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『トヨタ・スープラ(1996年編)』GT専用マシン化が進んだ“黒船”の対抗馬【忘れがたき銘車たち】

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『トヨタ・スープラ(1996年編)』GT専用マシン化が進んだ“黒船”の対抗馬【忘れがたき銘車たち】

 モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは、1996年の全日本GT選手権(JGTC)GT500クラスを戦ったJZA80型の『トヨタ・スープラ』です。

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『トヨタ・スープラ(1995年編)』ユーザーの努力で戦闘力を上げた“Cカー譲り”のGTスープラ【忘れがたき銘車たち】

 1994年に全日本GT選手権(JGTC)のGT500クラス(GT1クラス)へとデビューし、1995年には初勝利をあげたトヨタ・スープラ。そんなスープラは3シーズン目を迎える1996年、大規模なモディファイが加えられ、進化を遂げた。

 もっとも大きな変更点はエンジンだった。それまでIMSA GTPを戦っていたマシンに使用していた503Eと呼ばれる2140ccの3S-G改を流用して搭載していたが、この年からは661EというJGTC専用に開発されたエンジンが採用された。

 この661Eは規定による車両最低重量も考慮して、排気量が2000ccに改められたほか、シリンダーブロックとシリンダーヘッドも変更。

 また、ターボユニットもこれまではIMSA GTPおよびグループCカーに対応する大径のものが装着されていて、ターボラグが大きいことがネックだった。

 そこで、新たにJGTC用にリストリクター規制による吸気量なども考慮した小径のタービンを装備。同じ3S-Gベースでありながら、まったく新しいエンジンへと生まれ変わった。

 ボディは前述の通り、排気量を2000ccに縮小したため、規定でそれまで1200kgだった車重を1100kgへと軽量化できることになった。

 この100kgの軽量化を行うため、ボディ剛性を高く設定しすぎていたという前年までの反省から、ロールケージのパイプを省くなどして対応した。

 さらにエアロも大型のブリスターフェンダーがつき、フロントスポイラーもデザインが変更されるなど、ドラッグを減らすための改良が主に施された。

 このように1996年モデルになって大変貌を遂げ、これまでの“Cカー流用”マシンから、JGTC専用車両としての純度を高めたスープラはトムス、セルモ、FET SPORTS、サードという4台体制で鈴鹿サーキットを舞台とした開幕戦から戦いをスタートさせる。

 この年は“黒船”とも称された前年のル・マン24時間レースウイナーであるマクラーレンF1GTRが参戦をスタート。

 過大な性能調整を課せられながら速さを見せていたが、スープラはそれに肉薄。開幕戦の予選では約0.01秒差でセルモのスープラが2位につけると第2戦の富士スピードウェイ戦では優勝したマクラーレンと約3秒差の2位でフィニッシュした。

 さらに第3戦の仙台ハイランドではマクラーレン勢の脱落などもあり、セルモのスープラがシーズン初優勝を決め、マクラーレンの連勝記録を止めてみせた。

 その後、第4戦富士スピードウェイ戦からは翌年の車両規定が前倒しで投入され、それがスープラ勢にとって不利に働いてしまったこともあり(規定最低重量の50kg増など)、苦戦が続くも最終的にはセルモのスープラをドライブしたエリック・コマスがドライバーズランキングで3位に入る活躍をみせた。

 強力なライバルや規定変更の影響を受けるなどしながらパフォーマンスの高さも見せたスープラは、翌年、さらなる飛躍を見せ、初めてのチャンピオンに輝くことになる。

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