kWh。カタログ値が約4.8km/kWhなので、まずまずといったところか。

街中でも上級モデルの方が速いことが分かる

次にタイカンのイメージカラーであるホワイトの「ターボS」に乗りかえた。バッテリー容量はターボと同じく93.4kWhで航続距離(WLTPモード)は出力を高めた分412kmと短くなる。通常時の最高出力625psはターボと同じだが、ローンチコントロールを使えば、オーバーブーストで761ps、最大トルクは1050Nmにまで到達。0-100km/h加速は2.8秒と3秒切りで、以前テストコースで試したことがあるが、血の気がひく。

すいた道でスポーツ+モードに入れて少し強めにアクセルペダルを踏み込むと、街中では違いがわからないのではと思っていたけれど、ちゃんとターボよりも速いことがわかる。ヒィ~ンという宇宙船のようなEスポーツサウンドがスピーカーから聞こえてきて、少し気持ちも高ぶってくる。この電子音は、ターボSにのみ標準で、ターボにはオプション(価格は約7万6000円)として装着されていた。

ちなみにタイヤサイズと銘柄はターボと同一、しかしブレーキはドリルドローターのカーボンセラミックブレーキを装着していた。実は車検証上はターボの車両重量が2340kgなのに対して、ターボSは2380kgと前後20kgづつ計40kgほど重くなっている。そのハンディをカバーしてあまりあるほどのストッピングパワーだった。

しかし、実は一番気に入ったのは、オプションのBrumester製の3Dサラウンドサウンド・システム。音がしない電気自動車のキャビンの本領発揮で、素晴らしい音を奏でていた円となかなかではあど。こちらは少しアクセルを踏みすぎたのか、約30km走行して電費は3.0km/kWhとのびなかった。電気自動車のキャビンの本領発揮で、素晴らしい音を奏でていた。オプション価格69万4545円となかなかではあるけれど。こちらは少しアクセルを踏みすぎたのか、約30km走行して電費は3.0km/kWhとのびなかった。

日常使いなら4Sがおすすめ

最後は、チェリーメタリックの「4S」だ。こちらは標準仕様のバッテリーは79.2kWhで、オプションでターボ系と同じ93.4kWhのパフォーマンスバッテリープラス(PBP)を選択することも可能。この試乗車には装着されていたが、オプション価格は98万7273円と、やはりまだバッテリーのコストは高いのだと思い知る。

最高出力は標準仕様が435psでローンチコントロール時には、530ps/640Nmなのに対して、PBP仕様は通常が490psで、571ps/650Nmへとアップする。4Sもフロントモーターや2速のトランスミッションは基本的にターボ系と同一だが、リアモーターは小型化されたものが搭載されている。航続可能距離(WLTPモード)は標準仕様で407km、PBP仕様車は463kmとターボの450kmを超えて、タイカンとしてはもっとも電費のいいモデルとなる。

車検証上の重量は、2280kgとターボS比で100kg軽くなる。タイヤも20インチサイズでフロント245/45、リア285/40のミシュランパイロットスポーツ4と、唯一違う銘柄をはいていた。実はエアサスペンションは3モデルとも同一のものが標準装備されており、4Sはターボ系に比べればさらに乗り心地がよくなるというわけだ。日常使いするなら、この仕様が一番気に入った。

ちなみに車両価格はターボSが2454万1000円、ターボは2023万1000円、4Sが1448万1000円。撮影車両はどれもオプション満載なので、トータルではターボSが約2812万円、ターボが約2374万円、4Sが約1920万円となっていた。

気になる充電インフラに関しては、現在、90kWの「ポルシェターボチャージャー」という独自の充電網が、全国の正規ディーラーをはじめ大阪、名古屋、東京のホテルなどの公共施設でも設置がはじまっている。近い将来には150kWクラスの急速充電器の導入も予定されているという。タイカンの派生車であるタイカンクロスツーリスモもすでに国内でも発表されており、次期マカンも電気自動車になることが発表されている。ポルシェの電動化攻勢はさらに勢いを増していくことになりそうだ。

文・藤野太一 写真・デレック槇島、橋本玲 編集・iconic

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