東レは、リチウムイオン電池の次世代負極材として期待されている金属リチウムの実用化に向け、無孔セパレーターを開発したと発表した。充放電を行うためのイオン伝導性を確保し、従来の技術的課題を解決したのが特徴で、電池エネルギーを2~3倍に引き上げることができる。今後電池メーカーとの協業を進め、3~5年以内にプロトタイプを製作。早期の実用化を目指す方針だ。
同社が開発した無孔セパレーターは、金属リチウムを負極材として使用する際の課題だった耐リチウムデンドライト性を持つ。リチウムデンドライトとはリチウムの結晶体。電池の充電によって成長し、性能劣化や正負極のショートを引き起こす原因となっていた。無孔セパレーターでは、ポリマー設計の工夫でリチウムの成長を阻害し、耐リチウムデンドライト性の付与に成功した。これを既存の微多孔セパレーター上に積層することで、金属リチウム負極使用電池におけるリチウムデンドライトの抑制とイオン伝導性の両立を可能にした。
同社の試験では、充放電サイクル100回で80%以上の容量維持率を示したという。耐熱性を併せ持ち、寿命特性にも優れることから、長航続距離が必要な車載用、長距離飛行が求められるドローン用リチウムイオン電池のセパレーターとしての用途を見込んでいる。
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