スバルの社内では「レヴォーグ」の購入を希望するご主人と、ややスポーティーで乗り心地に不満を抱く奥様が他のモデルを挙げることを“家庭内競合”と呼んでいるのだそうだ。奥さんが首をタテに降らなければ(納得してくれなければ)お財布は開かない。そんな時代に、スポーツ性もコンフォート性能も両立したクルマを目指し、新型「レヴォーグ」は開発されたのだという。
2014年に国内専用モデルとして登場した「レヴォーグ」がこの秋、フルモデルチェンジをはたし登場する。それに先駆けて、プロトタイプをクローズドコースで試乗・取材する機会があったので参加した。限られた条件下での取材・試乗だったが、新型「レヴォーグ」は幅広いニーズに応えられる一台として、生まれ変わることを確信した。
「東京オートサロン2020」に華を添えた美しすぎるコンパニオン大集合
「レヴォーグ」は国内専用モデルというだけあって、日本の交通環境に合わせたモデルとして、今やスバルの主力車種に成長した。そんな車種であるため、新型はデザインはもちろん、ボディーの骨格からエンジン、トランスミッション、さらには同社の先進安全技術である『アイサイト』も新世代『アイサイトX』へと進化させて、新型「レヴォーグ」から搭載される予定だ。『アイサイトX』についての詳細は改めて紹介するとして、今回はまず、どこを切り取っても新しいものづくめとなった新型「レヴォーグ」のオーバービューをお届けしたい。
大胆で力強さを感じさせるデザイン
まずは、デザインから。「レヴォーグ」のデザインテーマは“大胆”の意味を持つ“Bolder”だ。新型では、よりパフォーマンスを大胆に体現するべく、デザインされたそうだ。例えば、フロントマスクにあるスバルの象徴でもあるヘキサゴン(六角形)グリルをより縁取りをくっきりさせて、さらにヘッドランプにはスバルならではのボクサーエンジン(水平対向エンジン)のピストンを想起させる“コ”の字型を採用した。
これをライトの外側に配置して、ワイド&ローのデザインを実現。コの字型のライトのデザインはテールランプにも採り入れられ、フロントグリルから始まるキャラクターラインをサイドからリヤまでつながりを持たせて、リヤで絞り込み、一塊感のあるところをスバル車らしく表現している。前後のフェンダーの張り出しも、AWD(4WD)のスバル車らしく大地をつかむような力強いイメージを狙っていた。
頑強なボディー骨格と基本性能の向上を追求
ここからは、そんなデザインを纏った「レヴォーグ」の内部に目線を向けたい。ボディーサイズは、全長4755(現行モデル比+65)mm×全幅1795(+15)mm×全高1500(±0)mm。ホイールベースが2670(+20)mmと延びたことで、前後の席間も869(+25)mmに拡がり、身長176cmの人のドライビングポジションに合わせた状態にすると、同じ人が後席に座ってもヒザまわりに余裕があるぐらいのゆったり感と言えば、広さのイメージは伝わるだろうか。
ボディー骨格は、人間でいう骨格であり体幹部ともいえるが、日常からスポーツシーンにおいても運動性能のベースを支える重要な部分でもある。そこでまさに“構造改革”が行なわれたのだ。新型「レヴォーグ」は2016年に新型「インプレッサ」が登場した際、生まれたSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)をベースとしながら、フロア部を強化し、上屋には最新の設計が施され、頑強なボディー骨格造りを実現した。
従来モデルとの大きな違いはというと、これまでは骨格だけで補強しきれなかったパーツを外板(スタイルを形成する部分の内側)に取り付けなければならない部分もあったが、新型「レヴォーグ」の場合、家に例えるなら骨組みをしっかりと造り込んだ上で、外板を貼るイメージに仕上げたという。骨格で一体補強を行なうことで、せっかくの補強パーツを「つなぐ=継ぎ目ができる分だけ弱くなる」ことを防ぐことができるというわけだ。
スバルではこの構造を実現するために「レヴォーグ」のために工場を作り替え、専用ラインを用意した、と補足したら、どれだけ大がかりな構造改革をしたかご理解いただけるだろう。こうして、ボディー剛性は格段に向上。これにスバル初となる電子制御式ダンパーを組み合わせて、最適なブレーキと操舵力が選択できる電動パワステが備わったことで、走る・曲がる・止まるという基本性能も当然アップしている。
そんなボディーに搭載されたのは、新開発の1.8L直噴ターボエンジン(177ps/300Nm)で、これに新型のリニアトロニック(無段変速機=CVT)が組み合わされている。このエンジンについて、開発責任者曰く「ガソリンエンジンで成せる、我々の到達点」というだけあって、新型のトランスミッションと組み合わせたことで、燃費、パフォーマンス、フィーリングを高次元でバージョンアップさせることに成功した。
デジタル化への強い意思を感じさせる縦長の11.6インチモニター
では、それらがどのようなドライビングフィールや運動性能をもたらしたのか。今回は限られたテストコースでの試乗だったため、路面はフラット、速度は高速領域を除くフィーリングをお伝えすることをご承知いただきたい。
試乗したのは「STI SPORT」。新世代「アイサイトX」が採用されたモデルだ。運転席に座ると、目の前には12.3インチのフル液晶メーターが、そして11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイが配置され、ここまでデジタルコクピット化が進んだのかと思い知らされた。この2画面も含むインパネ全体のデザインは、横方向に伸びやかだ。
12.3インチの液晶メーターには、計器類のほかナビ、そして「アイサイトX」に関する情報が表示され、11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイは、タブレットのような操作で、エアコン、ナビ、オーディオ、スマホ連携機能が備わっている。「STI SPORT」には、ドライブモードセレクトも用意されており、コンフォート、ノーマル、スポーツ、スポーツ+と、これまでより多くの走行モードを選ぶことができる。さらにインディビジュアルモードでは、5人分の好みをメモリーに記録し、パワーユニット、ステアリング、ダンパーとここまでは一般的だが、加えてエアコン、AWD性能、「アイサイト」の仕様まで設定できるというのだからすごい。
ノーマルモード(※走行性能はコンフォートも同じ)から試乗を開始してみると、街中想定では軽々と走り出し、強い加速発進をすると蹴り出し感が頼もしい。1.8Lエンジンは低速はもちろんその先までアクセルを踏み込んでいっても厚みのあるトルクが得られる。CVT(無段変速)との組み合わせも相まって、途切れなく欲しいトルクや速さを与えてくれる。
ボディー全体の軽快感は期待通りだったが、そこに無駄な雑味もない一体感がスッキリと運転席まで伝わってきた。スッキリという意味では、ステアリングの操舵フィールも然りだ。軽めの操舵感で手応えが確かに伝わる感覚で操作のしやすさをイメージ。切ったり戻したりする際の滑らかさにステアリングフィールの質感の向上ぶりを垣間見ることができた。スラローム走行もしなやかで、コシのある粘り感が安定感とともに感じられた。このしなやかなハンドリングを好む人もいるのではないだろうか。
モードによって大きく性格が異なる走り
最もスポーティーなセット「スポーツ+」ではパワーユニットはエンジンもシフトも力強いトルクが得られる方向に設定が変わり、ステアリングの手応えも重くなって、ダンパーも引き締まり、さらにAWDもスポーツモードに変わる。スラローム走行では俊敏さが増し、少ないステアリング操舵量で少ない運動量でスイスイと通過できる感覚が楽しい。この時、AWDはアクセルを踏んだ際、すぐに力強い駆動力を発揮できるようアクセルオフ時の締結力を強め、アクセルを踏み込めばフロントタイヤが曲る仕事をしやすくするべく、リヤタイヤの駆動力を強めて押し出すような配分で制御する。
ちなみにコンフォートの最大の特徴は、エアコンが湿度にまで配慮しマイルドになるということ。“家庭内競合”はこの一台で、コンフォートからスポーツまでキャラクターの変わるドライブセレクトモードによって終結できるのかもしれない。新開発のボディー、エンジンやCVT、そしてそれらの制御技術の進化によって「レヴォーグ」というモデルが明らかに次の世代もしくは次元に入ったことがうかがえる。
最後に、ワゴン性能も高めたこの新型では、収納量は床下も合せて561Lと従来比で+39Lの増量。床下のサブトランクも69Lと大容量になり、ここにはスノボのブーツが立てて収納できるそうだ。通常の状態でゴルフバッグを横に重ねて積んでも、キャンプ道具を4人分積んでも後方視界を確保できるよう設計されているというのも視界性能に優れるスバルらしい配慮がうかがえる。また今回、上位グレードでは電動開閉の行えるバッグドアを採用。これがまたスバルのエンブレムあたりに手や体をかざすだけで開くという新しい開閉方法が採用されている。
これらに高速道路でのハンズオフまで可能とするなど、高度に進化した最新の「アイサイトX」を搭載する(※こちらについては詳細を改めて紹介予定)。が、どこを切り取っても最新、先進ぶりがうかがえる新型「レヴォーグ」がこれまでと変わらずに目指してきたのは、安全性やAWD性能を活かした走りはもちろん、価格もしかりというから秋(10月頃らしい)の正式発表を待ちたい。
■関連情報
https://www.subaru.jp/levorg/levorg/
文/飯田裕子 撮影/望月浩彦、スバル
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みんなのコメント
デザイン、スペック、価格全てこれ以上無い満足感。リセール等も考えてSTi一択かな。
国産車初のインフォメーションディスプレイには鳥肌物だったf(^^;
あとボルボ等にあるめっちゃ不便なロングメインディスプレイも、エアコンはすぐサイドスイッチで操作出来る点なんかも最高!!
さすが物作りに真剣な国産車と思わせてくれるメーカーさんです。
カローラの兄弟車みたいな